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花束を摘む  作者: 金川都
一、消えた英雄
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十七話 アザミとダリア

十七話です。

よろしくお願いします。

 ダリアはしばらく動いていなかったブランクを含め、体力も落ちていて、すでに息を切らし、額から汗が溢れ落ちる。ただ目は真っ直ぐアザミの方へ向けている。

「はぁ、はぁ」


 息も切らさず、汗も滲まずにアザミは淡々と言う。

「見ろ。これを平和と曰うか。」


 アザミは陛下の前でとんでもないことを口にした。誰もが平和と謳うこの世界で、ただ1人反論してみせた。

「ああ、そうだ。平和になったじゃないか。今10年、20年前のような戦争のない時代がすぐそばまで来ている。平和と言わず何という」





 アザミがこんな世界に不満を持つ理由が何なのか、それはわからいし、どうでもいい。

 けど、不満を持つこと自体に私は納得できなかった。だって、平和な世界になりますようにと、心から願っていたのは今は亡きウォートだったから。お前だってそれを知ってるくせに、どうして報いてやろうとしない。


「戦場だけがお前の居場所なのか。お前はそこでしか戦えないのか!」

 さらにアザミは納得いかなかったのか、この場に来て初めて声を荒げた。観客がさすがに演出出ないことに気がついて、一同が凍りついた。

 

 アザミは完全に熱くなっていて、それに気がつかない様子だった。が、その言い分がやけに突き刺さった私は、どうやらその熱さが移ったみたいだ。


「あぁそうだよ。私は英雄だから、戦神だからだ。他にどこで戦えと言ってんだ。訓練で人を守れると思うか? 命が無くなるのはいつだって戦場だろうが! そんなことも知らずにこれまでいたのか、お前は。平和ボケしたのはお前の方だな。」




「、、、、もう、やめてよ。」

 コスモスからぽろっとそんな言葉が出た。けれども2人にはその言葉は小さすぎて聞こえず、本当にこの2人を会わせてはならないのだと、コスモスは今更に後悔した。

 その時には手汗なんて、まるで濡れ雑巾を握ったように滴っていた。


「そんなに戦争がしたいのならば、お前はあれからやはり帰還していなかったのだな。ならば、英雄・戦神はここで無くしてやる。今その首を刎ねてやろう。」


 冷静さなんて消えたアザミの言葉に、私がやっと正気に戻った時、剣を持たないコスモスが私の前に立ち、庇うように手を広げていた。

お疲れ様でした。

次話もよろしくお願いします。

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