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16-7.一件目

「えっと、そういやなんで居るんだ?」

 俺は素朴な疑問を氷室さんに出してみた。

「え?あのアンデッドの人に、貴方にも息抜きがいるだろうからって連れてこられたんだけど?」

 息抜き?

 いや、まぁ確かに氷室さんがいると色々助かるけどさ。

 それなら別に氷室さんじゃなくても……。

「……冗談よ。多分、お目付け役じゃないかしら?あなたがサボらない様に」

「あぁ、なるほど?」

 そんなに信用無いか?俺?

「そんなことより、ほら次は壁でしょ?」

「あ、あぁ」

 俺は氷室さんに手を引かれ、壁の建設予定地へと足を向けるのだった。



 壁の建設予定地にはそこそこの人数がいた。

 中にはシュバルトディーゲルやイーサンの姿もある。

 え、君らこんなところで何してんの?

「ギルドに依頼を出してもらったからな。開拓の手伝いだ」

「私も、微力ながら岩や樹木の撤去に従事させていただきました」

 あぁ、そう……。

 随分贅沢な人材の使い方だな。

 つい先日、災害級の魔物を倒した奴らだろ?

 って思うのは多分俺がステータスを見れるスキルを持っているからなんだろうな。





 いや、しっかし。

 広いな。この予定地。

 城から見る皇都も広いがそれに匹敵する広さじゃないか?

 俺が魔法を使って大まかに平らに確保した土地は結構な広さがあるんだよなぁ。

 ……正直、何も考えずに魔力を使い過ぎた。

 というか、此処にいる人たちも全く動揺してないのもどうなんだよ。

 イーサンはさっきまで口が開きっぱなしになっていたが、氷室さんやシュバルトディーゲルに何を言われたのか今ではなにも気にしてません、とでも言いたげな塩対応だ。


 それに人口がこれほどの土地が必要になるまで集まるかっていうと分からないんだろうな。

 えっと、ここに立てる予定の街はなんて言ったっけ?

 俺は懐からナガヒデが書いた羊皮紙を出す。

 確かこの書類に結構いろいろと書いてたよな?


 えっと、なになに?

 建設予定の街は商業及び牧場に特化した都市の予定。

 馬車が4台通れる程の大きな街道を十字に整備し、この都市を中心として東西南北に関所と街道を整備予定。

 今後の事を考えて、北東、北西、南東、南西にエリアをきっちりと分けて二重壁を設置。

 内壁の中は商業、工業、貴族、領主・行政エリアを設定。

 住居エリアは内壁のすぐ外側に配置。

 ただし、内壁の外側に商業設備を配置することは止めてはならない、か。

 これって外壁の内側は何を作るんだ?

 そう思っていたら但し書きがあった。

 外壁の中にはラプトル、馬の訓練施設と育成施設を作る。

 外壁の外には畑、家畜設備を中心に建てる予定。


 って事は町の外側から畑、家畜、外壁の中に入ると育成施設、その内側に住宅、内壁を越えると町の機能を集中したエリアになる、と。

 ……なんというか、ゲームの街かよ。

 多分これ、実際に作ってみると商業エリアの反対側の住宅エリアは買い物に行くのも大変じゃないか?


 あ、待てよ?

 この町って計画書を見る限りは基本的には商業、畜産系の街になるわけだから……。

 バスの要領で馬車による環状線でも作ればそういった立地の人にもまんべんなく行政サービスや都市サービスが受けれるか?

 いや、いっそのこと郵便のための拠点を作るのもいいかもしれない。

 要は街道の中心である利点と、皇都でたらしく飼い始めたラプトルたちを利用できる施設を作ることで他の街と差別化ができるわけだ。

 郵便か。良い案かもしれない。

 それに、ここ数ヶ月、ラプトルの調教を担当してくれた担当者の話だと、馬より速度や積載重量に劣るが、小回りが利き利口で踏破性に優れる、とのことだったな。

 担当者は多分戦場においての話をしていたんだろけど、こうやって考えてみるとむしろ街中や限定的な環境でこそ彼らが輝くと思う。

 遠方へは馬の魔物を使って、近距離ではラプトルたちを使用する。

 彼らの踏破性があれば、山岳の多いグレイスノース公爵領や旧神聖トリポリタニア公国の領土へも郵便機能を拡充できるだろうな。


 ってしまった。今はそんなことより壁だったな。

「えっと、シュバルトディーゲル。ここの工事の責任者は?」

「はい。私でございます」

 あ、そうなの?

 最近、城にあんまりいないと思ったらこんなところで監督をしてたからか。

「補佐としてレノス・ジュノア子爵様とスティーブ・カルア子爵様をお借りしております」

 へぇ。

 レノスもスティーブも大変だな。

 他にも仕事あるのに……。

 ……今度、何か労いの品を用意しようか。

 レノスは騎士団の諜報部隊を統率しているし、スティーブは薬師部隊を統率してたよな?


「えぇ、大丈夫です。問題ありません」

「はぃ。ちょっと疲れてますけど。大丈夫です」

 とは本人たちの言。

 いや、こりゃ確実に無理させてるわ。

 すみません……。



「そういえば、壁の土台は俺が魔法で鳴らすとして、壁の材料はどうするんだ?」

「材料、……ですか?そうですね」

 シュバルトディーゲルが俺の方をじっと見る。

 え、なに?

「いえ、土台のついでにレンガのようなものを作っていただけないかと」

 あぁ、なるほどね。

 要は材料を作ってくれって事ね。

 了解了解。





 ……って、うぉい!?

 ちょっと待て!?

 もしかして材料から土台から全部俺任せかよ!?

「あ、街道用の石畳の材料もお願いします。ナガヒデ殿からはできれば灰色に近い石で統一してくださいとのことです」


 そっちも!?


「頑張れっ!」

 氷室さんも完全に他人事じゃないか!?

 でも普段の彼女とイメージが違って可愛いから許すっ!



 俺は背中からの声援を受けつつ、思いっきり頑張った。

 魔法で生成した無数の石レンガ。

 そしてそのレンガを乗せるため土台。

 そして街道整備用の石畳用のレンガ。

 これで全部足りるわけではないだろうけど、これだけあればとりあえずは何とかなるだろう。

 後はシュバルトディーゲル達に任せよう。

 俺はもう疲れたから休みたいよ。



「お疲れさまでした。主様」

「あぁ、うん。ほんとに疲れたよ。ちょっと休むから……」

「いえ、それが……」


 え?なに?

「あちらに、ナガヒデ様から派遣されたエルフの方が」

 え?

 俺がそっちの方を見ると確かにエルフが二人。

 見たことない気がするけど?

「主様。ニヤァーベの里の近くの建設現場の担当者でございます」


 ……あぁ、なるほどそっちの。

 ……今日中に帰れるかな。


遅くなり申し訳ございません。

今回も少し短いです。

結構しつこい感じで今も咳が残っています。


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