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10-15.公国決着

すみません。今回も短いです。

次回当たり、地図の掲載を考えています。

少し重いかもしれません。

 謁見の場が、シーンと静まり返る。

 皆、ポカンとしたような表情をしている。

 そりゃそうか。

 いきなり出てきたおっさんが私は神ですとか言って出てきたわけだからな。

 気持ちは分からなくはない。


「ん?何だこの空気?」

 いや、あんたのせいだよ。おっさん。




 実は昨日、シャルロッテさん達に俺の考えの許可を取っている最中に、このおっさんと天使は唐突に乱入してきたのだ。

 当然、それなりの……まぁ、唐突な侵入者として対処されそうにわけだが、そこはそれ。

 俺とガブリエルで何とかした。

 で何を考えたのか、このおっさんは自分も謁見の場に出ると言い始めた。

 一体何を考えているのか。

「いや、此度の事、私にも責任があること。ここはどうか汚名を雪ぐ機会を頂ければと」

 ぼそぼそと耳元で。

 まぁ、この世界の神だし、このおっさんも立場がある。

 上司(女神)からの圧もあるだろうし、人間の前で俺に遜るわけにもいかないだろうし、こそこそ話なのはいいんだが。


 俺の耳、ソッチじゃなくて頭の上の方のなんだよな。

 髪の中がちょっとこそばゆい。

 あ、勿論、ソッチというのは人間の耳の位置の事だよ?


 まぁ、良いよ。

 おっさんの乱入は正直予定の範囲内だ。

 っとそういえば気になることがあったな。


「ところでおっさん、この前俺に突っかかってきた時といい、今回といい、ホイホイ現れてるけど、この世界の神って言うのはフットワークがずいぶん軽いんだな?」

 あの女神もなんか来るのは大変っぽかったけど、よく来るしな。

「いや、これがまた意外と大変でしてな」

「大変?」

「それがですな……」



 神曰く、この世界は大まかに5つの世界に分かれているそうだ。


 神や天使族の住まう『神界』。

 精霊族の住まう『天界』。

 人間族の住まう『人間界』。

 悪魔族の住まう『獄界』。

 そして、ドラゴン族の住んでいた『幻獣界』。


 このうち、幻獣界は過去、邪神が現れたことで、分離・隔離・崩壊されたらしい。

 それに伴って、ドラゴン族たちは他の幻獣たちと共に人間界へと移動し、事なきを得た。

 邪神を倒す際、彼らも協力したことで、人間界での地位を得た。

 そしてその後、人間界の魔獣や魔物、動物と交配することで新たな種を大量に生み出したらしい。


 ちなみに、他の幻獣というのはいくつか種類がいるらしい。

 代表的な物としては大きな牛と亀を合わせたような幻獣『カブトパレス』。

 雲のような実態を持たない幻獣『クラウドドン』。

 巨大な木に大きな人のような顔を持った幻獣『イグドラシル』。

 何体かはいまだに生き残っているようだけど、結局ほとんどは死に絶えたらしい。

 今この世界でそれなりに数がいるのはドラゴン族だけらしい。

 なんだか、歴史というか時間の流れを感じる話だ。


 まぁ、それはともかく。

 この5つある世界を全部含めてこの世界なのだそうだ。

 で、この世界の間には普通では通り抜けられない結界があるそうだ。

 しかし、これを解消する手段はあるそうだ。

 悪魔族や天使族であれば召還や別の世界にあるワープ拠点のような拠点の存在がある。

 ちなみに天使族は戦乙女族支配する島にゲートがあるそうだ。

 へぇ。世界を超えられるゲートか。

 俺の今考えている、皇都と皇都の下町をつなぐ計画の参考になるかな?

 技術的に無理かな?

 ちょっと見てみたい気がする。

 精霊も同様でゲートのようなものが人間界の拠点にあるそうだ。

 今度、ドリアードのミリアさんにでも聞いてみるかな?

 で、神の方はというと、こちらも簡単には来れないらしい。

 聖女という媒介を利用しなければ、干渉が難しい程度には。


 ではなぜ、この神はなぜ3度も俺の目の前に現れたのかというと。

 それだけ必死だったという事だ。

 1度目は俺の討伐を目的として。

 2度目は誤解を解くことに失敗した俺への謝罪として。

 そして3度目が今回だ。名目上は自分の行いによる自分の信者の俺への誤解を解くため。

 実際は、おそらく聖女と教皇の罪を軽くしたいといったところだろうか。

 ともかく、俺の感覚でいうと、金網を頭から無理矢理突っ込んで抜けるくらい大変らしい。

 そりゃ大変だ。

 想像するだけで痛々しい。


 そんな感じで、無理矢理来てくれたおっさんは今、俺たちの前で俺たちに喧嘩を売った元老院のじぃさんを裁こうとしているわけだ。

 うーん。ありがたいやらなにやら。








 その後、結局本物の神様の降臨により、元老院のじぃさんは自分の罪を自ら吐いてしまった。

 勿論、最初の方は偽物の神だのなんだの抵抗していたが、神が本物である証明に聖女へ神託をして見せると、あっさりとあきらめた。

 結果は処罰が決まるまで全員監禁。

 神聖トリポリタニア公国は教皇自らの制約文により、行政権、教皇職を放棄の上、ドリス皇国に吸収。

 以後、吸収した領地をいくつかの伯爵領や男爵領に分けドリス公爵が管理していくこととなった。

 今はまだ領土丸々直轄地の扱いで、今後分割していくらしい。

 新設された伯爵位や男爵位は一時的にドリス公爵預かりとなり、シャルロッテさんの皇位継承のあと功績のあった者や政治的な判断で配られることになるそうだ。

 他公爵であるヴィゴーレやロウフィスとしては、旧神聖トリポリタニア公国領を丸々公爵領としたうえで、5公爵体制を改新。領地無し公爵だったじぃやさんの持っていた公爵位を領地有り公爵とする提案があった。

 まぁ、それはこれから考えることだ。

 今回は戦功による配分もほぼないらしいし、皇家が独占してもいいそうだが……。


 難しいことは他人に任せたいなぁ……。

「いや、お前、もう少しちゃんとしろよ。仮にも未来の神輿なんだからな」

 ヴィゴーレに怒られた。

 えぇ。

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