十話 朝日を食む
十話です。
よろしくお願いします。
三年前のバリス大戦でウォートが死んだ。ダリアが戦い続けた理由が、生き抜くためじゃなく、仲間を、友人を守るためなら、今の私達はもう友人ではなくなってしまったのかもしれない。ただの腐れ縁だと思うと、なんだかやるせなかった。
翌日目が覚めると、ソファーで寝ていたダリアはとっくにいなくて、置き手紙だけ置いてあった。
《パン屋は朝早いし、配達があるから私はいないけど、朝食置いとくからな。食べたら皿はお姉ちゃんに渡しとけ。 ダリア》
とだけあったので、近くのテーブルにあったサンドウィッチを頂いて、下の階は降りた。
「コスモスちゃん、おはよう。よく眠れた? サンドウィッチはどう?」
ガーベラさんは、従業員の女の人とパンを焼いていて、今日も忙しそうだった。
「はい、よく眠れました。とても美味しかったです。この皿、洗っていきますね。」
「えぇ、いいの? ごめんね。」
「いえ」
皿一枚を洗っている後ろで、会計のお兄さんが品出しのために動き回ってるのが振動が床を伝ってよく分かった。それだけで、ここがどれほど有名なのかもわかる。
不意に、ガーベラさんが聞いてきた。
「ダリア、昨日は何か喋ってたかな。騎士に戻るって?」
やっぱり、お姉さんもその辺は気にしてたんだ。昔からこの姉妹を見てきたけど、お互いのやり方にどうやら干渉しようとはしないみたいで、兄が二人いる私とは少し違った雰囲気だ。
「いいえ、むしろ真逆で戻りそうにないんです、」
少し困った顔で笑って見せたから、お姉さんはさらに心配そうになってて、申し訳なかった。
「騎士の方が給料はいいのにね、どうしてなんだか、あははは」
と窯を見逃したら、一緒にいた女の人が何かに気づいて声をかけた。
「ガーベラさん、そっち焼けてるから出して。」
「はいはい」
ガーベラさんは慌ててミトンをつけてパンを取り出した。
「じゃあ、これでお暇します。昨日は押しかけてすみませんでした。」
思えば、あまりに急なことだったから、今更恥ずかしくなって、お辞儀は深くした。
「ううん、またおいでよ。これ、お土産に持ってって。」
「す、すみません。」
手渡されたのは3種のパンの包みで、チョコレートのや、ベーグル、サンドされたものだった。
それから一歩外に出た私は、口笛を吹いて、事務仕事の毎日に戻った。
お疲れ様でした。
次話もよろしくお願いします。




