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宝玉と禁句と掲示板

 殺風景な部屋のソファーに数人がテレビをつけてワイドショーを見ていた。


「世を騒がせている『仮面の集団』によるダンジョン攻略動画が再生数圧倒的世界1位、昨日に引き続き今日はその真相にさらに迫って見ようと思います」

「動画の真偽についてはAI生成や特撮関係でないことは分かったのですが、その撮影方法は未だ不明ですよね」

「この動画、動いて撮られているのにブレがほぼ無く、様々な角度から時には頭上や魔物側から激しい戦闘が撮られている。

 決して広くないダンジョン内でこの様な動画をどの様に撮影しているのか全くもって不明です」


 有名なアクション映画監督が動画の撮影方法についてコメントしていた。


「そりゃー分からねーよな、なんせ魔素と魔石を利用した古代異物と撮影技術だ」


 ソファに深くかけたトゲトゲヘアーの青年が面倒くさそうに種を明かす。


「カメラマン無し、簡単な指示するだけで後はオートだもんねー」


 目まで隠れたキノコヘアーの少年が説明を補足した。


「そういや今回の戦利品は何だった?」

「えーとね、『マジックポーチ(小)』低級から中級の各種『ポーション』『宝魔玉(魔法)』『宝魔玉スキル』『人狼のフィギュア』」『翡翠のロザリオ』『人狼の爪』『帰還石』『蠱毒のナイフ』『満月鏡』、後は魔石とゴミアイテムかな」

「便利だなお前のそれ、宝魔玉からでた【鑑定】能力」

「ほんと、これなかったら半分以上は何のアイテムか分からないよ。

 あ、『満月鏡』気をつけてね、もし遺伝に資質がある人が写ったらたぶん人狼化しちゃうから」

「犬っころになんのは勘弁だ、いらねーよ封印しちまえそんな物」

「一応レアアイテムなんだよこれ、使いどころ分からないけど」

「知るか、アイテムなんざくれてやるから戦闘を俺に寄こせばそれでいい」

「好きだねー」

「ブハハ、お前が言うかよ」

「うるさいわよもう、テレビ聞こえないじゃない」


 ボサボサの髪で目まで隠れた女性が文句を言う。


「んだよ騒いでねーだろ? 一々うるせーんだよオバさ⋯⋯⋯⋯あ、しまった!!」

「うわーーーー!!! 禁句だめーーー!!!」

「⋯⋯今何て言ったの?」

「何でもねーよ! げ⋯ゲームの敵キャラでさ、オ⋯オバサロンていう鳴き声うるさい奴を捕まえないといけないの思い出して⋯⋯」

「苦しいよそれ⋯⋯えっと僕は関係無いからねー」


 キノコヘアーの少年はフェイドアウトしていった。


「逃げんなー!! 助けろよ!!」

「もう一回聞くわねー、何て言ったのかしらー⋯⋯?」

「エリモンの⋯⋯敵で⋯⋯オバ⋯⋯サロン⋯⋯を⋯⋯あの、お姉様⋯⋯」


 女性から溢れたオーラに当てられて目を隠していた前髪が上へと巻き上がる。

 その下には美しい女性の顔、しかし額に切れ目があった。

 それが血の滴りと共にゆっくりと開き少年を捉える。


「ぎゃああああぁぁぁーーー!!!!」


 少年は急に断末魔のような叫び声を上げた。


「目!! ぐああぁっ!! 目を閉じ⋯⋯て、ぎゃああぁぁー!!!」


 数秒悶苦しむと遂に動かなくなった。


「やっと静かにテレビが見れるわ、ゆっくりとあの方の勇姿が⋯⋯ふふふ」


 その後女性は1人になった部屋で薄っすらと笑いながら静かに映像をリピートし続けた。






《PSO》ルーシェちゃんとミーシャちゃんを優しく見守るスレ 〜初心者に優しく〜


382:名前︰名無しの薬師

 スキル難しすぎるよー! どうやって習得したのよ鞭使いは!?


383:名前︰名無しの剣士

 一応鞭使いからはコツみたいなものは教えてもらったからそれと吸血姫のサポートに沿ってやるしかないよな


384:名前︰名無しの槍使い

 ずっとやってるけど全く出来る気がしない⋯⋯


385:名前︰名無しの薬師

 道は長そうだねー


386:名前︰名無しの鞭使い

 なんだまだ出来ないのか?


387:名前︰名無しの薬師

 来たよ時の人! そんなすぐ出来るわけ無いじゃん!


388:名前︰名無しの槍使い

 あれじゃないのか? 変態的要素が必要とか


389:名前︰名無しの薬師

 え? 何? ヤダそれ怖い


390:名前︰名無しの鞭使い

 そんな物はいらん、いるのはルーシェちゃんとミーシャちゃんへの一途な想いだ


391:名前︰名無しの剣士

 そこが変態的じゃないかって言ってるんだよ


392:名前︰名無しの槍使い

 やめとけ、聞いても無駄だ


393:名前︰名無しの薬師

 想いで出来るならやってるよ!

 って、そういや誰か最近ミーシャちゃん見た?


394:名前︰名無しの剣士

 いや、最近は見てないな


395:名前︰名無しの槍使い

 まさか既に引退⋯⋯


396:名前︰名無しの鞭使い

 なんだと!? 引退だ!? そんなことはあってはならん!!


397:名前︰名無しの薬師

 ならんと言われてもそれは本人が決める事だし


398:名前︰名無しの鞭使い

 探せ! 呼び寄せろ! 召喚士を呼んでこい! ミーシャちゃんを現し世から召喚

せよ!!


399:名前︰名無しの剣士

 出来るわけないだろ!! 見かけたらすぐ教えるからとりあえず落ち着け!


400:名前︰名無しの鞭使い

 何でお前らは落ち着けるんだ!? もう2度と見ることも触ることも匂いを嗅ぐことも後をつけることもできないかもしれんのだぞ!!


401:名前︰名無しの槍使い

 後半アウトー!!


402:名前︰名無しの剣士

 やっぱり事が起こる前に通報すべきなんじゃないのか?


403:名前︰名無しの薬師

 この人は今や時の人だよ、揉み消される


404:名前︰名無しの槍使い

 まだ間に合うかもしれない


405:名前︰名無しの鞭使い

 街の噴水広場に張り込む、ログイン確認てきたら秒で知らせる


406:名前︰名無しの薬師

 頑張ってね、こっちはスキル獲得に精を出すよ。

 鞭使いだけスキル持ちとかミーシャちゃんやルーシェちゃんとバッタリ会った時に情けないからね!


407:名前︰名無しの鞭使い

 む、そうか、なら監視は任せておけ





 数時間後、既にログインしていたミカエル(ミーシャ)はまだクリア出来ていない初心者クエストに出掛けてお約束どおりボコボコにされて街の噴水横で顔面を地面にめり込ませて力尽きていた。





410:名前︰名無しの鞭使い

 ミーシャちゃんを無事発見した! いつものスタイルで神々しく地面にめり込んでおられる、画像を貼っておく


412:名前︰名無しの薬師

 良かったね、引退してなくて!


413:名前︰名無しの鞭使い

 あぁ、本当に良かった⋯⋯

 それにしても神々しい、拝んでおこう


414:名前︰名無しの剣士

 拝むな拝むな





 翌日、地面にめり込んだミカエルとそれを影から有難そうに拝む高難易度スキル獲得者、鞭使いの画像が出回る事になった。

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