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3-5.転移と魔石

2/3 ドラディオさん→ドラディオに統一

 ゴリゴリとした歯ごたえ。

 ひんやりとした食感。

 油断すれば歯がかけそうになるほど硬い。

 

 

 うん。これは石だな。

 いや、食ったことねぇけど。

 知り合いが小さいものを料理して食ったことあるらしいけど、そんなサバイバルは絶対ごめんだ。

 

 ぺっ!

 とりあえず吐き出しておく。

 若干、というかなんか魔力的なアレが回復した感じはするが、気のせいかも。ほんと気がする程度だし。

 とか考えているうちに、俺の周りに先ほどのスノウウルフが近寄ってきた。

 お?何するの?

 なんとスノウウルフは俺の吐き出した魔石をゴリゴリとかじり始めた。

 まず、ひと噛みで二つに分けて二頭で分け合って食べてるんだけど、え?俺の吐き出したものだよ?汚くない?

 そんなことお構いなしと言わんばかりに貪り終わると、俺に尻尾を振って甘えてくる。

 うーん。でも俺、今、猫?の体だからなぁ。どうすればいいのか。

 額を体に擦り付けてくるのでこすりつけ返すと、視界の端に小さく白い文字でポップアップが出てきてすぐ消えていく。危うく見逃すところだった。

 

 実績「人外魔境」を解除

 スキル「魔物言語」取得

 スキル「対魔物コミュニケーション」取得

 

 ん?なんだこれ?実績?

 ぱっと思いつくのは、ゲームなんかで特定の条件を満たしたときに解除される、いわゆるトロフィー機能だろうか。というかそのくらいしか思いつかない。

 次世代型家庭用ゲーム機やパソコン用のゲームを購入することができるサービスでよく出てくる。

 それにしても、この実績というものを解除するとスキルを手に入れることができるのか。

「魔物言語」と「対魔物コミュニケーション」は役に立ちそうだ。

 解除できる条件がわかればこれからスキルを得る機会も増えるかもしれない。

 ほかにどんな実績があるかわからないだろうか。

 ちょっと確認してみよう。

「人外魔境」の欄に鑑定を使ってみた。

 

「人外魔境」

 5種類以上の人族および魔族以外の魔物を支配下に加える。

 

 ふむふむ。

 これは達成自体は結構簡単にできそうだな。

 これはスノウウルフたちは俺の支配下にはいっていると考えていいのかな?

 にしても5種類?

 スノウウルフは数に入ってるとして、あと4種類は何だ?

 支配下にあるってことは俺のあったことあるやつだよな?

 人間以外だと……、熊と、ウーマと、骸骨くらいな気がする。

 しかし、あれは支配下にはいっているといっていいのだろうか?

 そんなことを考えていると、説明文の下にいくつか名前が出てきた。

 チート万歳。

 ・スノウウルフ

 ・リッチー

 ・グラップラーウォーベア

 ・ウーマ

 ・アイランドホース

 

 アイランドホース?名前からすると馬か?

 さっきの説明文だと魔物らしいが一体どの馬だろう?

 馬車の馬かな?

 そう思っていると、今度はアイランドホースの説明文が別のウインドウで出てきた。

 

 種族名『アイランドホース』

 

 系統『アイランドホース系基礎種』

 

 ランク『Eランク・猟種』

 

 種族スキル『踏破』『突撃』『蹴攻撃』

 

 説明『馬の魔物の基礎種の一つ。広くアレイシアに分布している、ローティホースと比べ、島や山岳地帯などに多く見られ、長毛で筋肉質なのが特徴。前後の足首に袖と呼ばれる蹄を隠すようにして生えた毛がボリュームがあるが、これはメスへのアピールの為だとされる。エルムランド地方やアトゥラントゥス島の山岳地帯に多く生息している。主に穀物の葉を食べる草食だが、場合によってはネズミや小型の魔物も食べることもある。通常、野生では5~10頭の集団を形成し、1頭のオスに対し1~3頭のメスと番になる。戦闘ではリーダーであるオスのみが戦闘し、殿をこなす。リーダーが倒れた場合、次席のオスがリーダーになる。次席がいない場合は妊娠していないメスが牽引し撤退を行う。このため、群れ全体での生存率は高い。幼体は乳離れし、1~3年したあとたあと、兄弟どうし・姉妹どうしで集団を形成し、別の集団と合流し、新しい群れを形成する。稀に30頭を超える群れを形成することがある。非常に温厚で捕まえるのが容易な反面、殿を残して撤退する等賢い性格の為、一度に複数頭捕まえることは非常に困難である』

 

 長い!

 動物図鑑ばりの説明文ありがとう!

 そう皮肉を込めて心のなかで感謝すると、またもポップアップウインドウが出てきた。

 

「どういたしまして」

 

 えぇ!?会話できるの?これ?…いや、女神の仕業か。

 皮肉だよ!

 

「あ、あの?アレクシス様?」

「くぅ~ん」

 ん?あぁ、しまった。すっかり、説明文に夢中になってしまってドラディオたちのことを忘れていた。

 さっきの像をなんとか早く城に届けたい。

 歩いて帰るのでもいいけど、さくっと終わらせることができればいいんだが。

 とりあえず、転移するか。

 しかし、いきなり転移しても大丈夫だろうか。

 言葉伝わらないしなぁ。ん~。まぁ、いいか。

 俺は狼狽しているドラディオたちをしり目に、転移魔法を発動させた。

 

 転移先は城の中庭だ。

 うん。問題なく転移できた。

 ドラディオたちと像も無事に転移できたようだ。

 何事もなくてよかった。

「こ、ここは王城?まさか、そんな……」

「お、おい旦那。いったい何が起きたんだ?」

「俺達にはさっぱりわからんのだが」

 流石のドラディオも転移には驚くか。

 スノウウルフも心なしか怯えているように見える。

 あーうん。何の説明もなしに申し訳ない。

 しかし、どう説明するかなぁ。

 まず、話ができないしなぁ。

 人型になれば伝えられるようになるかもしれないが、今は一分ちょっとしかなれないから、伝えきれる自信がない。

 あ、そうだ。ファンタジー作品によくある伝達方法は使えないだろうか。

 テレパシーみたいな。魔力を乗せて思念を送るみたいな。

 試してみよう。

 うーん?うん?

 これをこうして……、あれをこうして。

 あ、ちょっと魔力が何かに引っかかる。

 スキルがないと厳しいのか?

 爪とぎとかはすぐ習得できたのになぁ。

 っと、それよりもドラディオたちとフォローしないとな。

 俺はポーションイーターの姿に戻ると、ドラディオたちに懸命に訴えた。

 

 にゃー!にゃー!にゃー!

 ガンッ!

 伝わらねぇ!!

 

 あー、なんかないか?なんか……。

 どうせならさっき対魔物コミュニケーションじゃなくて対人間コミュニケーションが欲しかったな。

 あ、まてよ?さっきドラディオは俺に気づく前、なんて言ったっけ?

「え?今、声が……ア、アレクシス様!?」

 あの時は勘違いかと思ったんだが、もしかしたら本当に声が伝わるのかもしれないな。

 でもどうやったら伝わるんだ?

 あの時は魔力が持っていかれたんだったっけか?

 うーん?とりあえず、魔力を流すイメージでやってみる。

 

「とりあえず落ち着いてくれ。さっきのは俺がやったんだ。帰るのがめんどくさそうだったから全員転移させたんだ」

「???」

 ドラディオが首をかしげている。

 

 これは失敗か?

 あ、待てよ?

 今度は自分の目に先ほどのように魔力を流すイメージをしてみる。

 そのうえで、先ほどと同じような内容を送ってみた。

 あぁ、でも俺がやったってわかると動きづらくなる可能性もあるな。

 異世界ものの作品ではよくあることだ。

 権力と報酬を求めるか、自由に動き回れる立場を求めるか。

 俺の場合はシャルロッテさんのペット的な扱いだろうし、別段権力を求める理由もない。ここは自由に動き回れる立場一択だろう。

 ちょっと修正。できればドラディオたちの心のうちにとどめておくように追加してもう一度念じてみる。

 あ、でも信条とか王家からの命令とかになると無理に隠さなくてもいいことも追加しておく。

 まぁ、バレればバレたで気配寸断でこっそり出てくるだけだからな。

 

 しばらくするとドラディオ達はうつろな目ををしはじめた。

 ん?これは成功したか?

 

「かしこまりました。アレクシス様。では門外で馬を調達したことにいたしましょう」

 おお、成功したっぽい。

 ちょっと怪しかったけど、問題なく届けられたのか。

 これは利用価値があるぞ。

 

「ドラディオ、早かったですね」

 お?この声はシャルロッテさんか。

「これは姫様。ただいま帰還いたしました」

 ドラディオが恭しく礼をする。

「ありがとう、ドラディオ。詳しい報告は後ほど執務室で受けます。皆さんもお疲れさまでした。今日はゆっくり休んでください」

「ありがとうございます」

 

 おぉ、なんだか姫様っぽい!

 いや、実際姫様なんだけど、最近ポンコツなところしか見てなかったからなぁ。

 

 執務室に行く途中、シャルロッテさんはドラディオに口を開いた。

 なお、俺と二匹のスノウウルフはドラディオの後ろにくっついていっている。流石に見逃してはもらえなかった。

 

「あ、そうだ。そういえば、魔石の確保はどうでしたか?」

「はい。いくつか領内の魔獣の痕跡を捜索した結果、おおよそ20種類の魔獣の痕跡が見受けられました。やはり、領内の魔獣は種類、数共に増えているようです。ギルドに正式な依頼を出されるのがよろしいかと」

「わかりました。魔石があれば生産や改修も容易になりますからね。ドラディオ、手配をお願いします」

「承知いたしました」

 へぇ、多分魔石ってのはさっきの石の事だよな。魔獣から採取してるのか。

 どんなことに利用してるんだろうな?今度調べてみよう。

 まぁ、多分あれだろうな。

 ファンタジーお約束の魔力の篭った便利石。

 杖とか魔道具とかに加工するんだろ?

 

 そう思いながら、俺はスノウウルフと共にシャルロッテさんたちについていくのであった。

遅くなって申し訳ありません。

書き上げる→プロット修正→ストーリー修正して書き上げる→プロット修正→ストーリー修正して書き上げるの繰り返しでした。

ものを書くって難しいですね。

おかしなところが多々あるかと思いますが、必要になればまた修正を加えます。

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