大賢者の裏仕事(ステータス化)
「次、次のアイテムの鑑定いこう」
「その前に、流しそうになったけどさっきの『エルフのポシェット』⋯⋯エルフ⋯⋯いるんだね」
「あ、ほんとだサラリと流すところだった」
「魔術、狩猟に長けた長命種族エルフは存在するとされていますが、現在の地球では確認されておりません。
恐らくダンジョンなどで異界に繋がった際に遭遇したのではと思われます、この階層の様に」
「探したらここにいるのかな?」
「翠葉知ってる?」
コクリと頷くが直ぐに地面を指差して首を横に振った。
「存在は知ってるけどここには居ないってことかな? 翠葉の世界に居たとしても地球で会うことはまずなさそうだな」
コクコクと頷く翠葉。
「残念、ちょっと会ってみたかったけど」
「だな、じゃあ続けてくれアイ」
「分かりました。
次は葉っぱの髪飾りですが『千年樹の冠』と言われる物で、魔法の構築を必要とせず、魔素を流すと殺傷能力は高くないが鋭い葉がいつくも放出される代物です。
●放出される葉は、最大20枚
●初級風魔法の風牙より少し劣る攻撃力
●魔法構築不要
●消費MP 100(20枚時、1枚5MP費やす魔素で威力は上がるが消費MPも比例して上がる)
●自然系魔法の効果10%上昇」
「無詠唱だからかMP消費多いな、連発とかは無理だけど意表を突いての牽制で有効そうだ」
「使いどころが少し難しそうだけど翠葉ちゃんには効果10%上昇のほうが大きそうだね」
翠葉がジャンプして手を叩いて喜んでいる。
「次は⋯⋯杖、壊れ性能だと思うこれ」
「同意⋯⋯」
「杖は『迅雷の杖』と言う物です、効果は
●魔法構築不要
●中級雷魔法を即時発動
●消費MP 50(単発)
●消費MP 250~(複数)」
「250⋯⋯」
「250~!? 初級魔法とか消費MP4なんだけど⋯⋯」
「どっちにしろ詠唱不要な時点でぶっ壊れ系だな、MPさえなんとかなれば他の魔法や攻撃技と同時使用とかできるもんな」
「不意のほぼ回避不可な雷撃で硬直中に必殺技入れれちゃうもんね⋯⋯」
「逆にやられたらと思うとゾッとするな」
「⋯⋯」
どうやっても回避できるイメージができない二人はとんでもないものを手にした事実を実感し始めた。
「あと何だっけ⋯⋯あぁ、木刀と鞘か」
「木刀入れたら鞘からもう抜けなかったんだよね結局」
「あぁ、何でなんだろな?」
「そのアイテムですが『千年樹の御神刀』と言われる物です。
●伸縮可能な破邪の自然刀
●対闇へのダメージ増加10%
●自己修復
●装備条件 剣術レベル5以上」
「おぉ御神刀か、凄いな」
「剣術レベル? 何そのゲームみたいな設定」
「後程説明をと思っていたのですが、MP(魔素ポイント)や装備条件がアイテムに存在していた為、分かりやすく全てを数値化し条件の達成が明確に分かるよう、いわゆる『ステータス化』を完了させました」
「は? な!?」
「え!?」
「「えぇーーーーー!?」」
とんでもないことを裏で完了させていた大賢者。
「不要でしたでしようか? でしたら即アンインストール処置を⋯⋯」
「うわーーー!! ダメダメ!!
いやダメなんじゃなくて!!
デリートしないで!!」
「分かりました、アンインストール処置をキャンセルします」
「あーっぶねー! 神対応が無いものになるところだった⋯⋯」
「良かった⋯⋯止めるの間に合って」
「ふーっ⋯⋯えっと、どうやって数値見るんだ?」
「新しい魔法の構築に成功しましたのでそれを使って下さい。
単語がほぼ概念化されていたので可能な限り簡略化しました。
魔法の詠唱は『ステータスオープン』のみで魔法陣と共に発動します、コストMPは3です。
ちなみにカテゴリーは無属性魔法をベースに構築しております」
十三が無言のままプルプルと震えている。
「どうしたの十三? 大丈夫?」
「ア」
「あ?」
「アイ!! あんた最高だ!! 分かってる!! 分かってるね!!」
「お褒め頂きありがとうございます」
十三は大きく深呼吸して静かに、そしてゆっくりと呟いた。
『ステータスオープン』
魔法陣が展開され、ヴン⋯⋯と目の前に青白く光るホログラムが現れた。
「こ、これは!!」
「はい、今世界で一番人気のゲームを参考にさせて頂きました」
「VRパンゲア創世記オンライン!!」
「はい、その通りです」
「アイ、もう一度言う⋯⋯あんた最高だ!!」
「再度お褒め頂きありがとうございます」
十三もハマっているオンラインゲームが現実に反映された。
あまりの事態に興奮でテンションが少しおかしくなって鼻がピクピクしている。
「早速触ってみよう! 月穂も一緒にやろう! コンも翠葉もやってみよう! ミカエルとルシフェルは事態が纏まったら色々一緒にやろう!」
虚空に浮かぶアイコンの一番上は所持アイテム、二番目はスキルと魔法なので飛ばして、三番目のステータス表示アイコンを触る。
ヴン⋯⋯とアイコンが消えるとステータス画面に切り替わった。
「おぉ! キタキター! ゲームのままだ!」
「ほんとだ凄い! でもなんか変な感じ、リアルの自分のステータス数値みるなんて」
表示されていた二人のステータスは
久世 十三(20)He/him
《レベル》21
《種族》 人族(契約の子孫)
《HP》 170(+50)
《MP》 82(+50)
《力》 125(+50)
《魔力》 66(+50)
《防御》 93(+30)
《敏捷》 104(+50)
《運》 95
《属性》
地、光、闇、無
《装備》
不落の羊の毛(防御+30)、AI魔石・大賢者
《称号》
天魔の飼い主、魔闘気使い、魔功術使い、久世古流武術・師範代、
《スキル》
真呼吸Lv6、気功術Lv7、久世古流武術Lv7、魔闘気Lv1、魔功術Lv3、魔瞳術Lv1、地魔法Lv1、光魔法Lv1、闇魔法Lv1、無魔法Lv1
《趣味》
ゲーム、考古学
《特技》
格闘技
《好きな食べ物》
肉全般、カレー、椎茸
《嫌いな食べ物》
レバー、昆布締め
《好きな色》
赤、黒、青
《好きな異性》
宝生 月穂
《利き腕》
右
《視力》
右 1.5 左 1.5
《スリーサイズ》
B85 W73 H85
《癖》
ハサミを使うとき口もパクパク一緒に動く
《性癖》
異性のく⋯⋯
「おいーーー!!
ちよーーーっと待てーーー!!」
「どうかしましたか? 不具合でも有りましたか?」
「表示内容がおかしい!! これ他人も見れるのか!?」
「アイコン最下部にある設定で表示内容は制限可能です」
「ほっ⋯⋯良かった。
てか後半プライベートな内容が多すぎる! 《趣味》から下は不要だ!」
「まだそこから30項目程ありますが」
「要らない! ステータス魔法の初期設定で《趣味》から後ろは非公開に!」
「うわ⋯⋯こんなことまで⋯⋯
嫌だよスリーサイズとか見られるの」
「そうでしたか、可能な限りの詳細情報をと思ったのてすが、まだ人の精神心理まで深く理解は出来ていません、さらなる学習を進めていきます。
ステータス設定は初期値変更しておきます」
「マジでお願いするよ」
「個人情報の漏洩は怖いよ⋯⋯」
アイにはまずもう少し倫理観を勉強してもらったほうがいいのかもしれない。
「スキルに剣術が無いから木刀使えないのかな、残念だな。
数値がプラス補正されてるのは称号の『天魔の飼い主』かな?」
「はい、その通りです。
防御と運以外のステータスにプラス補正がかかっています」
「色々検証が必要そうだね、スキルとか」
月穂のステータスは以下のものだった。
宝生 月穂(20)She/Her
《レベル》21
《種族》 人族(契約の子孫)
《HP》 84
《MP》 221
《力》 31
《魔力》 155
《防御》 62(+30)
《敏捷》 34
《運》 28
《属性》
地、水、火、風、光、精、無
《装備》
不落の羊の双対角(魔素貯蔵率10/50)、不落の羊の毛(防御+30)、AI魔石・大賢者
《称号》
中級魔法使い、久世古流武術見習い
《スキル》
真呼吸Lv9、久世古流武術Lv1、魔瞳術Lv2、火魔法Lv2、地魔法Lv2、水魔法Lv4、風魔法Lv2、光魔法Lv4、精神魔法Lv1、無魔法Lv1、治癒魔法Lv1、幻魔法Lv2、
「魔力とMP高いな、見事に魔法使いステータスだ」
「全部の魔法覚えてやるんだから」
「楽しみにしてるよ大魔法使い様」
次いでコンと翠葉のステータス確認をしようとしたら普通に二人は断った。
プライバシーの塊だ、見せたくないものも有るかもしれないので無理強いはしないほうがいい。
もし少しでも興味があればブックマークや下の星評価を頂ければ励みになります。