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5-12.ありえざる軍団

PC直りました

「がはははっ!大殿ぉ!面白いことになっておるのぉ!」

 大きい声で笑う青い刺青の大男。

 背中には大きな斧、戦斧というのだろうか。それを背負っている。

 何というか。これはあれか?

 筋肉マッチョ再来。

 なんだ?この世界は筋肉マッチョは標準なのか?

「カツイエ。面白いなどというものではありませんよ。大殿が私たちを呼び出したということは、それなりの事態なのですから」

 そう言うのは白い羽根のついた糸目男。

 ウィンディアってやつか?

 ひょろい感じで、優しそうな顔つきだ。

「相変わらず真面目よな!ナガヒデ!」

「まぁ、それだけが取り柄ですし」

「がはははっ!お主を真面目だけの男と言えるなら、オダ家も安泰だな!」

「たしかに。ニワさん、そんななりでもうちらの生命線っすからね。いやー、ありがたや、ありがたや」

「はぁ、タキカワ殿。貴方はもう少し真面目にですね……」

「いやいや、ミツヒデさん!俺、ヴァンパイアですし!そりゃ無理ってもんですよ。昼間は力が出ないんですって」

 そう言うのはやる気のなさげな男。

 ヴァンパイアとか言ってたな。

 しかし、あの腰から下げてるもの……。

 火縄銃?いや、バレルが短いからピストルか?

 この世界って銃あったのか。

「御屋形様。ところでこの状況は?」

「ミツヒデ。何か貴方、力が弱まってませんか?」

「ぷぷっ。ミツヒデさん忠義が足りないんじゃないっすか」

「なに!?それは看過できんぞ!ミツヒデ!」

「違います。私はまだ半身が生きていますので。その分、力が弱まっているだけかと」

 そういうのはポニーテールの美形エルフ。

 耳が長くて……、ってあれ?左耳が欠損してる?

 中ほどからバッサリと。

 結構痛々しい。


「おい。お主等。再会を喜ぶのもよいが、今は戦闘中じゃ。ちと向こうを向いてくれんかの?」


 んん?

 っといった感じで全員が公爵軍、帝国軍の方を向く。


「なんすか。()()。万は超えてるじゃないっすか」

「数は多いが……。()()はのぅ。鍛錬不足じゃろ」

「旗が二種類ありますね。少ない方の軍は、マシですが。多い方は練度が足りませんね。あれでは雑兵もいいところです」

「御屋形様。()()を制圧すればよろしいので?」

「おう。よろしく頼むぞ。先頭の二人は儂の獲物じゃ。手を出す出ないぞ」

「「「「はっ」」」」


「貴様!仲間を呼ぶとは卑怯な!やはり皇国は正々堂々戦えぬようだな!!」


「なんじゃあ奴は?」

「この状況、見えてないんっすかね?自分たちは万の軍勢を用意しておいて、たった四人の援軍を卑怯とか」

「将というか、人としてどうなんでしょう」

「性根が屑なんでしょう。どうせ、攻め込んできたのも言いがかり、妄言の類でしょう」


「貴様らぁ!!!」


 激高した敵将の声に応じて、数体の騎兵がノブナガに向かって突撃してくる。

 しかし。

「ふむ。ミツヒデ」

「はっ」

 ミツヒデと言われたエルフが太刀を一閃。

 突撃してきた騎兵を騎馬ごと叩き斬ってしまった。


「くそが!役に立たない愚図どもめ!」

「そう思うのであれば、ご自身で攻撃されてはよろしいのでは?」

「くそ!全軍で掛かれ!」


「がはははっ!大殿!好きに暴れさせていただきますぞ!」

 カツイエが気合を込めると、大地が大きく振動する。

「大震脚っ!賤ケ岳大振来!」

 足を大きく踏み込むと、地面が隆起し、騎兵たちを襲う。

「ふんっ!」

 斧を構え、敵軍にカツイエが飛び込む。

「がははははっ!そぉら!どうした!手も足も出ぬとはこのことか!」

 斧を振り回し、森ごと騎兵を薙ぎ払う。

 その振り回された斧は竜巻のように敵兵をなぎ倒していく。



「さて、こちらも始めましょうか」

 ナガヒデと呼ばれた男が、弓を取り出す。

「しゃーないっすね。俺もやりますよ」

 カズマスは……やっぱり銃を取り出すのか。


「はぁ。策もなくただ、突撃してくるなど」

「いや、もうこれはしょうがないでしょ。多分これ精神支配の類っすよ。あの司令官でしょうね」

 ナガヒデが矢を番え、狙いを騎兵の一人に定める。

「爆心弓。シューティングアローレイン」

 ナガヒデが矢を放つと、一直線に敵兵に向かっていく。

 途中で矢が十数本に別れ、騎兵たちを蹂躙していく。

 なんだあれ?魔法か?それともスキル?

 アローレインって言ったか。

 ゲームだと、水平じゃなくて天に向かって打って矢の雨を降らせる系のスキルだった気がするが。

 なるほど、水平に打てば雨の矢が水平に飛んでいくって寸法か。

 これはすごいな。発想の勝利だろう。


「いやー、もう。これだけ寄ってこられると、暑苦しいっすね」

 カズマスが、手を水平に降ると、空中に無数の銃が現れた。

 そのほとんどが、火縄銃。中には一部、カズマスが腰に下げているような銃身の短い銃や明らかに太い銃もある。

「数は……半分くらいで十分っすね。ブラッドコントロール」

 空中に設置された銃たちのうち、太い銃が少し前に出る。

「火炎銃。掃射」

 そういうと、太い銃から炎が噴出し、騎兵を襲う。

「短銃。正射」

 短い銃から、一発ずつ、騎兵に向けて発射される。

「長銃。斉射」

 火縄銃のような銃から斉射が行われる。

 いや、なんだよ。これ。

 まず、火炎放射器で迫ってくる騎兵をなぎ倒して射程距離の短い銃で近距離、長い銃で遠距離ってところか?

 さっき、半分くらいの数って言ってたけど、この数で半分ってのもすごいよな。



 にしても。

 相手の騎兵は突撃はしてくるものの、()()()()()()()()()()()()

 何というか。気持ち悪いにもほどがある。

 そういえばさっき、カズマスは精神支配の類って言ってたよな。

 もしかして、これ全員、そうなのか?

 だとしたら相当な魔法……、いやスキルか?どちらにしても相当な使い手がいると思うのだが。


 よく見れば、倒されている人間たちはほとんどが帝国兵だ。

 意図的にノブナガたちが公爵軍の人たちを避けてくれているのかな?

 いや、考えすぎか。

 公爵と黒鉄騎兵、以下騎兵たちはほとんど動いていない。

 先ほどのカズマスの言葉が正しければ、おそらく彼らは命令なしでは行動しないのだろう。


「がはははっ!この体は良い体ですなぁ!」

「暴れすぎですよ、カツイエ。とはいえ、確かにこの体なら負ける気はしませんけども」

「それ、まじ分るっす。俺なんて、もう、銃の掌握がめちゃくちゃ楽にできるっす。今なら千丁でも余裕っすよ」


 にしても、これがノブナガ四天王か。

 すさまじいな。

 笑う三人の相手をしている騎兵たちは気の毒だが。

 ってあれ?

 ミツヒデはどうしたんだ?


 斬る、斬る、斬る。

 向かってくる騎兵をひたすら無言で切っていた。

 ただし、斬っているのは上に載っている騎兵のみ。

 馬は無事だ。

 場合によっては手綱を切り、落としている。


 じ、地味だ。

 他の3人に比べて、すこぶる地味だ。

 地味だが、堅実と言うべきか。

 倒している騎兵の数は他より少ないが、ほとんどその場から動いてない。

 いや、もう、なんだろ。この圧倒的な戦闘。

 敵兵は順調にその数を減らしていっている。

 見える範囲、森の木より敵が見える割合の方が多かったのに、今は半々くらいだ。


「馬鹿な!なんだ貴様らは!いったい何なんだ!」

 狼狽する敵の司令官。

「はははっ!圧倒的ではないか!我が軍は!」

 高笑いする、ノブナガ。

「くそが!おい、木偶!さっさと突撃しないか!」

 敵将が何か言っているが、公爵と思われる人物は無反応。

 多分この無反応な一団が公爵軍かな?

「くそ!なんで反応しない!それでも皇国の公爵か!ジェイムス!ジェイムスはいないか!」

 ジェイムス?あの謎の紳士が確かそんな名前だったけど……、まさかな。

「ジェイムス?なぜ出てこない!くそ!どいつもこいつも役立たずが!こんなことなら、精神を完全支配せず残しておくんだった!」

 ん?なんだ?こいつ?

 今とんでもないことを言わなかったか?

「お主、まさかとは思うたが、本当にそんなことをしておったのか」

「この下衆め!」

 持っていた槍を構えるロウフィスには怒りの表情が滲んでいる。

「はん!皇国ごときの民の精神をどうしようが、栄えある帝国には少しのダメージもない!貴様らごときに人道だの正義だのが適応されるわけがないだろう!愚物どもが!」

 怒りを撒き散らす敵将。何が彼をそこまで追い詰めているのだろうか。

 しかし、この全く話が通じない感じ。

 こいつ頭は大丈夫か?



「……この時を待っていたぞ」

 敵将の後ろにいた、

 公爵らしき人物が動いた。

 手に持つ剣を振り上げ襲いかかる。

 但しそれはノブナガ達ではない。

 敵将に向けてだ。

「な……ぐわあぁぁぁぁ!?」

 バッサリと右手を斬り落とされる敵将。

 うわ!?グロい。

「き、貴様!!まさか自力で精神支配から抜け出したのか!?」

「この……わずかな時間だけだがな」

「ほぅ。お主、まさかこの機会を狙っておったとはな。流石は儂の認めた傑物と言ったところか」

「ふん。東方の覇王か。お前に認められても嬉しくはないわ」

「わはははっ!!そうかそうか!じゃが、介錯くらいはさせてもらおう。何か言い残すことはあるか?西方の」

「いらん。……が、叶うなら陛下に直接、お詫び申し上げたかった」

「息子達へは要らんのか?」

「俺の息子達だ。奴らはどうとでもなるだろうさ」

「なるほどのぅ。……よかろう。その言葉、儂が伝えると約束しよう」

「助かる……ぐっ!?」

 公爵らしき人物が急に頭を抱えてうずくまる。


「は、ははは!驚かせやがって!この糞が!私の腕のお礼だ!」

 敵将が残った左手で剣を振り上げる。それを振り下ろそうとするが。

「させぬよ」

 ノブナガが刀の峰の部分で敵将の刃を受け止めた。

「こやつの介錯は儂が引き受けたのじゃ。主の出る幕はないよ」



「くそ!くそ!くそが!どいつもこいつも!こうなったら……」

 敵将は懐から金色の液体の入った瓶を取り出した。

 なんだあの瓶?

 あれは……、ヤバい。

 ノブナガ、早くあいつを止めろ!

「ふむ。片腕で何をしようというのかな」

 おいばか。さっさと止めろ!

「はははっ!覚悟しろよ、くそども!出でよ!眷属ども!この世ならざる兵どもよ!」

 敵将が、瓶をたたき割った。

 すると、敵将の足元に魔法陣が広がる。





 あぁ!もう!

 こんなことなら俺が行けばよかった!

いろんな人が喋っているのでザックリ見分け方解説。

シバタカツイエ……対ノブナガ→大殿、対四天王→お主、呼び捨て

ニワナガヒデ……対ノブナガ→大殿、対四天王→呼び捨て

タキカワカズマス……対ノブナガ→殿、対四天王→○○さん

アケチミツヒデ……対ノブナガ→御屋形様、対四天王→○○殿

多分、間違ってないはず。

カツイエとナガヒデは喋り方が違うのでなんとなく察してください。

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