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花束を摘む  作者: 金川都
一、消えた英雄
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十二話 反射した記憶

十二話です。

よろしくお願いします。

 同時刻、配達を済ませたダリアは、コスモスが来るのを待ち、今にでも飛び出したい気持ちを抑え、城の外の石碑を眺め歩いていた。


 これまで入隊した人物の名が、上から下までズラリと並んでいて、見てるだけで気持ちが悪くなりそうだ。だか、そんな中で自分の名や、友人の名が彫られてある場所だけは、居心地が良く、呼び止められたようにその前で足を止めた。


《ダリア=カルミュア、コスモス=ステラ、アザミ=ユリオプス、ウォート=アモネ》この名が並ぶだけで昔に呼ばれる気がして、手を伸ばして石碑に触れた。

 快晴の中降り注ぐ日の光は、石碑を鏡にしてダリアを映し出していたが、ダリアに見えたのは今の自分ではなく、隊服を身に纏った短髪の頃の自分だった。そしてその横には同じ歳のコスモス、アザミ、ウォートが見えた。


 心にモヤのかかったダリアは、バリス大戦からずっとその頃の自分と友人ばかり目に映る日々を送っていた。自分を消したあの日、友人が戦死した日、血に濡れたウォートが自分の腕の中で死んだ日からずっと、ただ逃げ出した申し訳なさの、塊のような重圧感と、周りの期待のために守れなかった友人の報いがいつまでもそうさせるのだ。


______あぁ、なら私はどうすればいい。ウォート、お前が言ったんだ。


『きっと、ダリアは自分の好きな人が戦争で死ぬことがあれば戦えなくなるよ。』

 ああそうだよ。図星だからこんなに辛いんだ。あれから一度剣が持てなくなって、触るだけで手が震えた。汗が止まらず、動悸も乱れた。


『だから、その時は一度騎士を辞めて、全ての責任を捨てちゃおう。そしたら絶対救ってくれる人がいるから。』

 お前のいう通りにした。いくら願ったって、花流しで祈りを込めたって、誰も救ってはくれなかった。

 英雄になんかなりたくなかった。



 精一杯拳に力を込めては、どこにも発散できない怒りと虚しさを抑えこもうと、一度ため息を吐いた時だった。

「っっ」

気がついた時はそいつはそこに立っていた。

「アザミ、」

お疲れ様でした。

次話もよろしくお願いします。

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