2.クズとイカレの接触
私と姫様の出会いは姫様が7歳のころ。
当時13歳の私が転売目的で町の図書館の本を盗んでいた所を司書さんに見つかってお説教を食らい、その時スッた本の管理書類から隠し部屋があることに気づいた私は
「ギヒヒヒィ!隠し部屋にある本とかクソ高く売れるんじゃアないのかよォ!」と夜中こっそり図書館に忍び込むことにした。
図書館の司書は2人いるんだけどその1人が年も年なおじいでこの人の当番の日は毎回1か所窓のかぎをかけ忘れる、この日を狙って閉館前に鍵を開けておいた。
キィィと軋む音とともに私は華麗な身のこなしで着地する。
もし見回りがいたら厄介なので内側から窓を閉め月明りを頼りに足音を殺し暗闇を進んでいくが警戒も杞憂に終わる。話し声も足音も聞こえないそれどころか松明の明かりさえ無い。
この時の私はラッキー!程度にしか思っていなかったが今考えると経費削減のための見回り0!ザルもザルな国営施設さんなのであった。
何の問題もなく受付カウンター裏までたどり着いた私は素材の違う床板をひっぺがし隠し部屋へとつながる階段を降りていく。転げ落ちないよう石壁に手をかけながら思ったより長くない螺旋階段を降り切った先は木製の扉があった。扉にカギはかかっていない、というか鍵穴すらない。
(カギ付き扉ぐらいへは改装するべきじゃない...?)
しかしいくら押しても引いても建付けが悪いのか開かない。
後先考えない私が悪かった。
蹴破って開けようとなんてしなきゃ良かったわ。
でもまさか静寂と固定と光量調節がかかってるなんて思わないじゃない。
国の施設だからこれぐらいあってもおかしくない?うっさいわ!窓の件で調子乗ってた訳じゃないし!いやホントだし!
同年代の中ではとびぬけて体格が良い私の飛び蹴りを食らってドアは木っ端みじん...とはいかず形が残ったままぶっ飛ぶ。
「ぐべっ」
「何奴」
「姫様を守れ」
「おっ、なんだァ?賊かぁオイオイ面白くなってきたなァ」
「...」
たどり着いた空間はそこまで大きくないが本が壁にぎっしり収納されている、奥には扉があり部屋の中心にはテーブルと椅子と衛兵さんがひとーり、ふたーり、さんにーん、口調がアレな女の子がひとーり。
Oh...
「捕らえよ」
「ヒィィィィ牢獄で手籠めにされるぅぅぅ磔にされて焼かれるぅぅぅやだぁぁああああああ!!」
抵抗空しく大人の男の人には勝てなかったよ...
「ころしゃないでくださいいいいい」
「お前面白いな!男か?女か?歳はいくつだ?得意なことは?字は読み書きできるか?」
「はひぃぃ女です13ですぅ!スリと高いとこへ登ることが得意で読み書きできますぅぅ!」
「いいぞ!お前うちの付き人にしてやる」
「ありがとうございますぅぅぅ」
「まぁた姫の勧誘癖だよ」
「いいじゃないっすか俺たちも元はゴロツキなんすから」
「それもそうだな」
とまぁこんな感じで捕まりドアをけり飛ばす位にはある力と無鉄砲さを気に入られ姫様のお付きとして働かせてもらうこととなりました。どうやら姫様は夜な夜な城とつながっているあの場所で図書館の秘匿書物を読んでいたそうな。
「なんであんな場所で本読んでたんですか?城にも書庫はあるのに」
「城じゃ危ないからってあの類の本は読ませてくれないんだよ、でもよたまたま城徘徊してる時に見つけた地下道探検してたらあの場所に繋がってて面白いことに司書と大臣の密談に鉢合わせた」
「それってマズいんじゃ」
「いいや?今の話は黙っていてやるがこれから毎晩ここにきて置いてる本を読ませろ、それとも今ここで死ぬか?それとも私を暗殺でもしてみるか?首謀が分かっている暗殺など後の報復を考えたら生産性に欠けると思うがなっつって黙らせた」
「度胸ありすぎだろ...ですわホントに7歳なんですの?というか大臣達は何を話してたのですの?」
「内容なぞ知らんハッタリだ、あとうちとお前しかいないとこなら気を使わなくていいぞメリンちゃん」
「私も私ですが姫様も大概ですね..そういやなんの本を読んでたのです?」
「悪魔崇拝、高位呪術、精霊強制隷属、疫病の流行らせ方」
「もうこの話やめましょか」
拾ってもらったはいいけどこれでいいのかと思いつつ数年が経ったある時。
ベッドに横たわったまま姫様が
「ちょい異世界見てくるから世話よろしく」
「...はい?」
「...」
「え?まじで?え?え?え?」
困惑する私を置き去りに眠りにつかれたのだ。
そして現在地下道にて追手に追われてます。
*TIPS 大臣と司書は王様の愚痴を言い合ってるだけであった。偶に料理長と収税官も混じるらしい。




