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花束を摘む  作者: 金川都
ニ、四銃士の集い
29/29

二十八話 二人の負けず嫌い

二十八話です。

よろしくお願いします。


 翌日の午後訓練、昨日とは打って変わって曇り空の下、再びダリアとアザミは勝負をするという。


「今日は勝つ」

「今日も勝つ」

 昨日と同じようにアザミは何度もダリアに剣を落とされ、その度に再戦する。

 コスモスとウォートは前日はただ観ているだけだったが、今日はそれぞれ弓や槍の稽古に励んだ。


 訓練終了の鐘がなった時、アザミがまだ何も言っていないのに先に剣を納めた。それに対して勝手に終わらされたと思ったアザミが抗議しようとした時、

「今日は私の勝ちだ。明日も勝つからな」

とダリアは言った。

 アザミは何も言わなかったが、鐘がなって戻って来たウォートとコスモスも聞いていて、二人は顔を合わせた。


「で、今日は貰い物があるから食堂では食べない」

とだけ付け加えて、ダリアは寮へ帰った。


「さっき、"明日も"って言ったね。」

 ウォートはそれを言ったきり、何を思ったのか、少しの間何か考え事をしていた。

 アザミは今日も負けたことが悔しかったようで、訓練場の芝生を踏みつけて、苛立ちを露わにしていた。


 遠くからそれを見ていたコスモスは、ふふと笑ってアザミに言った。

「昨日、晩御飯食べなかったから負けたんじゃないのかい」

「うるさい」

 即答で、アザミはまだ怒っているようただったけど、誰かに本気でムキになるアザミが珍しくて、考え事の終わったウォートも少し笑っていた。



 それから5日ばかり経ち、今日もダリアとアザミは試合をする。やけにじめじめした日で、2人はいつもより早く息を切らし始めていた。


「負けず嫌いにも程あるよね。お互い」

 2人を見ていたコスモスが、ぽろっとそんなことを零した。

 隣にいたウォートは、コスモスの顔を一度見てから2人に目をやると、ただ、

「そうだね。」

とだけ返した。


 いつものように、剣のぶつかる音が辺りに響いて呼応している。何度も何度もぶつかる。

 そんな時、アザミが大きく振りかぶったのを、ダリアが受け止めた瞬間、ダリアの刀身が先から崩れ落ちた。


「お、おぉ、まじかっ」

 ダリアは剣が折れて取り乱していると、隙を見逃さなかったアザミが、ダリアの刃折れの剣を向こうへ飛ばして、それに手を伸ばしたダリアの正面は剣を向けた。


 それから、ダリアは両手を開いてアザミに見せるようにして、猫背のまま言葉を発した。

「私の負けだよ。」


「あ、アザミ勝った」

 ウォートが2人を見て言ったのを聞いて、すぐにコスモスは振り返った。

 ダリアが飛ばされた折れた剣を拾いに行った後、コスモスとウォートはアザミのもとへ駆け寄った。

「勝ったね」

「たまたまだ。剣が折れたからな他ならない。」


 少しも嬉しそうにしない。そんなアザミをじっと見て、ウォートは聞いた。

「満足してないの?」

「あぁ、正真正銘とは言えないからな。ダリアが剣を新調したら、もう一度、、、」


「はぁ? 嫌だね。何回付き合わされたと思ってんだよ。剣が折れたのはたまたまかもしれねーけど、負けは負けだっての! 少しは嬉しそうにしろ!」

 戻ってきたダリアは、すぐにそう言ってアザミの言葉をかき消した。


「いや、しかしこれが戦争となると、やはりちゃんとした剣を持つから、こんなハプニングは起こりえない。」

 ダリアは何十回も剣を交えて、やっと自分に勝てたはずのアザミが嬉しそうにしないので、またエンドレス試合に付き合わされるのではと、怒り散らして牽制しようとしたが、アザミが一向に受け付けない。


「これは訓練だっつの。私はもう懲り懲りだ。」

「私は価値を認めていない。」

「知るか! 勝ったんだから嬉しそうにしろ!」

「嬉しくない。」


 その言葉に呆れたダリアは剣をしまって、弓の稽古場は行こうとしていた。

「おい、まだ終わってないぞ。」

「一年後なら付き合ってやる。そいつらとやってろ。」

 足を止めようとしないダリアに、コスモスは肩に腕を伸ばして捕まえて、小声で言った。


「ねぇ、そろそろ使えなくなる剣を使い続けて、こうなることを知っていたんじゃないのかい」

「もう少し後のことだと思ってたけどな。あと、お前やっぱり性格悪い。」


 ダリアはコスモスの腕を退けて、スタスタと歩いっていってしまった。


「君がお人好しなのに」

 コスモスはダリアに聞こえるか、聞こえないかの声でそう呟いたのを、近くにいたウォートだけは聞こえていた。今回ばかりは聞かないフリをして、そのまま何もなかったかのように、槍の稽古に行った。

お疲れ様でした。

次話もよろしくお願いします。

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