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Los † Angels 【AI魔石とミトコンドリア】  作者: Amber Jack
第一章 紡がれた夢の祠へ
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新種誕生と防具性能

すみません、エピソード27が抜け落ちていました。


改めて投稿し直しました。


エピソード23が手違いで重複していた為、後ほど投稿予定をしていた《世界を変えた少女》を23改めて投稿しました。

 羊の魔物から獲得した衝撃吸収の毛を服の間に仕込み終わり、性能を試してみることにした。


「コン先生! お手柔らかにお願いします!」


 羊毛アフロを装着したコンは首を左右に曲げてコキコキと骨を鳴らすような仕草をしている。

 そして十三を見据えて一気に懐に飛び込み拳を腹に叩き込んだ。

 腹に力を入れて息を止めていた十三だが、インパクトと共にくるはずの衝撃が予想の半分くらいしか来なかった。

 拳を叩き込んだコンも驚いていた。

 数メートルぶっ飛ばす勢いでやったのに拳に来るはずの感触がほぼ無かったからだ。


「おぉーこれ凄い! 来るはずのダメージが半分くらいしか無い、さすが防御特化の毛」

「これ、私達凄いものを手に入れたんじゃない?

 衝撃を半分くらい吸収、どこにでも装着しようと思えばできるし、何より羽のように軽いのが最高だよ! それに温かい」

「布団代わりにも使えそうだな」

「あ、それ凄く助かるかも! 硬い地面で寝るの辛いし」


 思いもよらない副産物に大喜びの二人、と毛が生えて嬉しそうなアフロ大根、そんなコンを見て二人は思った。


「コン⋯⋯もしダンジョンで普通に出くわしたらどうリアクションとっていいか分からないよなもう」

「構えていいのか、驚いていいのか、笑っていいのか、無視していいのか⋯⋯確かに困るね」

「触れずにそっとしておこう⋯⋯」

「うん⋯⋯」


 新種《アフロ大根》の誕生に頭痛が少ししてきたが、なるべく突っ込まないようにしようと二人とも決めた。


「羊だけど、入れ物も何もないからすぐに調理するしかないね」

「食べれる時に食べておこう、ただこの広い草原で火と煙は延焼の危険と、他の生物を引き寄せる可能性がある。

 少しだけマシな場所を探してみよう、羊は俺が担ぐからコンが前衛だ、頼んだぞ」


 後ろを向いたまま腕を横に伸ばし、グッと親指を上に突き出して前を進み始めるコン。


「何? アフロも相まってか分からないけどなんか⋯⋯後姿がオモシロカッコイイ」

「まかせとけブラザー、って聞こえた気がしたぞ⋯⋯」


 アフロを纏って何かがアップしたコンは迷い無く進んでいく。

 五分程進んでいくと岩陰か少し屋根のようになっている場所を見つけた。


「ここ、良さそうだな」

「うん、じゃあ早速準備しちゃおう。

 あ、解体⋯⋯オネガイシマス」

「あぁ、大丈夫、俺がやるから気にしないで」

「ゴメンね、まだやっぱり抵抗が⋯⋯」


 月穂は解体作業が終わるまでコンと見張りにまわった。

 十三が作業を終えると今度は月穂が焼き担当。塩と胡椒は回収出来なかった為、味付なしでただ焼くのみ。

 火魔法を調節してナイフで刺した肉を炙っていく。


「おっ、良い匂い」

「出来たよ、毒とかは無いと思うけど一口食べて様子みてみるね、異変感じたらすぐ治癒魔法かけるよ」

「毒見役は俺がする、月穂は治癒魔法をいつでもかけれるようにしといて」

「分かった、変だったらすぐに手を上げるか伝えてね」


 先人達も同じような道を辿ってきている、狩猟で食料を調達してきている。

 ウサギが大丈夫だったからといって全てが食用とは限らない、用心はいくらしといても無駄にはならない。


 一息吸い込んでから十三は肉を一口含んでみる。

 舌に刺激などはない、というか⋯⋯


「うっま!」

「大丈夫? 異変ない?」

「今の所問題なし、ってかうっま!」

「そんなに? 味付なしで?」

「たまらん!」

「うー、私も食べたい」

「ダメ、十五分くらいは様子みてから」

「うー⋯⋯」


 オアズケをくらって犬のように唸る月穂。

 一時間のような十五分を耐え、異常がないのを確認すると凄い勢いで肉を焼き始めた。


「いただきまーす!

 あーーーん⋯⋯モグモグ⋯⋯」


 月穂は至極の表情で空を仰ぎ涙を流し始めた。


「おーいぢーー⋯⋯」

「な? うっまいよなコレ。

 血抜きも完全じゃないし、死後硬直も終えてない肉なのに味付なしでこの旨さは異常だよ」

「あの毛はこの肉を守る為だったんだねー」

「一理ある。

 俺も改めたいただきまー⋯⋯あっ、コンは水いるか?」


 コクコクと頷くアフロ大根。


「はい、コンちゃんおいで。

 召し上がれー」


 水魔法を優しく足元にかけていく。


「あっ、そうだ羊の魔石の事忘れるところだった。月穂が使って」

「私? いいの?」

「あの羊中級治癒魔法使ってたし、その経験が活かされるのは月穂だからな」

「分かった、じゃあ有難く使わせてもらうね」


 受け取った欠片をパキンと割って煙を吸収する。


「どう? 何か変化あった?」


 言われて治癒魔法を構築してみる。


「気持ち発動が早くなった⋯⋯かな?

 あんまり実感ない」

「そうか、残念。

 あ、あともう一つ、二つの角もあるけど何かに使えるかな?」

「あの魔法で光ってた角? 分からないけど魔瞳術で見てみようか?」

「あぁ、試しにやってみて」

「うん」


 月穂は魔瞳術を発動させて二つの角を見つめてみた。


「あ、銀色に少し光ってる。内部に魔素が内包されてるみたい」

「おー、使えそう?」

「ちょっと持たせて、魔素流してみる」

「OK」


 月穂は静かに角の一つに魔素を流してみた。

 すると角は仄かに光を帯び始めた。

 と同時にもう一つの角も光を帯び、お互いに共鳴するように光り、魔素が少し増幅し始めた。


「魔素が二つの角の間で共鳴して増幅してるみたいだよ」

「魔素の増幅アイテム?」

「装着して魔法使ったら魔法が強化されるとか?」

「ありえるそれ、やってみてよ」

「うん」


 月穂は二つの角を頭の左右につけてみると、ピタリと髪の毛に吸着した。


「あ、引っ付いた、思ったより軽い。

 じゃあ得意の水魔法で」


『星を包む母なる水よ 集い穿て⋯⋯【水牙】』


 ズドシュ!!


 今までに見た水撃よりも早く激しいものが月穂の手から放出された。

 思ってなかった反動と威力に声が出てこない。


「凄い! めっちゃ効果あるんじゃないか

それ?」

「⋯⋯ビックリしたー」

「それになんかめっちゃ似合ってるし」


 銀髪碧眼に黒い巻き角、ある種の悪魔っぽい見た目になっているが異国風の見た目とあいまって恐ろしい程しっくりきている。


「自分で見えないから全然分かんないよ」


 コンは横で月穂の様に魔法を打ちたいのか手を突き出して真似をしている。


「コンはそのスペックで魔法打てたら死角なしじゃん、俺の出番無くなるから辞めてね」


 十三の発言などは気にせずひたすら魔法を撃つ真似を続けている。


「まぁ、何にせよ食料、防具、魔法増幅アイテムまで授けてくれた羊に感謝だな」

「うん、有難く残りのお肉も頂いちゃおう」

「余りはカリカリに火を通してもらっていいいかな? 多少の保存食にはなる」

「袋が欲しいところだね、流石に皮を鞣してとかは時間もかかるし無理だね」

「ポケットに入れるのは流石にキツイから上着のフードを切り取って使おう」

「良いアイデア、紐も付いてるからそれで縛って腰につけたら十分だね」


 早速フードをナイフで切り取り即席の袋を作成して月穂の腰に縛る。

 動き回る前衛が持っていても邪魔なだけだ。


「よし出発だ! 羊見かけたら積極的に狩っていこう」

「賛成ー!」


 絶品食材を堪能し、有用アイテムも手に入れて気力満タンで再度進行する。

 大分先に高い木々が見えているのでそこを目指して歩き始めた。


「今の所は鳥とか見えないから良かった、頭上からの急襲とか防げる気がしないし」

「鶏肉には興味あるけどそれは嫌だね⋯⋯」

「いないことを心から祈るよ、後はヘビも」

「うぅ⋯⋯草むらにいたら絶対奇襲されるよね」

「先に見つけるのは無理だろうな、木の上にも水場にもいそうだし」

「支障が出ない頻度で魔瞳術使っておくね」

「あぁ、それはかなり助かる、俺の魔瞳術は燃費悪そうだし頻繁には無理だ」

「じゃあ任せて、所々で警戒入れとくよ」

「ありがとう」


 高い木々に少し近づくとその背後には暗い森が見えてきた。

 見通しが良すぎる平地を行くのは目立ち過ぎるので森の中を進んで行こうと話して決めた。

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