何か,アクヤクレイジョウて奴になっちまったらしい
初書きです。
誤字脱字や日本語下手くそですがお願いします。
「セシリア・ヒュールトン!!今日をもって君との婚約を破棄させてもらう!!」
そんな声が会場から響いたことで,何かパーティーだか何だかをやってるらしい会場がざわついた。
ってか此処何処だ。
俺,隣に住んでるマジでクソな幼馴染とスキーに行って,ヤバそうな雪崩に巻き込まれた筈だったのに。
何故かドレスやら何やらで中世のヨーロッパみたいな格好してる奴等がいっぱいいるし,目の前には美味そうな料理がたっぷり。
おまけに自分の髪が黒髪から茶髪になっててクルクル縦ロールのツインテールになってやがるし,着ている服もTシャツにズボンだったのに紫色のフリフリの動きにくくてダサくて然もゴツーいドレスに変わってた。
こりゃあ,最近近所の餓鬼共が騒いでやがる転生だか転移だかの類だろう。
問題は,此の世界にいた時の記憶がほぼ無いってことなんだがな・・・。
「おい!!聞いているのかセシリア!!」
ツカツカと苛立たしげに此方に向かって歩いて来るのはさっき壇上でセルビアだとか何だとかと婚約破棄するって言ってた奴だ。
何かやな予感がするな〜と思ってチラリと周囲を見渡すと。
(無視かしら,あのクソ女)
(こういう時だけ気取って憎たらしい)
(相変わらず変に豪奢なダサいドレスよね)
とチラチラ此方に視線&陰口が向けられていることに気づいた。
え,若しかしてセルビアって俺のことだった?
知らんのだけど。知らんけど,俺のことなんだろう。
だって他に変なドレス着てるやついないし。
「セシリア!!往生際が悪いぞ!!」
セルビアじゃなくてセシリアだった。
そんな事呑気に考えてたら,とうとうあの婚約破棄男が来てしまった。
吃驚するより先に腕を掴まれてしまい、其の儘壇上前まで連れて行かれる。
其処には,1人の少女を4人の男共が囲むようにして突っ立ってた。
少女の方は金髪青目で,4人の男のうち1人は茶髪に黒目の騎士服着てる人で,1人は赤髪に緑目のザ・インテリって感じの人で,1人は紫髪に赤目のチャラそうな奴で,もう1人は青髪に黄色い目した誠実そうな奴だ。
そして皆俺のこと睨んでる。何なら会場中の全員が俺のこと睨んでる。
俺,というか俺が入った躰の奴,一体何したんだ?
「皆には此の記念すべき卒業パーティーを台無しにしてしまい申し訳ないとは思っている。だが,此の公の場でないと此の犯罪者は裁けないと思い此の時を選ばせて貰った。許してほしい」
そう前置き置いた婚約破棄男に,会場の人々は拍手をしていた。
そういや此の男,よく見りゃ他の奴らより豪華な服着てるし言葉に重みがあるし,真逆の王子だろうか。
「改めて,私カーライト・ユーリッヒ王子は此処のセシリア・ヒュールトン公爵令嬢との婚約破棄を宣言する。理由は,此処にいる多くの学生達への迷惑行為や危険行為,更には殺人未遂までも行ったからだ」
当たったわ。
ってか此の女マジで何やってんだ。迷惑行為だの殺人未遂だの。
やるにしてももっと上手いやり方が・・・っといけねぇ。
考えが物騒だったな。
えっと,こういう時は・・・如何してこんなことを‼︎って考えりゃあ良かったかな?
と,現実逃避してたらインテリの奴が書類を提示しながら話を始めた。
「迷惑行為や危険行為については数々の苦情が届いている。授業中での人種及び身分差別の暴言,一部生徒への虐め,言うことを聞かない学生達に脅迫,加えて暴力等だ。そして殺人未遂については,其処のサリー・ストライン子爵令嬢が当事者として証言してくれる」
そう言って其の金髪青目少女に目を向けた。
「私への虐めは,3年生進級と同時に始まりました」
其の少女は俺に対して怯えたような態度を取っているが,ハッキリとした口調で話し始めた。
「初めはカーライト様と同じ生徒会役員だったことに対し,『インチキ』『汚い手を使ったと』罵られるだけだったのですが,日が経つにつれて教科書など自分の持ち物を盗まれ,上履きに画鋲を入れられたり,校舎裏で殴られたりされるようになりました。生徒会の皆様に其のことを告白し,注意をして頂いて少しの間は収まりました。けれど,ある日終に」
此処まで話した彼女は恐怖で目に涙を溜め,体を震わせている。其の背中をポンポンとチャラ男が優しく叩いた。
リア充か。
「終に,階段から突き落とされました。運良く助かりましたが,私は全治2週間の怪我を負いました。・・・本当に,怖くて仕方ありませんでした。今此の場をお借りできて誠に感謝しております」
そう言って深々と頭を下げる彼女にも大きな拍手が送られた。
『よく頑張ったわ』とか,『やっぱりあいつはクズだったんだな』という言葉が湧いて出てくる。
何か煩い。
「・・・だんまりか?ヒュールトン令嬢」
「・・・」
話しかけられても困るんだよなぁ。俺何も知らんし。
「フン,まぁいい。実は昨日,ヒュールトン公爵家の当主デリック・ヒュールトンが何年も前から密輸,人身売買,更には殺人にも手を染めていたことが分かった。殺人に至っては数十人への被害が確認されている。加えて娘セシリア・ヒュールトンの殺人未遂だ。よって特例法律を適用し,一家全員死刑に処する!!」
其の言葉にわっと会場がざわめく。
やっぱり怪しかっただの,恐ろしいだの早く殺せだの,憎しみと怒りが此方に向かう。
流石に貴族多めのパーティーだったらしいから,物を投げられたり殴られたりはしなかったが。
っていうか死刑って詰みじゃねぇか??
俺,雪崩で死んだかもしれねぇけどさ,せーっかく転移したらしいのに勿体ねぇ。
其れに。
目を伏せる。
其れに,一緒に巻き込まれた幼馴染の立生も見つかってない。
ムカつく奴だが仕事ではこれ以上とない相棒だった。
若しかしたら,此の世界にいるかもしれない。
だから,死ぬわけにはいかない。何としてでも生き残ってやる。
「プッ・・・」
「おい。何がおかしい」
死刑宣告に笑う俺を,皆怪訝な顔で窺うが此れも作戦通りだ。
「いや,何も」
そう答えて両手を揃えて前に差し出す。
「何だ其の手は」
「?監獄に連れて行くんでしょう。何か問題が??」
正直言って敬語なんて使うのは気味悪すぎて終わる。が,今は我慢だ。
そんな俺の態度を眉を顰めた何ちゃら王子ががじっと見つめてきた。
「お前,何を隠してる」
「・・・さぁ?」
おっと此の王子,勘がいいな?やっぱり一国を治める王の血筋を引いてるってわけだ。
煮え切らない俺の態度に溜め息を吐き,何時の間にか来ていた騎士達に拘束された。いや,痛い。そんなに強く掴まないでほしいんだが。
騒いだら面倒なことになりそうなので,無表情のまま為されるがままにさせとく。
さァ,勝負開始だ。