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Los † Angels 【AI魔石とミトコンドリア】  作者: Amber Jack
第一章 紡がれた夢の祠へ
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歴史的事実?

拙いものを読んで下さってありがとうございます。

少し溜まったので今日はエピソード二つ投稿します。

 翌日、月穂の鍛錬プログラムが変更になった。

 午前は2時間道場で体幹訓練と型の反復と組み手、その後、魔法関連の座学を昼まで、昼食後は地下で魔素鍛錬と知識習得へと変更になった。

 これからは魔法、魔素に重点を置くようだ。

十三は現状維持、真呼吸の持続時間の確保が急務だ。十三は今は鍛錬の際やそれ以外の時も月穂に教えてもらった皮膚呼吸を意識しながら行っている。まだその感覚は全く掴めていないが、急速に維持時間を伸ばすにはこの一手に頼る他ないが難易度が高すぎてなかなかうまくいかない。

 真呼吸を発動しながらの型と木人組み手をしながら少し考える。


(焦っちゃだめなんだろうけど、期限があるからどうしてもな⋯⋯何かきっかけさえ掴めれば)


 十三自身、一朝一夕で身につくとは思ってはいない。人体の機能の内、無意識下で行われる機能をコントロールするなど恐らく仙人級の技だろう。それを天然で体得している月穂が規格外なのだ。

 今のままだと月穂を守るどころか守られる側にいるのは間違いない。せめて対等に立てる位置に到達する為の突破口となる鍵が必要だ。

 しかし、それが何なのか全く検討もつかない。


(とにかく月穂にもう一度細かく聞いてみよう。

 長い時間をかければ将来獲得可能なのかもしれない、でも短期間での自力獲得はほぼ不可能に近いし。

 とりあえず時間を無駄には出来ない。出来る事、可能性のある物に全力をかけないと)


 最短距離を進む為、今日の夜のヨガでさらに進めるよう月穂と相談する事に決めた。

 一方、月穂は道場での型を終えて居間での座学に入る。


(座学か、昨日の感じだと古代文字の勉強とか体系の話かな?)


 少し待っていると美沙と十和呼が入ってきた。


「さーて、楽しい楽しい座学の時間だよ月穂ー」

「⋯⋯楽しいという言葉が逆の意味に聞こえたのは初めてだよ、お母さん」


 十和呼は横でクスクス笑っているのがさらに楽しくなさそうな座学を鉄板にする。


「月穂は魔法天使だし大丈夫! 大丈夫!

 聞いたこともない文字の読み書きと使い方、無限大の応用、魔法知識をひたすら覚えるだけだから」

「大丈夫の意味が分からないし、大丈夫にかかってる単語もおかしいよ」

「あはは、大丈夫よ。お母さんも全部分かってる訳じゃないから」

「笑いながら不安を煽るのやめてよー」


 と言いながら十和呼に助けの視線を飛ばすが、静かに首を振られた。


(不安だ、大丈夫って言葉がトラウマになりそうな気がする⋯⋯)


「さて、早速始めましょうか。

 最初は古代文字である魔象形文字のアルファベットを覚えてもらうわよ。これが読めないと前に進めないからね。はい、一覧表。」


 パラリと数枚の紙を渡されると、そこには古代ヘブライ語のような文字と象形文字が描かれていた。


「最初のアルファベットは現代のようなアルファベットの古代版、象形文字の方は漢字にあたるような絵文字よ。

 まずはアルファベットの横に振ってある読み方を全部覚えてね。発音は現代文字にない発音もあるから一緒に反復して覚えてもらうわ」

「⋯⋯これって⋯⋯普通に世界考古学学会がひっくり返るやつじゃ?」

「そうねー、祠守の一族のみの門外不出よー。十和呼さんに色々借りてるんだから。ちゃんと地下で魔法で印刷してあるから痕跡も残らず消えるしね、一族にしか読めないように制約かけてるから大丈夫よー」

「とんでもない内容なのになんか軽い⋯⋯軽すぎるよお母さん」


 そこからはひたすら文字を見て、書いて、発音してのループだ。考古学が好きな月穂には決して楽しくない訳ではないが、母の謎のテンションでどうしても不安が拭えない。

 ひたすら暗記と書き取りの座学と昼食を終え、今度は地下での魔素、魔法鍛錬。昨日の事があるだけにこっちの方はかなり不安だ。


 地下に三人で着くと正源はもうそこに居た。


「来たか。さて、始める前に少し話をするぞ、昨日の月穂さんの変化の件じゃ。

 過去とかかか夢に関する文献をあたっておったんじゃが、それによると過去に幾人かの前例はあったようじゃ。

 大和の巫女、陰陽師、薬師、芸術家など各方面で大きな功績や偉業を成しておる者が多い」

「ちょ!? や!? 大和の巫女って⋯⋯もしかしたらもしかする人物ですか!? 陰陽師も!?」

「そうじゃよ、予想通りの人物じゃ」

「歴史が、学会が大荒れする⋯⋯」

「それぞれ文献に残る変化の色は銀ではなく様々じゃ。そこに意味や法則があるのかは分からん、が、危険なものでは無さそうということは分かった」

「危険はないんだ⋯⋯よかった。そして歴史的大発見に関してはスルーなんですね⋯⋯あー、まぁ数万年前の古代文明からの継承遺産に比べたらスルーなレベルでいいのかな⋯⋯?

 なんか感覚がどんどんおかしくなってく気がする⋯⋯」


 もう何が本当に驚いていい驚愕の事実なのか分からなくなってきた月穂はそっち方面の思考をそっと閉じた。


「そんなとこで驚いとったら後がしんどいぞ、今はしっかり現実での鍛錬に集中なさい」

「後にいったい何が? あ、いえ⋯⋯やっぱり聞くのはやめときます」

「うむ、賢明じゃな」

「では昨日の通り、魔素を取り込んでの循環からじゃ。始めるぞ」

かる。

 月穂は真呼吸を大きくし、魔素を体内へと取り込んでいく。と、同時に昨日と同様の変化が現れた。みるみる髪が銀色に染まる。


「やはり同様の変化となるか。魔素を取り込んでいる状態で常に発動するようじゃな。

 では昨日の続き、《浮遊》を使ってみなさい」

「はい」


(頭の上に光輪を⋯⋯そこに吸い寄せられるイメージで魔素を循環⋯⋯放出)


『星央との楔の狭間へ⋯⋯《浮遊》』


 青銀のオーラに包まれ頭上に光輪が現れた月穂は違和感無く数cmフワリと浮かび上がる。自転車のような感覚だと感じた。一度出来たら忘れないあの感覚。


「ではそこからニ分間維持してみなさい」

「はい」

「いきなりニ分ですか? お義父さんいつになくスパルタなことで」

「月穂さんの変化は魔素での変化、恐らくそれは魔法への適正を意味すると思っておる。

 中級平均の維持能力を試して今後の方針のレベルを見極めたい。適正以下の鍛錬をしておると時間の無駄になるやもしれん」


 月穂の状態変化を高適性と見た正源は中級レベルの魔法維持を指示し、そこから今後の課題を決めたいようだ。


(このまま2分⋯⋯それはどこまで大変なのかな? 十和呼さんがスパルタって言ってるから相当なんだろうな⋯⋯よし! 気合い入れなきゃ!)


 気合に反応でもしたのか、魔素の流れが活性化し、碧眼に少し銀色の光が灯る。


「月穂さんったらまたそんな⋯⋯いったいどこまで属性を盛っていくつもりなの?

 よし! どこにどんな変化が出てるかわからないから一度服を脱いでで確認をブッ!?」


 月穂の変化に反応する十和呼にゲンコツを入れる正源。


「せんでええわい!」

「しないで下さいそんな確認!」


 月穂も吠える。


「確認する時は私がします」


 美沙がビシッと言う。


「誰も確認しません!」


 と月穂がぴしゃりと拒否した。


(何だろ、私こんなしょっちゅう突っ込むキャラだっけ⋯⋯)


 そんなやり取りをしているうちに2分たったらしい、正源の時計がピピッとなる。


「ふむ、中位階を難なくクリアか⋯⋯上方修正せんとな。

 月穂さん、これからの時間は早急に魔象形文字と体系知識の習得に費やしてくれ。 習得が進んだら次の段階へと移ることにしよう。そっちを理解せんと魔法の行使が難しくなるでの」

「わかりました、では座学に戻ります」

「朝の武術の型の練習は毎日ちゃんとするんじゃぞ」

「はい」


(ここまでの魔法維持能力は通常どんなに才能があっても年単位を費やすもの。

 すでに基礎が中位階を超えて備わっているのはいったいどういうことじゃ? もはや才能では済まんぞ)


 慣らしがほぼ不要だと判断した正源は、まずは行使する為の知識を充実させることに重点を置く方向に切り替える。

 暫く朝は道場で武術の型、その後はほぼ全て座学。十三は現状維持。


(十三は、駆け足で上がってこんと置いていかれるのー。まあお互いが良い刺激になれば良いんじゃがな)


 月穂の才覚に正源は少し焦りを感じる。自分達が教えられるのは一体どこまでなのかと。

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