一話 コスモスの憂鬱
いきなり三年経ってます。
元の始まり通り書きたかったので、ややこしくなってます。すみません!
わかりづらいのは嫌いだ!というお方は、後に書くであろう二章目から進んでいただきますよう、お願い致します。
三年ほど前まで、大陸の各地は戦争で溢れていた。
そして、この国は『戦神』とまで呼ばれた英雄がいた。戦場では、いつも青い髪を返り血で濡らし、安く脆い剣で駆け回っては、敵を討ち、武功を挙げる、まるでお伽話のような、そんな英雄が。
三年経ち英雄は昔話となった。三年前にバリス大戦という、大陸の歴史で一、二を争うほどの戦争が起き、それは世界に戦争の残酷さを改めて教えるほどのものとなり、それから戦は劇的に減ったことで、世界は平和に近づく形となった。
けれど、永久的に戦争が無くなることはありえない。もし、次に戦争が起きた時、私達は勝ち残れるのか、負けた後生きていけるのか。きっとそんなあやふやな、誰かは気づかないような平穏な毎日を平和と言うのだ。
あぁ、胸が痛い。頭が痛い。夏のギラギラの太陽が目に染みる。いつもマイナス思考であるが、最近は特に酷く、今日がその絶頂なのかもしれない。我が祖国・クリスタンの国王陛下にお呼び出しを頂いたのだ。
「かつての英雄、戦神を探して欲しい」
「左様で。」
「お前も知っていよう。近頃大陸のどこも戦はない。しかし、このままでは兵力は落ち、この次に戦が起これば太刀打ちできまい。あの大戦後から今まで騎士を続けている者は少なくなってきている。戦を知る者が減るというのは、個々の志を弱める。もし、この国にまだ戦神がいるならば、平和な世に甘えるなと喝を入れてはくれぬだろうか」
陛下は平和ボケしたこの国を嘆かれている。騎士である私の仕事は、陛下に安心した毎日を送っていただくことだ。けれど、その頼みは叶わないかもしれない。
「ご期待に添えぬやもしれませんが、それでも宜しいですか」
「構わぬ、任せた」
「御意。クリスタンが第八騎士団団長・コスモス=ステラ。我が国王陛下の命により、尽力して戦神を探し出しましょう。」
と手を胸に当てて答え、それから謁見から去り、廊下に出て壁にもたれた。
これは本当に連れて来なかったら、私死ぬのかな。実際陛下から直接命令を受けたのは初めてだ。今にも心臓が飛び出そう。気持ち悪い。
きっと陛下が私を読んだのは、戦神を知っているから、私が友人だったから、誰よりも血に濡れたあいつを見てきたから。
戦神は三年前、大国バリスとの大戦後、突如として姿を消した。誰もその最期を見ていないが、戦死したと言われていた。
けど、生きていた。この国で、この街で。当然、私は騎士に戻らないかと何度も声をかけた。だが、本人は流すばかり、引き延ばされ、そして、今だ。
今度ばかりは王命だ。あの顔を引き剥がして、その皮だけでも連れて行く。
そして、先ほどと同じあの眩しいギラギラの太陽の光が降り注ぐ街の広場で、戦神はスリと思わしき男に飛び蹴りを喰らわしていた。
(何やってんの、お前)
土下座×100のお詫びを捧げます。
第一章の始まりは、主人公であるダリアの友人・コスモスの目線からになりますが、後に入れ替わり、最終的に天の声になる予定です。