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ミストラル

明けましておめでとうございます。

昨年読んで頂いた方々ありがとうございました。

導入、物語のテンポと王道ではなくゆっくりとしたものではありますが、既にラスト展開と最終話は決まっていますのでそこに向けて全力で走っていきます。

どうぞ温かい目で見守って頂けると幸いです。


コンのスピンオフとかも書きたいなー⋯⋯

 ルシフェルはしばらくワイルドボアとスライム狩りをして二つレベルが上がると、インベントリの『射出』のレベルを一つあげた。


「これでちょっとはマシになるか?」


 インベントリの拡張機能で内部アイテムを射出するスキルを『次元宝弾』と名付けたルシフェルは、石を弾丸のように打ち出しソロ狩りを遂行していく。

 いくつか受けていた初心者クエストも完了し、残るはスライムの種族エリート『鉱石スライム』の発見クエストのみ。

 どんな姿か何処にいるのか分からないので狩りをしながら練り歩くことにした。

 しばらくすると森を抜けて岩場が見えてきたのでそこを中心に探索することにして五分後、一つの大岩の上にあぐらをかいて座っているプレイヤーを見つけた。


「ちっ⋯⋯他のプレイヤー」


 自身のレアキャラの事もありなるべく関わりたくないのでスルーしようと引き返そうとした。


「シッ! 誰か知らないけど動かないで、鉱石スライムが萎縮しちゃう」

「鉱石スライムいるのか!?」


 鉱石スライムと聞いて反応してしまう。


「気配を消してると鉱石スライムは周りに危険がないと思って動き出すんだ、音には反応しないけど地面の振動とかで擬態して動かなくなるから岩場だとほとんど見分けられないんだよ」

「そうなのか」


 息を殺してなるべく気配を悟られないようその場で仁王立ちする。


「ありがとう」

「見つけたらどうするんだ?」

「一人じゃ倒せないんだよねこれが。

 そこで提案なんだけど、一緒に討伐しない?」

「⋯⋯」

「嫌なら構わないよ、発見クエストの条件を満たすから」

「狙いは別途報酬か」

「うん、初心者クエストにしてはレアな良いものがランダムで貰えるらしい」


 ピクリとレアという単語に反応する。


「て、手伝ってやらんでもない」

「ほんと!? 良かった、一人じゃ絶対倒せないから。

 私はミストラル、召喚士だよ、君は?」

「ルーシェ⋯⋯収集家」

「おぉー、収集家でスタートとは中々の冒険家だね」


 少し褒められたような気がして気分を良くしたルシフェル。


「俺はこのゲームの全てをコレクションするんだ!」

「それは凄い! 全アイテムコンプは夢があるね! 『世界を収めし者』だっけ? ゲーム内に限られた種類しかない、最初の一人にしか付与されない特殊称号が手に入るんだよね」

「そんなの貰えるのか!? ムフフッ俄然やる気出てきた!!

 お前分かってる奴だな、気に入った! 覚えておいてやるミストラル、俺はルーシェだ特別に呼び捨てでもかまわん」

「ふふっ、ありがとうルーシェ、光栄だよ」

「シッ! 今微かに動いたぞ⋯⋯あそこ!」

「ほんと!? まだ動かないでね、鉱石スライムは臆病で用心深いんだ」


 息を殺してミストラルが指差した先を見つめているとゴロリと30センチ程の岩が動いた。


「!? あれか!」

「せーので一気に仕留めるよ」

「いつでもいいぞ」

「⋯⋯せーの!」


 ルシフェルはインベントリ空間を二つ開き石を連弾で射出する。

 相手も石だけにあまりダメージは与えていないが少しずつ削っている。

 ミストラルはその隙に雷の魔法を一発落とす。

 一瞬麻痺をおこして鉱石スライムは腹を見せて転がる。


「そこだ!」


 石に覆われていない腹部分めがけて連弾を叩き込む。

 ミストラルもそこへ雷魔法を打ち込む。

 スライムの柔らかい部分がギュッと縮んでひっくり返るとルシフェルが更に連弾を注ぎ込んでいくと鉱石スライムはそのまま光の粒子となって消えていった。


「「やったー!!」」


 スライムのいた所にいくつかの鉱石とインゴットが転がっていた。


「何の鉱石だろう?」

「むふふっ俺は収集家だぞ、鑑定してやる」

「おぉー、頼もしい」


 ルシフェルが嬉しそうに鑑定を始める。


「えーっと、こっちが鉄のインゴット、鉱石の方は⋯⋯白魔石、ミスリルの欠片」

「おぉー、ミスリル!」

「レアはミスリルの欠片か?」

「だね、集めるとミスリルの魔石とかミスリルインゴットにできるんだよ、まぁ相当な数が必要だけどね。

 二人で狩ったからそれぞれ一つずつ、白魔石は何の属性も特性もついてない純粋な魔石、付与師やお店でお金払えば色々付与できる代物だよ」

「ふーん、今は使い道なさそうだな俺には、鉄のインゴットは弾として使えそうだな」

「アハハ、そんな使い方するんだ。

 でもその質量の弾⋯⋯凄そうだね」

「分かるか? 楽しみだよな!」


 敵に鉄インゴットがめり込むのを想像して早く試したくてたまらないルシフェルを見てミストラルは笑った。


「君は本当に楽しそうにプレイするんだね」

「当たり前だ、ここに来るまでとんでもなく我慢してたんだ、全力で楽しむに決まってるだろ! お前も楽しんでプレイしてるんじゃないのか?」

「楽しいよ、ここは僕が僕でいられる世界だ。

 全力で駆け回って全力でこの世界を楽しんでるよ」

「だよな、やっぱお前分かってる奴だ」

「ねぇ、フレンド登録しようよ」

「フレンド登録?」

「システムに登録すると相手がログインしてるかとか、チャットで連絡出来たりとか便利なんだよ」

「俺の配下になりたいのか?」

「アハハ、配下って、面白いねルーシェは。

 友達だよトモダチ。

 この世界で助け合って、遊んで、一緒に全力で世界を楽しむ相手だよ」

「トモダチ⋯⋯」


 今まで生まれてから忌まれた能力の為、村の人間と家族、そして腐った世界を共に滅ぼす部下しか知らなかったルシフェルはその言葉に戸惑った。


「ソロでプレイしてるなら無理にとは言わないよ、でもこのゲームは今後一人ではクリア出来ないクエストや敵が数多く出てくる、全てを集め『世界を収める者』の称号を目指すなら必要かな」

「そうなのか⋯⋯トモダチ⋯⋯」

「深く考えないで、ただ全力でこの世界を楽しむ為なら分かり合える相手がいるだろうねと思うだけ」

「⋯⋯分かった、トモダチ登録してやる」

「やった! 宜しくねルーシェ」

「あぁ、宜しくなミストラル」

「じゃあ早速だけど、街にクエスト報告しに行ってから初心者用のレアクエスト受けに行かない?」

「レアクエスト! 行きたい!」

「決まり! じゃあパーティー登録して一緒に街まで飛ぼう」

「そんなの出来るのか、頼む」

「任せて」


 ミストラルはシステムからパーティー登録を済ませてマップから街を選択してギルドをクリックし転移した。


「おぉ、こんな移動出来たのか⋯⋯前回はクエストから歩いて街に帰ったから時間もったいねーと思ってたんだ」

「ふふーん、持つべきものはトモダチだよ」

「なるほどな、トモダチ良いじゃねーか」


 二人はギルドへと入りクエスト完了の報告をして報酬の金を受け取り、そのままレアクエストを受注して街の外へ飛び出して行った。





《PSO》ルーシェちゃんとミーシャちゃんを優しく見守るスレ 〜初心者に優しく〜


50:名前:名無しの薬師

 ミーシャちゃん消えた直後にルーシェちゃん来てたね! 


51:名前︰名無しの剣士

 ルーシェちゃんはまだ情報少ないからな、逐一報告要!


52:名前︰名無しの薬師

 クエスト受けて走ってニコニコしながら街の外走って行ったよ


53:名前︰名無しの剣士

 元気でよろしい


54:名前︰名無しの鞭使い

 くそ! 気付かなかった、跡をつけれないじゃないか!


55:名前︰名無しの剣士

 するなするな、不審者行動アウトー


56:名前︰名無しの鞭使い

 追跡アウトなのか!?


57:名前︰名無しの剣士

 追跡じゃなくてストーカーって言うんだよそれは


58:名前︰名無しの薬師

 単語で印象恐ろしく変わるのな


59:名前︰名無しの鞭使い

 偶然を装って接近するしかないのかよ


60:名前︰名無しの剣士

 装うな装うな


61:名前︰名無しの薬師

 将来『ルーシェちゃんとミーシャちゃんを鞭使いから護るスレ』が爆誕しそうな予感


62:名前︰名無しの鞭使い

 手なんか出すわけないだろ! 護る為には周囲に居なくてはできんし情報を集めないといかんだろ!


63:名前︰名無しの薬師

 スレタイトルを読み直しておくれ、『優しく見守る』んだよ強制護衛と不審者不要


64:名前︰名無しの鞭使い

 じゃあ24時間見守りたい


65:名前︰名無しの剣士

 普通に見守れんのか


66:名前︰名無しの薬師

 ダメだこりゃ

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