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花束を摘む  作者: 金川都
ニ、四銃士の集い
28/29

二十七話 騎士長の娘

二十七話です。

よろしくお願いします。

 昼食終わり、訓練開始の鐘の音が鳴った時、4人はすでに訓練広場にいた。ダリアとアザミは軽い運動などをして、先程の試合の約束のために準備を整えていた。


「君本当によかったのかい? 実は面白くないでしょ」

 コスモスは疑うように、地べたに座るダリアの顔の高さに合わせて屈み、声をかけた。


「面白いのは本当だよ。前の団にいた時、個人訓練は誰も試合の話なんてして来なかったから新鮮だ。」

「そう。」


 両者ともに準備が終わり立ち上がった。

「いいか。どちらかが負けを認めるまでた。」

アザミを剣を抜いて、こちらに向けた。

「わかった」



「はーい、はじめー」

 コスモスがめんどくさそうに合図した直前に、ダリアは容赦なく開始後すぐにアザミの剣を飛ばして、すぐにアザミの首元に剣を止めた。


 14の少女とは思えない力量に、コスモスもウォートも初めて見た光景に驚きを隠せなかった。だが間近で体感したアザミは怯むことなく、

「もう一度だ」

としぶとくも、すぐに飛ばされた剣を取りに行き、それからすぐにまた剣を交えた。 


 コスモスとウォートは個人訓練を忘れ、2人の戦いを見守り続けた。

 途中、ダリアはアザミの"負けを認めるまで"というのは、負けという単語が出るまでのエンドレス試合であることに気がついた。

 それでも負けを認めるまでが試合なので、意地を張って、負けを言わせたいがために構わず応戦した。





 間もなく夕日が沈んで、夜空が見え始めそうな頃、訓練時間終了の鐘が鳴った。19時である。


 その時にはダリアもアザミも、汗だくで息もぜーぜーと切らしていた。実はあれから一度も休憩を挟まずに戦い続けていた。


 ダリアは訓練でこんなにも動いたことがなかったので、鐘を音を聞くなりスイッチが切れたように座り込んだ。

 汗が滴る中、アザミは暗くなった辺りを見て、睨みつかせてダリアに言った。

「チッ私の負けだ。明日も付き合え」


 やっと終わったと安心したのも束の間、"明日も"という言葉に一気に蹴落とされた。

「、、、まじか」


 アザミは剣を納めてさっさと暗がりへ消えていった。それを見たダリアも一つ汗を拭って、鞘に剣を納めた。

「えー夕飯食べないのかなー」

 コスモスがそう言ってアザミを追いかけようとしていたが、アザミはすっかり見えなくなってしまっていた。


「夜は3人で食べようね。」

 昼同様、ウォートはまたダリアに誘った。ダリアは疲れて考えるのもめんどくさくなっていたので、今度はためらわずに、ああ、とだけ返事をした。

 なんだか6月だというのに、蒸し暑くはなくて少し心地いい風が辺りで吹いていた。




 疲れたまま食堂は向かうと、昼よりは人が少なくなっていた。アザミと試合をしてから、一度着替えて来たから、大体の騎士達はすでに寮に戻ったのだろう。

 ダリアは昼冷えてしまった『サーモン詰めロールキャベツ』をリベンジするために再び注文して、席に座った。


「ふぅ」

 一口食べるとやはり暖かく、美味しいものは疲れた体によく効いた。昼の味気なさを忘れるぐらい。


「君ホントに強いね。」

 コスモスはフォークで蟹クリームパスタをくるくると巻いて、そう言った。

 昼とは違って、今度はコスモスがダリアの向かいに座っていたので、あの薄気味悪い作り笑みがよく見える。


「いや、メンタルはあいつの方が強い。」

「皮肉だなー。君に負けてしまったけど、アザミは強い方なんだよ。最年少の副団長だし、何より騎士長の一人娘だからね」

「そうか」


 ダリアはアザミがなんとなく強いのは知っていた。同い年とは思えないほど、存在に迫力があり、交えた剣はそこらの騎士とはまるで違ったからだ。でもダリアには及ばなかった。それだけのこと。


「君が強すぎて霞んじゃうな。戦争で勝利に導いてくれる英雄の、戦神はレベルが違うね」

 コスモスはこちらを見ずに、ただ言葉を並べるように淡々と話した。


 ダリアはそんなコスモスを一度見てから、ウォートを見て、またコスモスを見て口を開いた。

「お前、嫌味多い。性格悪いって言われるだろ」

「そんなの数えてないよ。」

「やっぱりな」


 ウォートは少し困ったような顔でいたが、ただ聞くだけで何も話さず、料理に口もつけず窓の外の星空を眺めていた。


「まぁ、アザミは多分君に勝つまで挑み続けると思うけど、嫌いにならないであげてよ。負けず嫌いなだけだからさ。」

「、、、お前どっちなの」

「何が?」


 コスモスは相変わらず、わざとらしく作り笑いを浮かべていたが、ダリアがアザミに嫌気を指したのかを内心心配しているようだった。

 それを聞いたダリアは少し疎外感を覚えた。まだ歓迎されていないらしい。


 そんなことは仕方ないことであるのは十分分かりきっていたので、コスモスの悪い笑みに負けないように笑い返して言った。

「負けず嫌いは好きだよ。私があいつを嫌いになるかは別だけど、勝負は楽しかった。明日も負ける気はない。じゃ」


 ダリアは先に食べ終わり、そのまま食堂を出て行った。

「あの子もメンタルも相当だね。戦神は違うわー」

とコスモスは姿勢を悪くして、ぐったりと椅子にもたれた。

 ウォートは食堂からダリアが出て行ったのを確認すると、星空を眺めるのをやめて、コスモスのを方を見て心配したように言った。

「あんまり意地悪しないでほしいな、コスモス。」


 そんな表情のウォートにコスモスは、眉を垂らして陽気に返した。

「ちょっと気になっただけだよ。ほら、私のパスタあげるから。また夜抜こうとしてるね」

「夜は食欲ないだけだもん。」


 コスモスは小皿をもらってきて、どんどんパスタを盛ってウォートの前に置いた。

「だからそんなに痩せてるのかい。だめだよ。今が成長期なんだから」


 ウォートは口を固くつぼませて乗り気ではなかったが、少しずつもらったパスタを口に運んだ。


「私パスタはブカティーニ(穴あきの麺)よりファルファッレ(蝶形の麺)の方が好きだなぁ」

「なかなか通なことを言うね。」

お疲れ様でした。

次話もよろしくお願いします。

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