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2-9.墓荒らしと骸骨

 ギルドで4人と別れ、帰り道をとぼとぼと歩く。

 辺りは薄暗くなり始めており、かなり時間がたっている。

 いやー、失敗した。もっと早く帰るつもりだったんだが。

 きっと大騒ぎになってるんだろうなぁ。

 跳ね橋は……。上がってるか。

 じゃぁ、飛んで戻ればいいか。

 いったん上に飛び上がって城壁の縁に立つ。夜中の見回りとかだと城壁の上に兵士とか居そうなもんなんだけどな。いないのかな?

 城壁は湖の外側にあるわけだし、水路や門の前を見張る人もいない。

 なんか違和感がある。


 ふと、眼下を見下ろすと、城壁の外側に墓地があるのを発見した。

 墓地は城壁の外側に沿うように作ってあり、城壁の約1/4を占めている。

 えらい大きい墓地だと思ったけど、よく考えたらここは2500年の歴史があるんだっけか。それならこれでも小さいかもしれないな。

 ファンタジー世界の埋葬ってどうなんだろ。

 イメージ的にはキリスト教圏の埋葬と似た感じだろうと思ってたんだが。

 今度、調べてみてもいいかもしれない。


 そんなことを考えていると、墓地の中に人影を発見した。

 割と壁際で全然気づかなかったが、たいまつを焚いた二人組が何やら作業をしている。ちょっと遠い。少し気になったので近づいてみてみよう。


 その二人組はローブをかぶり、どうもスコップで穴を掘っているようだった。

 パっと見た印象は……、墓荒らし?

 どうも比べてみると、手前側にあった墓に比べてこの辺の墓は大きい。

 手前側には小さな墓石が多く密集していたのに対し、この辺りは墓の前にあたる部分にかなりの余裕がある。

 あ、もしかして埋葬方式が違うのかもしれない。

 それか手前側は埋葬する土地がなくなって狭くなったとかかな?

「おい!例の剣はまだでてこないのか!!」

 やっぱり彼等は墓荒らしっぽいことはわかった。

 どうも会話を聞く限り、剣を探しているようだ。

 仮にあったとしても、墓に埋まっていたならもうボロボロじゃないかな?

 俺は自身が猫であるということを忘れ、犯罪なら現行犯で捕まえられるように目的を達成してから突き出したほうが良いかな?などと検討違いのことを思っていたのだが、突如、俺の耳に彼等のものとは違う足音が響き、そちらに目を向けた。


 それは森の中から聞こえる足音だった。

 この墓の外側半分くらいには鬱蒼とした森があり、街との境のようになっている。街に近いわりには手入れがされておらず、また開発されている様子もない。

 何故だろうか。聖地的な扱いなのかもしれない。

 そう思っていると、足音の主が姿を現した。

 見た目は……骸骨。所謂、スケルトン。これは怖い!

 よく見るとスケルトンは立派な仕立ての白銀に輝く剣と青く輝く鎧、小型の盾を装備し、黒くボロボロのマントを着用している。

 本来眼球があるべきところには、赤く不気味に輝く光がともっており、腰に帯びた剣の鞘には、これまた赤い宝石が輝いているのが見えた。


 墓荒らしたちは、まだスケルトンには気づいていない。



 唐突にスケルトンが森を飛び出し、墓の間を駆け抜けた。

 俺の目では追えるスピードだが墓荒らしの二人には無理だろう。



 一閃。



 目にもとまらぬとはこのことか。

 気づけば墓荒らしの一人の首は胴体と離れ、鮮やかな赤い花を咲かせていた。


「なっ……!なにもの……」


 その言葉を言い切る前に、正面から振り上げた剣で真っ二つになってしまっていた。



 いや、こえぇよ!スプラッタはあかん!

 正直ちびりそうです!

 絶対目を付けられたくないわ!あんなやつ!


 しかし、脅威になるかもしれない相手。相手に気づかれないうちに情報を得ておきたい。

 よし、「鑑定の魔眼」発動!


[パーソナル]

 名前『バロン』

 種族『リッチー』

 種族ランク『B』『白金級』『災害級』など

 冒険者ランク『B』

 職業『騎士』『骸骨剣士』

 称号『要塞の守護者』『国防の士』

 レベル『32』

 好物『-』


[ステータス]

 体力『B』

 潜在魔力『C』

 筋力『C+』

 防御『A』

 敏捷『B』

 魔力『E+』

 知力『C』

 器用『B+』

 対魔力『E』

 統率『C』

 運『F』


[状態]

『アンデッド化』


[習得スキル]

『皇国式剣術』(レベル:A)

『古式剣術』(レベル:B)

『魔法剣』(レベル:C)

『抜刀剣術』(レベル:C)

『格闘』(レベル:C)

『回復魔法』(レベル:D)

『闇魔法』(レベル:D)

『先制攻撃』(レベル:D)

『軍隊指揮』(レベル:C)

『剣術』(レベル:B)

『不死の体』(レベル:B)

『守護』(レベル:B)

『家事』(レベル:D)

『炊事』(レベル:D)

『テレパシー』(レベル:C)


 あ、これあかん奴だわ。

 パッと見ただけでも、じぃやさんと大差ない。

 しかもBランクの魔物って…。

 ランクだけならチートと思われる俺と同レベルかよ。

 リッチーって魔法主体と思ってたんだが、そんなことないんだな。


 って、まずい。こっちに気づいたっぽい。

 さっきからこっちをずっと見てる。

 なんとか見逃してくれないかなぁ……。

 そんな甘いことを考えていると、頭の中に声が響いた。


(何者だ。……といっても魔物には言葉も通じないか……)


 答えてやりたいけど、にゃーとしか発音できないんだよなぁ。

 とりあえず、やってみようか。

「いや、まぁ、やましいことはなくてですね。ただ帰ってる最中に見てしまったというかなんというか」

 案の定、ニャーとしか発音さなかったが、なぜかスケルトンが狼狽している。





(えっ……)

「えっ……」






 いま、俺はスケルトンの横で話している。

 スケルトンは墓に腰掛け、俺はその墓の横に座り割といい雰囲気で話せてると思う。


(……とまぁ、俺は要塞に迫りくる敵をバッタバッタと斬っていってな!)

 このスケルトン、生前はバロンという一級の冒険者で、死ぬ前に受けた最後の依頼で、大量発生した魔獣を討伐し、仲間とともに要塞都市ラーベルガーを守り抜いたそうだ。

 ラーベルガーは国の東にあるガルアーノ公爵領の国境付近にある都市で、ガルアーノ公爵の直轄地となっているそうだ。

 そんな中でついたあだ名が「要塞の守護者」という二つ名だったそうだ。

 それにしてもこのスケルトン……。

(おっと、すまないな。俺ばかり話して)

「いや、全然大丈夫ですよ。むしろ今までしゃべる相手がいなかったんで、こうやって会話できるだけでも助かります」

(ははは。そう言ってもらえるとな。しかし、君は何でそんなに知性があるんだ?俺も一時期は本能だけで動いていたんだが……)

「あぁ、それは……」

 俺は自分の身の上を話し、彼と楽しい時を過ごせたと思う。

 なんかこのかんじ、懐かしいな。学生の頃を思い出す。

 あの頃は初めてあった人でも結構話せてたっけな。

 おかげで薄い繋がりながら人脈だけはだいぶ広くなった。


(……ふむ。しかし、女神様以外は何も手掛かりなしというのも大変だろうな)

「そうなんっすよ。せめて助けてくれる仲間がいればいいんですけど……」

 バロンが顎に手を当て、考え込むしぐさをする。

(助けになるかわからんが、俺の今の飼い主に相談してみるか?)

「飼い主?」

(まぁ、平たく言うと魔力の供給元だな。魔法使いだから知識もあるし、古文書や文献を漁るにはもってこいの人物だ)

「まじっすか?ぜひ紹介してもらいたいです」

(まぁ、落ち着け。代わりと言っては何だが、少し手伝ってもらいたいことがあるんだ)


 手伝い?いったい何をさせられるのやら……。

2/16

魔物ランクに白金級・災害級追加

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