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監獄ツアーと作戦立案

誤字脱字日本語下手糞悪口調故注意。

「あーあ〜ダリィな糞」


I'm very bored. もう一度言う。非常に退屈だ。

あの後,貴族牢とやらに連れて来られて監獄生活を送っている。

服も食事も粗末なものにされて,通常なら怒る性格の娘さんだったらしいが生憎俺は気にしねぇ。

何故大罪を犯した公爵家当主の娘,然も自分も結構な罪を犯しているのに何故貴族牢なのかは分からんが。

俺は取り調べを受けつつ自分のことについて情報を集めていた。

俺の今の名前はセシリア・ヒュールトン,18歳。

5大公爵家のうちの一家のヒュールトン家の令嬢にして元カーライト王子の婚約者。

性格はクズでクソでゲス野郎だったらしい。

カーライト王子との婚約も惚れたのだと父親に頼み込んで強制的に結ばせたらしい。

お陰で王子も結構迷惑被ってたとか。


マ・ジ・の・ゴ・ミ・だ!!!!!


こんな奴自分でも()りたくなるわ。

あーでも,父親の犯罪については全く関わりはないらしい。万が一王家やら騎士団(前世でいう警察)に知らされたらパァだもんね。

此れは使える。


却説,前世の自分についても整理しておこう。

俺の前世の名前は綾部 仙利(あやべ せんり)。女だった。いや,今も女だけども。

何となく男っぽい名前だが,如何も其れは名付け親が名付ける時に間違って男の子だったらバージョンの名前の方の戸籍届を市役所に提出してしまったかららしい。

ま,俺は此の名前気に入ってるけど。

其れに名前だけじゃなくて,普通に性格も男っぽかった。身体能力も凄く良かったし、周りからも男前ってよく言われた。

幼馴染みの立生とは腐れ縁で,近所に住んでいたからよく遊んで|《喧嘩して》いた。

んで,同じ仕事に就いた。まぁ其のオシゴトの内容についてはあまり大きな声で言えないものだったけど。


ところで,監獄に来てから1つ紛れもない事実に気づいた。


・・・此処,つまんねーわ。


見張りが必ずいるから外に出れねーし,躰が腐りそうだ。

部屋ん中で筋トレしてヨガやって体力を落とさないようにはしてるけど。

やっぽほら,太陽に当たりたいじゃないですか。人間だもの。


だから,いーいこーと思いつーいた♪

外にいる見張りは1人。其奴を気絶させて身代わりにして,次の見張りが来るまで俺が外で待つ。

3時間交代だから,次の交代が来た後直ぐに監獄巡りをする。

で,3時間経つ前に戻ってくりゃあいい。

身代わりの奴は,後で誤魔化せば良いし出来なかったら俺を逃した職務怠慢で脅せばいい。

自分の表情がとんでもなく気味悪いものになっていくのが分かった。



◇ ◇ ◇



あれから30分後。

作戦通り,部屋の中で悲鳴を上げて見張りがドアを開けると同時に手刀を首に落として眠らせた。

ちゃっちゃかちゃーと自分の服と其の男の服を取っ替えて,堂々と入れ替わってみせたのだ。

我ながら滑らかな動きだったと思う。

そして俺は今絶賛監獄ツアー中だ。

何コレ,正直言ってめちゃくちゃ楽しい。

相変わらず薄暗いけど,部屋に閉じ込められるよりはずーっと楽だし空気が美味ぇ。

此れで監獄の構造も分かるわけだし,随分と役に立つ。

大方巡ったしもうそろそろ戻るか,と考えながら歩いていると,誰かが話しているのが聞こえた。


「ですがカーライト王子・・・」

「・・・あの女,処刑と聞いて鼻で嗤ったんだ。何か隠し事があるやもしれんからな」

「隠し事?」

「あぁ・・・何か,全てひっくり返るような予感がしてな」

「・・・承知しました。面会の機会を設けます。2日後で如何ですか?」

「あぁ,その日でいい。頼んだぞ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


何か,凄い話聞いちゃった。

やっぱ彼の王子頭が良さそうだ。

2日後だな?

早速作戦を立てよう!!

相手が頭が良いときには,其れを利用してやればいいのだ。

俺の口元が緩んでいくのを感じた。





◇ ◇ ◇ 小ネタ


其の後,見張りがいる部屋にて。

着替えを済ませ,何が起こったか言い訳する準備をした。あと,女言葉を使う準備も。


そして,ベッドに眠る男を見遣る。

其の強靭な体躯に似合わないピンク色のやたら可愛いベッドが,面白さを際立てる。

込み上げる笑いを何とか堪えた。

多分もうそろそろ覚める頃なのだが。


「うっうぅ・・・」

「あら,やっと目覚めた?」


起きた彼は暫くボーッとしていたが俺の顔を見てハッとした。


「なっお前は!!えっと俺は確か・・・」

「貴方,私が花瓶落とした悲鳴聞いて此の部屋に来たのだけど。ダッサイことに跳ね返ってきたドアが直撃して気絶したのよ。中で倒れられても困るから,其処で眠ってもらってたってわけ」

「・・・何故俺を中に?言っとくが一介の騎士に恩売ったからってお前の処刑が覆ることは無いからな」


そう敵意を丸出しにする彼に溜め息を吐く。

こういう奴には,アノ属性が受けるのだ。


「・・・別に。ただ,外で倒れられても私が何かやったと思われたら面倒だし。かといって床で寝られても邪魔だし。仕方なく其処に寝かせただけだから」


別にあんたの為じゃないし,と若干口を窄めながら不貞腐れげに言ってそっぽを向く。

其の後チラリと彼を見ると,思った通り目を丸くして驚いていた。

そして其の後,耳を紅く染めながら何かを考える素振りを見せている。

此の『ツンデレ作戦』が上手く行ったようだ。元々此のセシリアの顔は整っているから,更に効果が上がったということだろう。


「・・・世話になったな」

「フン・・・・・・・・・いきなり悲鳴聞いて驚かせた私も私だけど。もうこんな傍迷惑なことしないでよね」


少し心配げに,でも其れを悟らせないようにしてるんだぞっていう口調で言葉を紡ぐ。

もう一回チラ見すると,今度は顔ごと紅くなっていた。


其れも此れも,脱処刑《ゲームクリア》の為の布石なわけだけど。

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