比喩 カラフル婚約戦争
見目美しい王子の心を射止めるため、多くの姫がパーティー会場に訪れた。
集まったのは、一国を代表する姫ばかり。
彼女達は、それぞれの強みを活かして、王子の気を引こうとした。
赤の姫は、己の心の丈をぶつけるように告白し、情熱的にアピールした。
紫の姫は、自らの言動で魅了しようと、神秘的な笑みをこぼした。
桃色の姫は、ただ愛らしく笑い、無邪気な少女を演じた。
緑の姫は、泰然と構え、ただ静かに王子のその背中を支えた。
青の姫は、己の知略を生かし、さっそうと悩みごとを解決した。
黄の姫は、活力に満ちた行動で、見る者に元気を与えた。
しかし、無色の姫にはとりたてて長所がない。
壁の花と化すよりもむしろ、壁と一体化していた姫は、王子にアピールできなかった。
しかし、王子の命をねらった暗殺者が紛れ込んだ時に、自分ですら気づかなかった、己の才能を発揮した。
王子に成り代わった姫の機転で、王子は一命をとりとめた。
結果。パーティーの終わりに全ての姫の求婚を受けた王子は、それらの愛、全てを受け入れた。
多くの才能ある姫に支えられた王子。
そんな王子の国は、誰も敵う事のない大国に成長した。