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2-11.軍事クーデター

 白と青、灰色を基調とした城に紅蓮の色が混じる。

 跳ね橋が下りている?

 そこから色とりどりの旗を持った人たちが城に流れ込んでいる。

 白地に緑、黒地に赤、白地に青と黄色。

 しっかり見てみるとそれぞれに、馬、鷲、ペガサスの刺繍がある。

 さらにその後ろに赤、黄、緑の細い旗のようなものがある。

 なんだこりゃ?

 攻め込んでる軍の紋章みたいなもんか?

 おっと、そんなことより彼女たちはどこだろう?

 目線を渡り廊下に向けるとそこにはじぃやさんが兵士たちの指揮を執って侵入してきた兵士たちを撃退している。

 兵士の鎧の帯の部分の色も違うからわかりやすいな。

 じぃやさんの指揮している兵士は青帯。

 攻め込んできている兵士はそれぞれ緑、赤、黄色の帯をつけている。

 何人か鎧そのものが違う人もいるけど。人数は多くはないな。

 位置的には……、じぃやさんの後ろ側に姫さんたちがいるのかな?

 あれ?でもエントランスから直接階段を上がっていけば姫さんの部屋にたどり着けなかったっけ?

 あぁ、位置的にエントランスが集中攻撃食らっちゃうからこっちから回ってきたのか?

 さすがに一方的に高所から狙い撃ち……、なんて敵さんも嫌だろう。

 まぁいいか。とりあえず姫さんたちのところに……。

 ん?あぁ、裏の方からも敵が来てるか。こりゃまずいな。

 早く見つけないと……。

 いや、待てよ。探さなくてもこの間のように匂いとかでわからないかな。

 ちょっと集中的に匂いと気配をたどることにした。



 ……見つけた。

 が、これはまずい状況のようだ。

 姫さんたちは俺から見て二階の右手、三つ目の部屋だ。

 確か、中央の階段に向かう廊下にある部屋だったはずだ。

 そこに姫さんたちの匂いと、多分十二種類の匂い。

 おそらく、姫さんのほかに十二人の人間がいるのだろう。

 じぃやさんが通すとは思えないから、多分どっかから抜けてきたのだろう。

 シャルロッテさんとマリアゲルテさんからは、鉄くさい……、いや、血の匂いがしている。

 これは急がないと。


 とりあえず、窓のほうから部屋に入ることにした。

 緊急事態だから、多少壊れるくらいは勘弁してもらおう。

 今の俺のステータスなら、多分窓ガラスくらいなら簡単に壊せるだろう。

 あと一つ思うところがある。




 正直、窓ガラスを割って突入ってかっこよくね!!




 アニメや漫画でかっこいいランキングに入るようなキャラがしそうな行動、俺的ランキングベスト3に入る行動だ。

 ちなみに残りは『殿』、『単騎突破』が入る。



 つまり何が言いたいかというと、今めっちゃテンション上がってます!



 姫様を助けに『単騎突破』で『窓ガラスを割って突入』!

 体が猫じゃなければなぁ。


 っと、こんなこと考えてる場合じゃなかった。

 はやく姫さんたちのところに行こう。

 俺は一気に加速をし、目標の部屋のほうへ飛んだ。



 まぁ、言い訳するわけじゃないけど、角度が悪かった。

 それにまだ完全に慣れてなかったのも原因の一つだろう。

 簡単に言うと、俺は窓ではなく、窓枠……、石で作られた、出窓の部分の屋根部分に見事命中し、出窓部分をごっそりと削る穴をあけて城内へと進入してしまった。


「な、なんだ!こいつは!?」

 兵士が何か言っているが無視。


「アレクシス……?」

 対してシャルロッテさんが目を丸くして驚いた表情でこちらを見ている。

 その直後、気を失ってしまった。

 ありゃりゃ。まぁ、都合がいいか。


 正直、俺は怒っていた。

 ここは数日過ごしただけだが、居心地がよかった。

 シャルロッテさんは優しくしてくれたし、じぃやさんやメイドさんたちも俺の世話を嫌がることなくしてくれた。

 もし、俺がここに来た時に彼女たちにあっていなかったら、食事やこの世界の情勢を知るのももっと苦労しただろう。

 マリアゲルテさんにしても、最初こそびっくりしたが、しばらく見ていると凛々しいというより愛らしいと表現したほうがいいことも気づけた。

 ウーマとかいう首の長い牛もこの二人がいなければ出会うのも、もっと先になっていただろう。

 とか、いろいろ理由をつけてはいるが、まぁ、なんだかんだ、俺はこの環境を気に入っていた、ということだろう。

 改めてよく見ると、シャルロッテさんには右手に傷があるし、マリアゲルテさんに至っては胸当てが壊れてしまっている。よほど強く掴まれたのだろう。腕には掴みかかったような赤い痕までついている。



 無性に腹が立った。

 なんだって彼女たちがこんなことをされなければいけないのか。

 王政であるこの国でどのような治世がされていたのかはわからないが、俺の知る限りではここまでのことをされる要素は見つからなかった。

 いや、まぁ、俺の主観では、だけど。


 とりあえず、この兵士たちをどうするか。だが……。

 俺は迷わず、種族登録の画面を開いた。

 彼らを無力化するのに、やはり姿を怖いものにしたほうがいいだろうと思ったのだ。

 何かいいものはないかと思ったのだが、候補としては「バッドイーター」「ヴォルガモア」「テラーデビル」あたりだろうか。

 おそらくこの辺りは今までよりもさらに上位種の魔物にあたるはずだ。

 ゲームなどでも、モンスターは後半のほうがより大きく強面になっていく印象がある。

 そんな風に考えていると……。

「俺がこいつをやる!お前たちは姫を捕らえろ!」

「了解!」


 おっと、もう時間はあまりないようだ。

 とりあえず、「ヴォルガモア」とやらにしておこう。

 俺は「ヴォルガモア」という種族を選択した。





 目線は……、今までと比べてだいぶ高い位置にある。

 兵士たちの顔の位置よりも高い。

 羽根の感覚はないが、四肢の感覚はだいぶ力強いものへと変化している。

 体毛は黒をベースに足先には赤黒い体毛、全体的に赤みを帯びた縦縞が見える。

 あぁ、見た目でわかるわ。これやばい奴だ。

 その証拠に……

「な……、なんだこいつは!?こんな奴……、図鑑でも見たことねぇぞ!!」

 相手の兵士たちはかなり狼狽している。

 これは……、チャンスだろうな。

 俺は間髪入れずにスキルを放つことにした。「威圧」と「恐怖攻撃」だ。

 肉体的な接触はないが、「威圧」も攻撃に含まれるのではないかと思ったからだ。

 手加減なしの全力発動!



 ばたばたと兵士たちが奇妙な叫びをあげながら倒れていった。

 中にはムンクの叫び見ないな顔をしながら、血を吐いて倒れるものもいる。





 やべぇ、やりすぎた。

遅くなってしまい申し訳ございません。

次回、多夢和君初戦闘……予定。

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