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1-9.夜遊びの果てに

すみません。用事で投稿が遅くなってしまいました。

 俺は兵士が出て行ったことを見届けると、棚の上にある袋に目をやった。

『鑑定の魔眼』はこういう状態でも使えるのか試してみたかった。

 すると、思ったとおり表示が出た。


 アイテム名『魔猪の革の袋』

 レアリティ『☆』

 効果『特になし』

 説明『魔猪の革を袋状にしたもの。お手ごろ』


 ちがう。そうじゃない。袋の説明は要らない。

 中身を出して直接見ないといけないのか?

 そうしていると表示に変化があった。


 アイテム名『魔猪の革』

 レアリティ『☆』

 効果『素材』

 説明『魔猪の革をなめしたもの。一般的な革の素材』


 ちがう。そうじゃない。誰が素材を知りたいといったか。

 くそぅ…不親切設計め…。

 不親切設計を呪いたくなる。

 そう思っていると、また表示に変化があった。


 アイテム名『エルモアの種』

 レアリティ『☆☆』

 効果『素材』

 説明『エルモアの花の種。種の内部に発熱する化学物質を持つ。この物質は酸素に触れると急激に劣化するため、効果が出なくなる。種のままコルル液と混ぜることによってコルル液が種の殻を溶かし、種の内部に浸透することで爆薬の代わりとなる』



 おぉ、そうそう。これこれ。

 中身を知りたかったのよ。

 まったく、袋やら素材やら全部表示するなよ。………、あれ?なんか物騒な効果だぞ?

 爆薬の代わりって…


 他のも見てみよう。


 アイテム名『コルル液』

 レアリティ『☆☆』

 効果『素材』

 説明『コルルの種から採取される液体。栄養が豊富で浸透率が高いため、栄養剤として用いられる。ただし他の植物の種や鉱物にも浸透しやすいため、組み合わせによっては非常に危険とされている。代表的なものはエルモアの種と輝光石である』


 わぁい。しっかりあったわ。

 爆破する気、満々ですね。


 しかし、そのまま摂取すると栄養剤になるのか。

 どれちょっと味見を…



 そう思って気づいたときにはコルル液とやらがなくなっていた。

 あれ?いつの間に全部なくなったんだ?

 俺の周りには、コルル液とやらが入っていた空き瓶が転がってきる。

 というか、そういえばどうやって袋から出したんだっけ?

 もしかしてこれが『盗む』とやらの効果か?

 俺は空き瓶を前足でころころと転がした。

 うーん。よく分からん。

 すると突然、中身入り瓶が俺の前に姿を現した。…何ぞこれ。

 不思議なことに俺の目はその瓶に釘付けとなった。

 目が離せない。そして中身が気になる。気になるのだが…

 俺はもう一度『鑑定の魔眼』を発動した。


 アイテム名『レベルアップポーション』

 レアリティ『★★☆☆☆』

 効果『対象のレベルを1つ上げる経験値を持つ』

 説明『経験値を特殊な錬金方法で液体に溶かし込んだポーション。ただし、経験値はレベル1つ分までしか体内に吸収されない。地域により『鬼殺し』『強力丸薬』などさまざまな呼び名がある』

 販売元『フレスベルグ』

 生産元『オーグマ・大樹の防人亭』


 やっぱり、これが件のレベルアップポーションのようだ。

 うーん。それにしてもなんだろう。この感じ。

 このポーションがとんでもなく魅力的なものに感じる。

 まるでお酒を飲み始めたら止まらなくなるようなあの感じだ。

 いかんいかん。本能に負けたらいかんぞ!俺!

 あぁ、しかし、しかし…

 俺は、気づいた時にはポーションの瓶へと口をつけていた…





 ………

 ……

 …






 あれからどれだけの時間がたっただろうか。

 換気口から漏れる月明かりで俺は目を覚ました。

 眩しいな、おい。

 これだけ明るいとこの世界の夜は大変そうだ。

 などと少々的外れなことを思いつつ、俺は周りを見てみた。


 空き瓶。空き瓶。空き瓶。


 床に所狭しと空き瓶が転がっていた。

 え?これもしかして俺が全部飲んだの?

 ざっと数えても100以上はある。

 猫ってすごい飲めるんだなぁ…。

 ってそんなことあるか!

 どうなってるんだ!?


 俺は女神さまが用意したUIを開いてみた。

 きっとポーション中毒とか、お腹タップタップとかそんなデバフがついてるに違いない。なんか体、重いし。

 えっと、状態状態っと。

 うーん?

 特にデバフ的な表示は付いてないみたいだ。よかったよかった。

 他に変わったところは…



[パーソナル]

 名前『アレクシス』

 種族『ポーションイーター』

 種族ランク『E』

 レベル『241』

 好物『 』

 種族好物『ポーション類』


[ステータス]

 体力『A』(ベース:F)

 潜在魔力『A』(ベース:F)

 筋力『A』(ベース:F)

 防御『A』(ベース:F)

 敏捷『EX』(ベース:D)

 魔力『A+』(ベース:E)

 知力『A』(ベース:F)

 器用『A+』(ベース:E)

 対魔力『A+』(ベース:E)

 統率『A』(ベース:F)

 運『A+』(ベース:E)


[状態]

『好物を摂取した』(体力:筋力:運に+E)



 何ぞこれ?

 なんかレベルが馬鹿みたいに上がってる。

 まぁ、あんなポーションがあるくらいだし、レベル自体はおそらくそんなに高くないんじゃないかな?

 能力値はなんかEX+とかついてるけど、このベースってなんだろ?

 種族のベースがベース値でAとかEXが今の能力値なのか?

 数値で表してくれないとどの程度なのかよく分からんな。

 たぶんかなり高いの方だと思うんだが。

 まーた説明ないパターンだよ。本当にあの女神適当だな。

 などと思っていると、状態の下の方にメールのようなマークが点滅した。


 ………いや、まさかそんな。

 恐る恐る開いてみる。



[from]女神

[件名]オコです(プンプン)

[本文]失礼なことを考えたそこのあなた!

 一応、私は女神なので考えてないわけじゃないですよ!

 説明に関しては時間が無かっただけです。が、この機能であらかた出すことができるので、たぶん地球から来たあなたであれば、ある程度対応できると思います。始めの内はゲームだと思って、のんびりやっていただいて結構なので慣れてください。以上です。また世界間連絡の際にお話しましょう。


 P.S.どうしても気になるようなら城の近衛か執事あたりに鑑定をしてみてください。



 おいこら、まてや。

 なに?どっかから俺の心読んでるの?

 プンプンって…。昭和か。

 というかそこまで書いて寄越す暇があるなら、元から説明書けよ。

 はぁ。もういいや。とりあえずここから出よう。


 俺は樽に飛び乗る。

 お?ちょっと…、いや、かなり身軽になったように感じる。

 後はあの換気口の鉄格子を抜けれるかだが…

 ちょっと力を溜めて思いっきり飛ぶ。

 アブナっ!?飛びすぎた。かろうじて前足を換気口にかけることができた。

 必死に頭と後ろ足を動かして鉄格子の間に顔と片方の前足を滑り込ませ、無理やり上ると、案外あっさりと鉄格子の向こう側に出ることができた。

 一安心すると俺は空を見上げた。




 ……あぁ、こりゃ明るいはずだ。

 そこには大きなひとつの月とその周りを囲む2つの天体。

 さっき絵画で見た3つの月らしき天体が浮かんでいた。

 一つは大きく青い月、一つは赤い小さな月、一つは土星のように輪を備えた月。

 こっちの月はいろんな色があるのか。

 そして月もさることながら、星空がすごい。

 空に瞬く満天の星空。天の川のような空に浮かぶ運河。

 俺が生活していた町ではここまで澄んだ星空は見たことなかった。


「誰かいるのか?」


 満天の星空を見上げていた俺の耳に、男の声が聞こえた。

 おっと、この声は扉の前で待機していた奴か。

 ここは見つかる前に退散したほうがよさそうだ。

 俺は声のしたほうと反対側を向き、木に飛び乗る。

 おっと…。学習能力が無いのか俺は!また飛びすぎるところだった。

 すげーな。5メートルぐらい普通にジャンプしてしまった。

 警戒しながら眼下を通り過ぎる兵士を眺め、俺は辺りを見渡した。

 おや?なんかあるな?あれは…、石の、灯篭?いや、祠か。

 うーん。なんか祭ってるのか?まぁ、いいや。今日はなんか疲れた。

 部屋に戻って寝るとしよう。




 …美女の添い寝も待ってるしね。

9/1 追記

分かりにくいとご指摘を頂いたのでちょっとだけ解説。

ただし、主人公はこのことをまだ知りません。

アイテムのレアリティに関してですが、10段階評価です。

☆…1

★…2

となります。

表記としては5までは☆、6以降は★となります。

例)★★☆☆☆ … レアリティ7のアイテム

  ☆☆    … レアリティ2のアイテム


9/1 改稿

一段下げの機能を教えていただいたので、全文改稿いたしました。ありがとうございます。

2/10 修正

フレズベルグ→フレスベルグ

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