1章
ユウタ、40歳。ただいま、知らない道を探索中。
歩けども、歩けども、まだ人には会えないでいる。
歩くうちに気づいたことをまとめておこう。
最初の場所は青い木が並んでいたが、今は緑、赤、黄色とバラエティにとんでいる。
それぞれに同じ色の果実をつける様だ。
木に登ることはできなかったので、落ちていた果実でとりわけ綺麗なやつを食べてみた。
「ん、意外とイケる」
仄かに甘く、食料に適していた。上着を縛って袋にして、持てるだけ持ってきている。
動物は鳥、リスみたいなヤツ、たぬきみたいなヤツに出会った。
みたいなヤツとは角が生えていたり、知っている動物とは色が違ったり、鳴き声がちがうのしか見なかったからだ。
肉を食べたい衝動に駆られて捕獲を考えたが、素早く動くため近づくことすら出来ないと諦めた。
まだこのくらいしか分かってはいないが、あらためて違う世界に来たのだと確信は持てた。
人に出会えたとして、言語は通じるのだろうか、、、日本語しかできないが、、、
不安で足が止まってしまったようだ。
あたりも暗くなり、寝床を探す。
ちょうどよく洞窟、、、なんて見つかるわけもなく、カラフルな落ち葉を木の下に集めて中に埋まり寝ることにした。
小動物しかみてないが、念のため、身体が全部埋まるようにしよう。
まさかこの年で野宿する羽目にあうとは、、、
不安で眠れないかと思ったが、眠気には勝てずウトウトしてきた。
どのくらい寝たのか、、風の音が強く目が覚めた様だ。
その時、遠くから何やら明かりが近づいてきていて、物音が聞こえてきた。
「んー、この辺りのはず、気配はある。この辺を隈なく探すんだ。」
「わかってるよ。俺だって気配察知は持ってる。偉そうにするなよな。大体、2人しかいないんだからお前も探すんだよ。」
「別に偉そうになんか、、、一緒に探そうか。」
「あいよ。」
どうやら声の主は2人の様だ。何かを探しているらしいが、気配とか言ってたから人?
てか、これ、もしかして、俺を探してるのでは?
そうか、そうか、どっかの王国で召喚とかして、なんかの拍子に場所がずれてしまったパターンのヤツね!
見つけて貰えば馬車かなんかで城まで送ってもらって王様に出会い、王女に出会い、勇者とかに任命されて、大冒険&大恋愛のパターンね!
いいじゃん異世界!悪くないじゃん!
なんて思っていた。
なので、飛び出した時、目の前に広がる光景に驚いて、固まってしまった。
ガバッと落ち葉布団から飛び出し
「もしかして、俺を探してますか?」
と声をかけた瞬間、、、
首筋がヒヤリと、、何かを突きつけられている?
「、、動くな!」
え、お、おぉぉぉぉぉ!!なに?ナニ?何〜〜!?
目の前に先程会話をしていたであろう2人がいてこちらに武器を構えている。
あ、3人いたんですね、、しかも居場所バレてたんだ、、とりあえず敵意がないことを伝えなきゃ、、
「はい!う、動きません!」
びっくりしすぎて大声が出てしまった。震えが止まらない。
3人の警戒レベルが上がったのか、空気がピリつき、しっかりと武器を構え直し、目つきが変わった。
首筋のナイフが少し押し込まれる。
「、、何者だお前、、」
「い、いぃい、一般人です!何もしてません!!」
「一般人?なんでこんな時間にウチの縄張りにいる?」
「えー、いや、あの、、迷い込んでしまってですね。全く知らない場所で、お腹すいて、眠くなって、そしたら声が聞こえて、あの、とりあえず敵意がないことをお知らせしようと思いまして、、」
反応がない、、まるで何時間も経ったかに感じられる数秒が過ぎた後、3人が目配せし、全員が武器を下ろしてくれた。
「まぁ、そんなことだと思ったわ。拍子抜け。」
ナイフをしまいながら男が1歩下がって言う。
「あぁ、、じゃぁ、、近くの街にでも送ろうか?」
「そうしましょう。もう夜中ですしね。」
銃を下ろしながら、2人の男が問いかけてくる。
何やら雰囲気が柔らかくなったため、ここは乗っておいた方が良いだろう。
「あのー、、、、助けていただいてありがとうございます。よろしくお願いします。」
3人の男について森を進む。あたりは暗く手元のライトがなければ進む事は困難だろう。
索敵しながら進んでいるのか少し時間がかかりそうだ。時折小動物はいるが、こちらに近づいてくるようなものはいない。静かすぎて落ち着かないので会話をしてみよう。
「あ、お腹空いてませんか?その辺で採った果物でも要りますか?」
返事は無い。
「ここがどこなのかもよくわかってないんですが、一体ここは何なんでしょうか?」
返事は無い。
「これから行くところには王様とかいたりするんですか?」
これも返事は無い。
そうこうしているうちに広いところに出た模様。
馬車が見えたので、ここからは馬車で移動のようだ。
「よし、後ろに乗れ。」
こちらからの問いかけには、一切答えてくれないのに、、、でも、銃持ってるし、、従うしかないが、、、
「はい、、わかりました、、あ、そういえば気配がどうとかって言っていましたが、もしかして私のこと探してました?」