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11-1.一夜明けて

すみません。地図のほうが間に合いませんでした。

次回に回します。

 うーん。

 いい朝だ。

 昨日は疲れたし、尚の事いい朝だと感じる。

「おはよう。アレク」

「あぁ。おはようマリアさん」

 俺は横で起きたマリアゲルテさんと挨拶を交わす。

 シャルロッテさんは昨日も体調不良を理由に会談後、直に部屋へと引きこもった。

 うーん。

 最近、連日微熱があるようだし流石にちょっと心配だな。

 後でお見舞いに行くべきだろう。

 リリアーノさんとカテーナさんのメイドコンビも今はシャルロッテさんに付きっきりだし。

 担当的にはリリアーノさんはシャルロッテさんの、カテーナさんはマリアゲルテさんのお付きになるらしいが、シャルロッテさんを心配したマリアゲルテさんがカテーナさんもシャルロッテさんのお世話に付くようにお願いした為、今は向こうに行っているのだ。

「大丈夫か?服、持ってこようか?」

「もぅ。子供じゃないんだから。そのくらい自分でできるわ」

 あ、そうなの?

 お姫様って服は全部着ててもらっているイメージがあったんだけど。 

「そりゃ、コルセットが必要な公的な場で着るドレスとか、金属鎧を着けるときはね。でも普段着はそんなことしないわよ」

 そういえば、そんなシーンって出会ったことなかったな。

 俺の公的な着替えはドラディオがサポートしてくれたし。

「そういえば、昨日は結局アレクを独占してしまったけど良かったのかしら?」

「ん?まぁ、シャルロッテさんはあの状態だし、仕方ないんじゃないかな?」

「姉様だけじゃないでしょ?」

 ん?

 あぁ、氷室さんとガブリエルの事か。

「そういえば氷室さん、昨日はなんか冒険者の依頼受けてたみたいだし、ガブリエルは……ほら上司が来てるから」

「うーん。その二人だけじゃないんだけど……」

「二人だけじゃない?」

「ほら、貴方の寝室に呼ばれたい人っていっぱいいるじゃない?」

「いや、いないでしょ。そんな人……」

「あら?そうかしら?戦乙女族の三人にドラゴン族の二人それにアマンダ、それと多分この前のお披露目会に参加できた貴族の娘達、もしかしたらミリアさんとかリヴィ、聖女様も狙ってるんじゃないかしら?」

 うわぁ。

 なにそれ。

 確かにリヴィアーデさんとか聖女様はこの国に来たのはほとんど、身売り同然だったし、アマンダさんもちょっとそういう気配はあったけども。

 いや、それ以前にリヴィアーデさんに手を出した日にはあのむっつりエルフに何を言われるかわかったもんじゃない。

「そう思う理由は?」

「まぁ、基本身売りみたいな感じで来てる子たちばかりだしねぇ。それにこう見えても私、女の子のそういう機微には疎くないつもりよ?」

 はぁ。

 そういうものなのかな?

 女の感って奴か。

「というか、実際、四人程度だとちょっと毎日の相手は大変だから愛人とか処理係もっと増やしてほしいんだけど?」

 すみません。反省しています。

「いっそ、『勤女』でもあてがってみる?」

「勤女?」

 どっかで聞いたことあるな?

 何処だっけ?

「未亡人の貴族の子女や娼婦を子孫繁栄教育につかう……」

「ストップ。思い出した。説明は不要です」

「あら?そう?」

 何処で聞いたか思い出した。

 ちょっと前にグレイが言っていた夜の生活の教育の事か。

 実際、貴族教育の中では比較的メジャーな部類らしい。

 まぁ、血を繋ぐのが仕事の一部って言われればそういう教育があるのも普通だとは思えるが……。

 グレイの話を聞く限り、かなり生々しいものになるらしい。

 30分くらい女性同士の絡みを見せつけられた後は実践だとか。

 ……そういうのはお店でやるものじゃないかな?

 うらやまけしから……もとい、大変そうだ。

 グレイが言うには婚約者も同席の上での行為だとか。

 地獄か。

「できればそれはご遠慮したい次第でございます」

「あら?残念。男性って結構こういうことに貪欲なんだと思ってたわ」

「それは人によるとしか。……ロウフィスとかががっついてたらイメージ崩れるだろ?」

「うーん。ロウ兄さんなら「これも貴族の務め……」って言いながら甘んじて受けそうな気もするけど……」


 ……割と想像できそうでできない、ぎりぎりのラインだな。

 ちょっと本人のイメージ的には想像したくないというのは俺がわがままなだけなのかな?








 マリアゲルテさんとの朝の団欒を終えた俺は、執務室へとやってきていた。

「聖上、おはようございます」

 執務室には既にドラディオ、クルクス、バートラントの姿があった。

「おはよう、3人とも」

 3人に挨拶しつつ、俺は席につく。

「聖女と公王はどうしてる?」

「はい、昨日は皇城内で過ごされたようです。ガブリエル殿が対応されてようです。また、聖女殿が非公式の謁見を求めておいでのようです」

 成る程。

 非公式、非公式ねぇ。

 なんだか嫌な予感はしなくはないが。

「分かった。後で対応しておくから、聖女にはそう伝えてくれ」

「……畏まりました。手配いたします」

「そういえばゴルディから提案もらった転移門のシステムはどう?実用化できそう?」

「はい。先日、ゲオル老、ドミニク殿を中心に技術に長けたものを招集し確認いたしました。今、試作機を作成中です。しかし、いくつか問題が……」

「問題?」

「魔力の充填が問題となっています。魔力効率の問題もあり、制作は難を極めるかと」

 あぁなるほどなぁ。

 確かに転移魔法っていうのは俺の知る作品でも屈指の魔力を必要としているイメージがある。試作機ともなればそれは尚の事だろう。

「分かった。魔力の充填は今回は俺がやろう」

「聖上自らが、ですか?」

「転移門の製作は急務だしな。ミリアさんからも下の台地に光が当たらないから植物の生育が悪いって怒られたし」

「ドリアード殿が。なるほど」

「聖上、でしたら計画にあった下の街づくりを同時進行で行えないでしょうか?」

 クルクスが俺たちの会話を遮って話しかけてくる。

「あぁ、そういえばそっちも進めないとな~」

「開発には時間がかかることが予想されますので、計画が可能になった段階で直ぐにでも移住できるようにしておくのがよろしいかと」

「分かった。じゃあ、新しい街の区画とか、必要な建物とか出しておいてもらえるか?あと街の壁は今より広く作るつもりだからそのつもりで。今皇都に住んでいる人間には全世帯に家屋を用意できるように作ってくれ」

「広く、ですか?しかしそれでは我が国の伝統が……」

「それはこの城が飛んだときの為の対策だったろ?あの台地が空を飛ぶことはもうないから守る必要無いだろ?」

「……確かに。畏まりました。人選はいかが致しましょう?」

「任せる。あ、だけど公爵補佐官の3人とノブナガ隊の中からミツヒデとナガマサは参加させるように」

「確かに、お二人は国造りにも長けたご様子でしたからお力をお貸しいただけると助かりますね」

 そうだな。適材適所ってやつだ。

 俺が参加するよりもよっぽどいい案を出してくれるだろう。

「聖上、下の街建設に関して、追加のご報告なのですが」

 今度はバートラントが話してくる。

「実は、湖の水量が……」

「湖?もしかして枯れたりした?」

「いえ、その逆でして。一度、城の浮遊で無くなったかと思われた水ですが、その後湧き出てきた水が予想以上の量で。治水の準備が必要かと」

「治水……」

「こちらを」

 バートラントが地図を出してくる。

 何気に、この世界に来て初めて地図を見た気がする。

 へぇ。こんな風な地形になってたのか。

「この辺りから、この辺りまでは是非早急に。氾濫の危険があります」

 バートラントが道沿いを指定してくる。

 この町をこの大きさとすると……うわ、結構広い。

「将来的にはシャトワの町まで治水を行う予定です」

 うへぇ。

 なんか壮大な話だ。

 考えたくないなぁ。

「了解。とりあえず治水の件はわかった街づくりの計画と一緒に作って提出してくれ。しかし、なんでそんな急に水量が増えたんだ?」

「かしこまりました。水量に関しては……」


「それは私が説明しよう」

 窓からゴルディが入ってきた。

「ゴルディ?何か知っているのか?って、なんかえらく汚れてないか?」

 ゴルディを見てみるとなんだか薄汚れて……砂埃とか泥とか。

「ちょっと冒険者として仕事をしてたからな」

「冒険者としてって、何してたんだ?」

「屋根裏で鼠退治」

 ゴルディが少し遠い目をしている。

 なんだろう。

 嫌なことでもあったのかな?

 うん。放置しておこう。

「それで?水量が増えた原因ってのは?」

「ああ、それは単純だ。皇都と言う蓋がなくなったせいだ。元々あそこは山に蓄えられた地下水の出口なんだ。この辺りの地下水が全てあそこに繋がっていてな」

 あぁなるほど、意外に単純な理由だった。

 水量が多かったからオロス谷の川は山に向かって流れる歪な形をしていたのか。まぁ、水量が増えた理由はわかった。

 でもそれより……。

「ゴルディ、取り敢えず風呂入ってこい。ドラディオ、頼むよ」

「畏まりました」

「あ、おい。ちよっとまて……伝えなければいけないことが……」

 俺はゴルディの風呂の手配をさせて大きくため息を吐いた。


 あぁ、もう。考えなきゃいけないことが多い。

 大変だな。中世生活ってのも。

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