6-9.エルフ侍の現状
うーん。
まぁ、ドワーフのことはこの国の人に任せればいいな。
ドワーフの鍛冶師が来た日の夜。
俺は久々の1人を満喫していた。
と、いうのもシャルロッテさんとマリアゲルテさんは流石に忙しいようだ。
シャルロッテさんはじぃやさんと公爵に対する今後の対応会議で忙しいらしい。
マリアゲルテさんはドワーフの鍛冶師、ゲオル老からもらったメテオライト製のハンマーを試しているらしい。
……今も、ドンドンと音が聞こえているから、多分まだやってるんだと思う。
ちなみに、相手しているのはノブナガとその家臣のカツイエ。
うん。まぁ。壊さないようにね、お城。
なお、もらったハンマーは所謂、ウォーハンマーというやつで、ハルバートの斧の部分をハンマーにしたような形状である。
素材的にはヴィゴーレの剣のあまりで作ったものらしく、元々重いメテオライトを使っているため、その威力は絶大。
重いハンマー部分を支えるため、柄には南方から仕入れた聖黒檀という木を使用しており、ヴィゴーレクラスの人間が振り回しても壊れないようになっているとかなんとか。
そんなおもちゃを、なぜマリアゲルテさんに与えたのか。
シャルロッテさんも案外、マリアゲルテさんには甘いのな。
どっかーん!ガラガラガラ!
いやなんか、明らかに壊れた音がしてるんだけど!?
何やってるのあいつら!?
ちょっとマリアゲルテさんの影の中に入れた影魔法と繋いでみる。
「賤ケ岳大振来!!」
「万物を貫く天災よ、我が雷となりて敵を討て!ライトニングボルト!」
明らかに魔法っぽい声も聞こえるんですけど!?
もはや武器の試しとかじゃないよね!?
これは流石に止めに入ったほうがいいか?
「双方!やめなさい!」
ん?この声はシャルロッテさんか?
もしかしてシャルロッテさんが二人を止めてくれ……。
「いい加減にしなさい!貴方達!いくら結界内とはいえ!」
「いやでも、お姉様……」
「いやしかし、大姫様……」
「言い訳無用!!」
あぁ、お怒りですね。はい。
拘わらないでおこう。うん。
「おぉ、こわっ。濃や市にも負けぬこの迫力。末恐ろしや……」
「あぁん?」
「ひぃっ!?」
ノブナガ、余計なこと言うから。
こういう時は拘わらないのが一番だぞ。
いやほんと。
怒ったシャルロッテさんは俺を檻に閉じ込めるからな。
「そこっ!逃げられると思いますか!」
「ぎゃっ!み、見事。大姫様。ぐふっ」
スパーンッ!
何かで叩いた音がした。
いや、何か投げて当てたのか。
当たったのはカツイエか。
そのまま反省しとけ。
ふぅ。今日はもうこっちに来そうにないし、このまま寝るかな。
あれ?ゴルディはどこ行った?
そういえば、さっきから姿がみえな……、っていうか首に乗っている感覚がない。
もしかして、どっかで振り落としたか?
まぁ、いいか。
ここはあいつの体内らしいし、さすがに自分の体で迷子になることはないだろう。
うん。放っておこう。
それがいい。
もしかしたら、誰か気に入った子がいて逢引中かもしれないし。
こんなことなら、影をゴルディにも入れとくべきだったかな。
ん?気のせいか、どこかでくしゃみが聞こえた気がする。
まさかまさか。そんな古典的な。はははっ。
というか、あいつ機械だからくしゃみなんてしないか。
うん。誰に向かって言ってるんだ。俺。
りりりりりり!
うわっ!びっくりした。
なんていうか、超久々な気がするぞ。
これは、エルフ侍と通信できる合図だな。
「もしもーし。こちら多夢和」
「おや?多夢和殿でござるか」
おぉ。あっさり繋がったな。
「なんか久々だな。そっち、どんな感じよ?俺の妹もいるんだろ?」
「拙者と同じ境遇の者たちも仲間になったでござるし、夢殿も頑張っておられるでござるよ。そちらはどのような感じでござるか?」
「同じ境遇?あぁ、俺たちより先に転移した人たちか。こっちはまだ、3人……いや2人か。そうだ、ノブナガも今俺の仲間だけど、お前ノブナガに仕えてたの?」
「大殿にあったのでござるか!?」
「あ、あぁ……」
鼓膜が破れそうな勢いで驚くエルフ侍に若干引きつつ、俺は事の顛末を説明した。
ノブナガが黄泉帰った事。
そのノブナガが四天王を召喚したこと。
配下?というか、仲間になったこと。
ゲオル老に出会ったこと。
彼の妹にあったこと。
親父の友人?のロボットが仲間になったこと。
話せば色々ある。
いや、もう。何だこの多さは。
我ながら頭おかしいと思う。
「やっぱ、異世界ってとんでもないな」
「やはり、異世界はとんでもないところでござるな」
はもってしまった。
「って、いやいや 。こっちに比べたらそっちは大したことないだろ?」
「そんなことないでごさるよ。拙者、今は警察という治安組織の特殊部隊、対魔導特殊機構隊の第三魔導機甲部隊に所属しているでござるが、こちらもなかなか大変でござる」
え、なにそれ?
初めて聞いたんだけど。
いや、特殊部隊ならその存在は秘密にされているのか?
「魔法少女に、鉄の巨人、戦隊を名乗る者たちに、全身タイツの鎧男、魔術協会を名乗る勢力までなかなか癖のある者たちが……」
「ちょちょちょ!ちょっとまってくれ!」
え、なに。俺のいた世界ってそんなにやばいところなの?
いや、魔法少女に戦隊?鉄の巨人はロボットだろうから……。ほとんどアニメや特撮の住人じゃないか。そんなのがうろついてたのか?
「まぁ、被害があったあとは第四機甲部隊が対応しているらしいでござるし、一般人にほとんど被害はでていないでござるから安心していいでござるよ」
何を安心しろというのか。
「ちなみに、戦隊の名前とかって言ってたか?」
「怪盗戦隊ゴウトージャーで御座ったかな?」
嫌な名前だなおい!
絶対そいつ等、正義の味方じゃないだろ。
むしろ悪の組織の名前じゃないか。
「其奴らには敵対組織があってでごさるな、たしかヒカラビーストでござったかな?」
ヒカラビースト?
火からビースト?それとも干からビーストか?
どちらにせよろくな名前じゃないな。
「夢殿が、其奴らにそれはもう、お怒りになってな。天杯機神ガルガイザーとなって成敗したでござ」
「ちょっとまてええぇぇぇぇぇい!!」
え、なに?うちの妹がなんだって?
「だから、天杯機神ガルガイザー、でござるよ。宇宙から来た鉄の巨人と融合して」
何やってるんだアイツは。
いや、まて。落ち着け。親父は過去にゴルディアンと、妹は今、ガルガイザーとやらになって地球を守ってるって?
え?なにうちの一家、そんな漫画みたいなやつしかいなかったのか?
この分だともしかしたらおふくろも……。
「なぁ、夢の母親……。というか俺の母親も何かしてたりとか……」
「あぁ芳子殿か。過去に魔法戦士として組織をいくらか潰したとかなんとか……」
はい、やめやめ!
結局、俺の一家でまともな一般人は俺だけじゃないか!
30超えて知りたくなかったわそんな秘密!
なんというか、ドッと疲れた気がする。
うちの家族の秘密とか、ここ一ヶ月くらいの報告とか。
そうそう。
結局、あのノブナガが出てきたときに出てきた掘り返した刀はエルフ侍……、アスティベーラがあの森、聖域とたいそうな名前でいわれているらしいが、そこに埋めていったものらしい。
理由は一つ。
それがノブナガの遺言だったからだそうだ。
恐らく、あいつが復活するための儀式のようなものだったのだろう。
あいつの性格上、聞けばポロっとしゃべりそうなものだが、そういえば復活した理由とか、そういうの聞いてないよな?
あ、いや。待てよ?それっぽいこと言ってたな?
えーっとたしか。儂の目的は人類にとっての災厄と成ることよ。だったか?
うーん。なんか違和感。
どっちかっていうと目的じゃなくて手段って感じだよな。
もっとその先に他の目的……いや目標があるような気がする。
あいつが人類の敵になって得られる結果か。
なんだろう?人類の共闘とか?
分析さんとか使えば何かわかるか?
……いや、いいか。
あいつ、アホっぽいし。
多分そこまで考えてないだろう。
ちなみに、あのブレスレットのようなものはオダ家に伝わる秘宝だったらしい。
その正体は、ゴルディが人の力を借りてゴルディアンになる為の魔道具らしい。
まぁ、もっともこれは天空城になる前の姿の時の物らしいが。
つまりはあの錆びた腕と同じものらしい。
かつてドリス皇国から東方の国への贈り物として送られ、流れ流れてオダ家の先祖に加法として受け継がれたとかなんとか。
ノブナガとゴルディの話を総合するとそんな感じ。
まぁ、これはバラバラに聞いたことなのでほんとかどうかは知らないが。
あぁ!もう!
考えなきゃいけないことが多すぎる!
情報過多だよ!まったく!
こういう時はさっさと寝るに限る!
おやすみなさい!
そう結論付けて、俺はお気に入りの毛布を引っ張り出して布団に潜り込むのであった。
アスティベーラのいう『怪盗戦隊ゴウトージャー』は本来の名前とはかけ離れたものです。
アスティベーラがよく聞いていなかったせいでこんな名前に……。
本来は『海洋戦隊ゴーオーシャン』的な名前を考えていました。
一般人(多夢和の妹)の乱入によりもう番組(見せ場)は強制終了しました。
簡単な設定も考えていたので、せっかくなので活動報告の方にさらっと書いておきます。
俺たちの戦いはこれからだ!




