5.『唐突の黒い風』
これは後からの割り込み投稿のため、多少ならず色々と変なところがあると思いますが、気づいた方は優しく教えてくださると、非常に助かります。
──目を覚ますと、目の前に美少女がいました。
という冗談はさておき。
「、、おまたせ、じゃ、行こうか」
「ああ、行こうか」
弥生の声掛けにそう返し、歩き始める。
──暗闇での推測が正しければ、自分は状況を打開することを求められているらしい。
だが、問題はそこだ。クリア条件が正確にわからない。「状況を打開する」と一口に言っても、色々な方法が考えられる。たとえば、あの事故現場から離れるということが考えられる。おそらく一番安全で、問題がない。話している最中なら、それとなく別の道をとることもできる。これは、この周回が失敗したとき、次の機会にやろうと思っている。
次に考えられる案としては、あの現場から逃げる、ということ。最初の案と変わらないように思えるが、これは塾から真反対の方向に逃げる、という意味だ。何故ならあの事故の際、必ず、俺を殺したあの「黒い風」が出てきた。多少横にずれただけでは、追ってきて殺される可能性がある。
問題は、弥生への説明だ。当然真反対ということは説明が必要になる。だが、説明は上手くないし、なにより説明を信じてもらえないだろう。よって、却下。
──なおこの時、彼はこの権能(呼び名がないので一時的に権能と呼ぶ)を、違いが多くあるにも関わらず、比較対象にした本家本元のE〇Tな主人公の権能と同じものと思い込んでいる。(補足:全く同じとは言ってないが、違う点以外が同じだとおもいこんでいる)
──その身に課された誓約も、情報の正確性も、すべて同じものだと。
それはさておき。
次に考えつくのは、タイミングがわかっているからこそ、トラックに轢かれる前に手を引っ張って引き戻す、という方法だ。ギリギリだが、確実だ。そのあとの黒い風は...なんとかするしかない。
そう、なんとか次へすすむしかない。
──そんなことを考えていると、弥生が何か言いたそうにしていた。
「──?どうしたの?」
と聞いてみると、
「え、ええっと、叡人くん」
と改まった感じで話しかけてくる。
可愛いな、とそれに気を取られた瞬間、
──地獄がやってくる。
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一瞬、何が起きたかわからなかった。
トラックではない。そんなものは来ていない。
────ただ、弥生の首が刎ねられただけだ。
「──え?」
弥生の両方の首から降り注ぐすべての血が俺にかかり、そこで俺はようやく──
黒い風の脅威を理解することとなる。
やがて、首を刎ねられた弥生の体がしばらくし、倒れだす。それを咄嗟に体で支えようとし、
「っがぁあああああああ!!」
差し出した両手の手首ごと、弥生の体が滅多切りにされた。
「がああ!!ぐぁあああ!!!」
またも絶叫を上げる叡人を、「それ」は──
切り刻んで、切り刻んで、血霧に変えた。
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──暗闇の中で覚醒する。
「俺、は…」
「そうだ、弥生が死んで…」
「そうか、俺がここにいるってことは…」
「ああ、俺、死んだのか」
死。それは何度も何度も襲い来る。といってもこの数十分の間、さらに言えば3回だけなのだが、彼にとって「死」はそんなに軽いものではない。
まあ、唯一この権能でいいところといえば、せいぜい「死」の瞬間の喪失感を味わわなくていいという点だけなのだが。
つまりは、彼は本当の「死」を知っていないということになるのだが、
「それは横にのけて、今回俺が死んだのは…俺の記憶が正しければ、あの黒い風か」
そう、今回弥生と彼の命を奪ったのは例の「黒い風」であり、トラックではない。
だがなぜ、あの黒い風はあんなにも早く来て、彼と弥生の命を奪ったのか。
「…まぁいいか、それよりトラックだ」
そう、トラックだ。とにかく、あれをなんとかしなければ…
そうして思考を巡らせていると、
「…うん?」
いつのまにかスクリーンが現れていて、逆再生(?)をしていた。
つまり何が起こるかというと、
──遡行が、始まる。
注意:下の文はネタバレになる危険性があるので、『どん底』まで読んでからを推奨します。
つまり、読んでいる前提で話を進めます。
さて。
この死亡ストーリー、本当はなかったんですが、よくよく考えたら2回であそこまで狂うって、いくらどっかの某主人公でもなかったので、さすがに不自然かなと思い、死亡回数が増えました。今後とも、どうかこの下手くそな文章とお付き合いくださると、書いている作者としても嬉しい限りです。(見てくれている人がいたらですが)