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Los † Angels 【AI魔石とミトコンドリア】  作者: Amber Jack
第一章 紡がれた夢の祠へ
38/120

モコモコの性能

すみません、エピソード27が抜け落ちていました。

改めて投稿し直しました。

エピソード23が手違いで重複していた為、後ほど投稿予定をしていた《世界を変えた少女》を23改めて投稿しました。

 ザシュッ! と羊の胴体に風の刃が命中するも毛だけが切り裂かれ飛んでいく。

 ピンク色の胴体が露出されたが傷は無い。


「え? キレイに毛だけが切れた⋯⋯?」

「起用だな月穂」

「ち、違うよ! 狙ってないよ!」

「てことはあの羊の能力か?」

「魔法が効かないわけじゃ無さそうだけど、毛に秘密があるのかも」


 羊がゆっくりと三人の方を見て面倒くさそうに、


「メェー!」


 と鳴くと頭の左右にある黒く禍々しい角が光って魔法陣が形成された。

 するとモコモコと毛が一瞬で再生する。


「もしかして治癒魔法? 毛に?」

「魔法使ってまで治す必要があるのか? 

 そうだとするとやっぱりあの毛に秘密がありそうだな」


 治癒魔法は中級魔法、二つの属性を同時発動させて発動させる高等技術。

 それが扱えるということはかなり魔法に熟達していると推察できる。


「中級魔法の治癒が使えるんだ、どうやら厄介な敵みたいだね」

「あぁ」


 三人は認識を改めて羊を見据えた。

 羊は三人を見つめているが攻撃して来ない。


「魔法が弾かれたとなると近接か、あのモコモコを殴っても効きそうにないけど⋯⋯

 まぁやってみないと分からないよな」

「うん、羊には効かないかもだけど注意ぐらいはそらせるように魔法待機しとくね」

「頼んだ」

「コン、俺が先制するから何かあったらサポート宜しく」


 コンはいつものようにグッと親指を立てる。


(さて、まずは厄介そうなモコモコに打撃が効くかどうか)


 息を吸い込んで全力で飛び込む。

 二歩目、三歩目で方向を変えつつフェイントをかけながら間合いを目指す。

 羊は視線を十三に合わせているが動く気配はない。

 

(動かず⋯⋯か、防御に絶対の自信でもあるのか? 反撃も含めてリスクを負うしかないな、このまま間合いに入って一撃離脱だ)


 後一歩のところまで踏み込んでも微動だにしない羊。

 最後の一歩を詰め、攻撃と同時に離脱できるよう押すように蹴りを繰り出した。


 ボフン


 予想通り衝撃は全て吸収される様に消えてしまった。

 が、その為に反動で離脱しようとしていた行動が取れない。

 至近距離で向かい合う事になってしまった。


(ヤバイ!)


 とっさに毛で覆われていない剥き出しの顔を狙って拳を連打した。


 狙われる事が分かっていたのか、羊は既に眼前に魔法を構築していた。


 ボボボン


 と拳打は魔法陣に音と共に衝撃も吸収されてしまった。


 「!?」


 十三はすぐにバックステップで羊から離れた。

 羊は攻撃もしてこなければ距離もそのまま動かない。


(攻撃して来ない⋯⋯というか敵意みたいなのが感じられない。

 こっちを脅威と見ていないのか、周りを飛んでいるハエでも見ている感じなのか?

 どうしよう⋯⋯これ)


 考えているとコンが後ろから来た。

 

(ちょっと代わって)


 とでも聞こえるように足に手をポンッと置いてから前にでる。

 身体にグッと溜めを作りオレンジのオーラを纏い、地面が凹むほどの踏み込みで一気に距離を詰めた。

 その勢いのまま蹴りを見舞うがモコモコに吸収される。

 構わずに拳と蹴りを無数に叩き込む、が羊は微動だにしない。

 十三の時のように剥き出しの顔に叩き込むも魔法により音が吸い込まれる様に吸収された。

 それを見てバックステップをして十三と同じように戻ってきた。


「な?」


 と十三に言われてコンは両の手を上に上げる。

 お手上げ、ということだろう。


「弱点や苦手属性があるのか分からないけど、それを見つけないと埒があかないね」


 と近づいてきていた月穂が少し面倒くさそうに言った。


「出来得る限りの属性攻撃を試すしかないのか⋯⋯」

「今は攻撃して来ないからいいけど、攻撃に回った時に何してくるか分からないのも怖いね」

「防御特化っぽいから攻撃力は低そうなイメージだけど、ゲームじゃないし分からないもんな」

「さっきの風魔法で毛は切断出来てたけど魔法はかすり傷もついて無かったね。

 毛は物理的な攻撃が効かなくて、身体は魔法に抵抗でもあるのかな?」

「⋯⋯んー、試せる属性が効かなかったらとしたら、試せそうなのは風魔法で毛を飛ばして身体に物理攻撃⋯⋯かな」

「出来そうなのはそのくらいだよね」

「よし、やってみよう」

「じゃあ、まずは使える限りの属性当ててみるね」

 

 月穂は周囲への延焼を避けるため威力を絞って属性魔法を順番に放っていく。

 石は埋もれ、水は吸収され、光は穴を穿ち、火は焦がし、風は切り裂き、無は穴を開けた。

 無属性は得意ではなく、闇には適正がほぼ無いので不可能。

 羊はすぐに毛を治癒魔法で再生。

 基本属性をほぼ打ち尽くしたところで考える。


「毛に魔法は効いてるけどやっぱり肉体には無傷か」

「唯一肉体を露出させれたのは風だね、毛を切り飛ばしたところに近接が今できる可能性の高い攻撃かな」

「だな、反撃を警戒しつつやってみよう」


 月穂は今までより少し範囲を広げた《風牙》を放ち、羊の半身の毛を刈り飛ばす。

 それと同時に十三は距離を詰め、気を織り交ぜた拳を羊の肉体部分に叩き込んだ。


 ズドン!


 相手の内部に衝撃とダメージを与える外気功、それを全力でねじり込む。

 有効な攻撃を喰らうと思ってもいなかった羊は、胴体からぐにゃりと折れ曲がり、外気功を叩き込まれて内部を破壊され、数十メートル吹っ飛んでいった。


「動かない的だったから会心のインパクトで叩き込めたけど⋯⋯効いたかな?」


 すっ飛んでいった羊はピクリともか動かないまま横たわっている。


「魔瞳術でみてみるね」


 発動させて見てみると羊に魔素が循環してないのが見てとれた。

 そして、額に輝く魔石が浮かんでいるのが確認できた。


「倒したみたいだよ、魔石の欠片が額に浮き出てる」

「よっしゃ! 治癒で回復とかされたらどうしようかと思ったけど良かったー」

「だよね、延々と復活とかされたら心折れてたかも」


 後ろで観戦体制に入っていたコンが寝そべって手を叩いていた。


「何そのテレビでも見てるような体制⋯⋯」

「信頼して安心してるからなんだろうけどリラックス度おかしくない?」


 まあまあ、みたいな感じで起き上がって近づいてきたコンに二人してため息を漏らす。


「おっとそれよりも食料だ! 回収に行ってくる!」

「手伝おうか?」

「いいよ、大丈夫。それより周りを警戒しといて。」

「うん、分かった」


 十三は意気揚々と狩猟の報酬獲得に駆けて行った。

 警戒して少しすると後ろから声が聞こえた。


「おーい、回収してきたー」

「お疲れ様ー、ありかと⋯⋯って、えー!?」


 振り返ると毛のない羊を抱えた巨大アフロが近づいてきていた。


「毛が全部持てなかったからどうしようと思ったら、あちこちくっつくからまとめて持ってこようとしたらこうなった」

「くっつくんだそれ⋯⋯」


 コンが面白そうにジャンプしてアフロにポフポフと拳や蹴りを入れている。


「おぉ!? これってもしかしてあの羊の衝撃吸収能力そのままついてるのか? あんまり衝撃もダメージも来ない」

「え? じゃあ身体を守る防具に使えるってことじゃ?」

「普通に使えそうだぞ」


 自分でも叩いてみるが何も感じないくらい衝撃がこない。


「食料と防具が一度に手に入るなんて最高だね」

「羊最高、羊様ありがとう!」

「後はどうやって防具として身に付けるかだね」

「んー、身体にくっつけても動きにくいしなー、やっぱ兜としてアフロかな」

「衝撃ゼロ、緊張感もゼロになるね」


 二人はアフロで戦闘を繰り広げている姿を想像してみたところで首を振って却下した。

 コンだか嬉しそうに目を輝かせている。


「よし、じゃあコンはアフロ担当な」


 コンは飛び上がって喜んでいる。


「コンは良いとして、真面目にどうしようかな?」

「んー、薄く伸ばして衣服の隙間や間に挟み込むのは?」

「お、良いかも、やってみよう」


 と意見がちょっとまとまったところで二人とも作業に入った。

 着ている二枚のシャツと下着とズボンの間に薄く敷き詰めた。

 ダンジョン探索初の防具の完成であった。

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