パンゲア創世記オンライン(PSO)⑤
皆さん良いお年を
ミカエルが魔法使いキャラクターのミーシャとしてVR『パンゲアオンライン』を起動して約三時間後、優しさの塊であるはずのクエストでまたもボロボロになり、死力を尽くして街の入り口まで辿り着いた後は前回同様に顔面を地面に突っ伏して力尽きた。
そして暫く放心後、ログアウトして儚く消えていった。
《PSO》ルーシェちゃんとミーシャちゃんを優しく見守るスレ 〜初心者に優しく〜
1:名前:名無しの薬師
初心者スレのみんなー、ルーシェちゃんとミーシャちゃんを生暖かく見守るスレ作ったぞ!!
2:名前︰名無しの剣士
早いね優秀
3︰名無しのパンゲア国民
何ここ? ルーシェちゃんとミーシャちゃんて誰?
4︰名無しの薬師
初心者スレ見てきてくれると流れが分かりやすいかな、超新星新規プレイヤー二人を見守る優しさの塊で出来たスレなのだよ
5︰名無しのパンゲア国民
超新星? ちょっと見てくる
6︰名無しの大盾
お、早速スレできてる
7︰名無しの弓使い
三時間位前に来てたよミーシャちゃん、クエスト受けて街から出ていってた。
やっぱり目立つなあの高額課金キャラ
8︰名無しの鞭使い
よし、可能な限り近づいてスクショ撮りに行かなくては!
9︰名無しの大盾
ダメダメ! 気持ちは分かるが不審がられてゲーム辞められたらどうする!? 暫く抑えて見守るんだ!
10︰名無しの鞭使い
ぐ⋯⋯それは困る
11︰名無しの薬師
あくまで見守り、時には導くんだ!
不審な接触は厳禁だ!
12︰名無しの弓使い
前回はどれくらいで街に戻ってきてた?
13︰名無しの薬師
多分、三、四時間くらいでボロボロになった姿で顔面を地面にめり込ませてたよ
14︰名無しの剣士
あの痛ましい姿が脳裏から離れない
15︰名無しのパンゲア国民
見てきた把握
初心者からあの課金キャラ購入とか中々の勇者、確かに超新星だわ
16︰名無しの薬師
今のところ、二人とも初心者
ミーシャちゃんは『魔法使い』『恐ろしく下手』『初心者クエスト後に地面にめり込む』
ルーシェちゃんはまだ情報が少なすぎる
17︰名無しの剣士
集まった情報はここで更新していこう
情報集める為に不審者にならないように! 特に鞭使い!
18︰名無しの鞭使い
善処する
14︰名無しの剣士
しないじゃなくて善処⋯⋯
まぁ前向きに考えてはくれてるようだから良しとしよう
15︰名無しの槍使い
良かった、スレ立ってた!
16︰名無しの薬師
どうした?
17︰名無しの槍使い
緊急速報!!
画像貼る、とりあえず見てくれ
18︰名無しの剣士
うわー⋯⋯ミーシャちゃんまた顔から地面にめり込んでる⋯⋯
19︰名無しの弓使い
何があったら初心者クエストでこうなるんだろう??
20︰名無しの薬師
まだ誰もミーシャちゃんの戦闘場面には出くわしてないんだよな
21︰名無しの剣士
それにしてもほんと痛々しい⋯⋯
22︰名無しの鞭使い
ミーシャちゃんMよりの人なんじゃなかろうか
23︰名無しの槍使い
そういうお前は装備から見てSよりの人なんじゃなかろうか
24︰名無しの鞭使い
うふ
25︰名無しの剣士
笑ったよオイ
26︰名無しの薬師
笑ったよオイ
27︰名無しの弓使い
笑ったよオイ
28︰名無しの槍使い
笑ったよオイ
29︰名無しの鞭使い
同時に四人⋯⋯凄いなあんたら
30︰名無しの剣士
お前のせいだよ!
31︰名無しの槍使い
お前のせいだよ!
33︰名無しの弓使い
お前のせいだよ!
34︰名無しの薬師
お前のせいだよ!
35︰名無しのパンゲア国民
なんか凄いスレ見つけた
案の定、前回同様に顔面から地面にめり込んでいたミカエルはまたも放心状態のままログアウトしていった。
「あのスライム⋯⋯ボスか何か⋯⋯か⋯⋯?
何て過酷なゲーム⋯⋯なん⋯⋯だ⋯⋯」
一言残して心層へ落ちて現実世界からもログアウトして行った。
ミカエルが落ちるとすぐにルシフェルが表に出てきた。
「待ってましたー!! フハハハ!!
今日はどこから行ってやるかな」
待ちきれなかったルシフェルは直ぐにログインしていった。
「今日のクエストと報酬はなーにかなー?」
ウッキウキでクエスト掲示板を見に行くと混雑していた自分の周囲の空間が円形に空いた。
「?」
何だろうと思いキョロキョロと周りを見ると全員が自分を見ていた。
(しまった! このキャラのせいだ、忘れてた!!)
直ぐにマントのフードを被りクエストを選択して逃げるようにギルドを出ていった。
「前もそうたがそんな珍しいのかこのキャラクター⋯⋯
現実でクソ人間共相手だったら秒で全員消してるとこだぞ。
やっとこれたこのゲーム内で暴れて目立って遊べなくなるのはゴメンだからな、ゲームに感謝しろよクソゴミ共」
ゲーム内キャラでは収集家ルーシェとしてアイテム、称号、報酬等をコンプしていく気満々な現実世界の魔王はこのゲームの採取目標が魔王討伐なのをまだ知らない。
「おっと、取ってきたクエスト確認しとかないとな」
しばらくの間は常に表示される初心者クエストの下に通常のクエストが表示される。
そこに触れるとクエスト情報が開かれた。
『初心者ランク クエスト
・通常クエストを5回完了』
『Fランク 討伐クエスト
・スライム 10体
・ワイルドボア 10体』
『Fランク 討伐クエスト
・ワイルドボアの皮 15枚』
『Fランク 探索クエスト
・種族エリート 鉱石スライム発見
(討伐した場合は別途報酬)』
「とりあえず当分は雑魚狩りだな、このキャラの操作に慣れるのには丁度いいだろ。
今日は森の方に行ってみるか」
ゲームでのキャラ、ルーシェの職業は『収集家』
戦闘職ではない為ソロでの活動は困難だが、最初から使える通常の小さなインベントリとは違い様々な拡張が可能な特殊倉庫の存在が強みだ。
収納だけではなく、レベルが上がるごとにポイントが与えられ細かくカスタマイズが可能になっている。
前回のログインの際にレベルが上がっていたのと初期ポイントを使って早速割り振りは済ませていた。
その内容は『射出 Lv1』と『複数展開 Lv1』。
ルシフェルはこれでインベントリ内の物を異空間から無限に射出しようと企んでいた。
今インベントリの中には弾丸として途中で拾った大小様々な石で埋め尽くされている、無料の銃を持っているようなものだ。
(ムフフフ⋯⋯名付けて『次元宝弾』、効果はどれほどかな)
森の獣道に入るとすぐに茂みからワイルドボアが一体現れた。
「むーふふふ、的みっけ! くらえ!」
ルシフェルの左右の空間が小さく開き石が二つ射出される。
ドドッ! とボアの顔と腹に命中する。
「ダメージは与えれるけど威力足りねーなー」
石礫を食らったボアの顔からは血が流れている、手で石を全力で投げたぐらいの威力しかLv1にはないようだ。
「まぁ自分で投げるよりは楽だな」
射出を連続で実行しマシンガンの様に石を放つ。
小さくもダメージを削られ続けたボアは
光の粒子となって消えていった。
「よしっ、使った石回収ー。
レベル上がったら射出を優先で上げないとな」
まだ頼りないながらも試運転は上々、気分を良くしたルシフェルはさらに森の奥へと鼻歌を歌いながら進んで行った。
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