表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

171/300

10-8.銃対銃、獣対弓

遅くなりました。

少し短いですが。

 ~嵐山視点~



 はぁ、はぁ。

 意外にきつい。

 神から言われたが、小官……いや、俺の銃やリバーサルフィールドは魔力を消費する。

 どうもこの感覚にはいくらか慣れが必要なようだ。

 しかし……。

 少し、隠れた木の影から顔をのぞかせる。

 ピュンッ!

 危ない!

 音と共に俺の頬を弾丸が掠める。

 くそっ。

 油断せずにヘルメットを持ってくるべきだった。

 あの火縄銃の射撃は精確だ。

 フローターのクローン兵のような弾幕射撃とは違う。

 精密なスナイパーのような一撃。

 しかし……。

 俺は近くに落ちていた石を少し遠くに投げる。

 石に向かって銃撃が放たれ、石が破砕した。

 ライフリングもない旧式の火縄銃でよくやるものだ。

 正直な話、俺でもあれだけの射撃ができるかわからない。

 それに火縄銃の欠点である連射力や装填の難点をあの数でよくカバーしている。

 しかし、異世界はすごいな。

 あの銃の数は反則だ。

 さて、どう切り崩そうか。

「見つけたっすよ!」

 上か。

「まったく、こそこそ逃げ回るだけが勇士の力っすか?」

 狙いを付けられた。

 まずい。

 俺は左側に転がって避ける。

 リバーサルフィールドは元々充電式のパーソナルシールドだ。

 残念ながら一度使用した後はオーバーヒートを避けるための冷却時間が必要になる。

 この転移された世界では充電は魔力でまかなえるようだが、どうやら兵器本来の性能というのはそう変わらないようだ。

 つまり、今は冷却時間。

 リバーサルフィールドは使えない。

 俺が横へ飛ぶと、俺のいた場所を弾丸が貫く。

 直に起き上がり、木の陰に隠れる。

 が、隠れた所は見られているから時間稼ぎにもならないな。

 仕方ない。使うか。

 俺は懐からアタッチメントを取り出す。

 擲弾発射装置、いわゆる小型グレネード『MCシステム』。

 このアタッチメントはその中でも煙を発生させるスモークグレネード『MCシステム-S』だ。

 俺の持つこれは最新式で俺の愛銃『MC-25-H ヴァンガード2』に装着できるアタッチメントだ。

 もう一本の愛銃『SR-25DK タケミカヅチ』は長距離用だからこの場で使えないな。

 他のアタッチメントもだめだな。

 この近距離では危険だ。

 次のタイミングでやるしかない。

 俺の隠れている木の周りを銃弾が襲ってくる。

 そのタイミングに合わせて俺は飛び出す。

 俺の軌道に合わせて、銃弾が流れてくる。

 3、2、1。リバーサルフィールド起動!

 これで少しの間は耐えられる。

 相手の位置はわからない。

 ならば狙うのは。

 俺は少し離れた場所にスモークグレネードを打ち込む。それと同時にすぐに木を背にして隠れた。

 目視の場合はこれで俺の姿も見えなくなるだろうが、はたして。

 俺の周囲に様々な角度から銃撃が放たれる。

 おそらく、俺の位置が確認できないから銃撃しているんだろう。

 これで視覚を頼っていることは間違いないな。

 フローター達のように熱を感知する目を持っているわけではないよな?

「ちょ、なんすか。これ。あの銃ってこんなこともできるんすか」

 居た。

 約10mほど先の木の上か。

 意外と近くにいたな。

 この距離なら、観察も容易だが、この距離なら先に仕留められる。

 俺は一気に背後に回り木の枝を足場にして跳びあがる。

「チェックメイトだ」

 俺は銃口を相手へと突き付けた。






 〜シロ視点〜


 また来た!

 シロの近くに矢が落ちた。

 あれ、危ない。

 当たったら痛そう。

 でも、避けられない速度じゃない。

「どうしました?かかってこなければジリ貧ですよ」

「驚かせてやる!」

 シロはグルっと円を書くように移動して逃げ回る。

 ここだ!

 少しだけ矢の間隔が開いた時にごはん係に向かって一気に距離を詰める。

 その道具は矢を打ってから次に打つまで時間がかかる。

 そこが狙い目!

「があぁぁぁ!」

 口を開けて威嚇しながら近づく。

「甘いですよ」

「きゃいん!」

 頭を掴まれた。体が空中で止まった。

 地面に足がつかない。ふわふわする。

「はっ!」

 投げ飛ばされた。

 ごはん係、強い。

 四つの足を地面についてで勢いを殺す。

 お父さんたちより大きな、人間たちと同じ体になってから少ししか動かす特訓をしてないからすごく動かしづらい。

「おや、思った以上に身軽ですね。叩きつけるつもりで投げたのですが」

「むぅ。動きづらい」

「貴方はまず先に体に慣れるところから始めた方が良いでしょうね。動きがついてくるようになれば良い乱波になるでしょう。それか軽騎兵や軽装兵の将という手もありますね」

「難しい話、よく分からない」

「ははは。そうですね。貴方は勉強も頑張らないといけませんからね」

 勉強……?

 まりあさまがいっつも嫌がってるやつ。

 あれは、遊んでいるとまりあさまを連れて行くから嫌い。

「ふふふ。腕が鳴りますね」

 ごはん係が服の中に手を入れて何かを取り出す。

「獣をしつけるにはご褒美がいりますね」

 あれは……、骨!

「ほーら」

 ゆっくりと左右に振られる骨を目で追ってしまう。

「とってこーい」

「わん!」

 身体が勝手に骨を求めて追いかけた。






 ~嵐山視点~


「チェックメイトだ」

 俺は銃口を相手へと突き付けた。

「さて、それはどうっすかね?」

 突きつけた銃口越しに相手が笑ったのが見えた。

 なんだ?

 そう思った瞬間何かが俺の身体へとぶつかった。

「!?」

 シロ、と呼ばれた犬耳を持つ人間だ。

「いたい」

 そのまま、シロともつれて地面に転がってしまう。

 唐突だったせいで体勢が崩れた。

 これはまずい!

 そう思って顔をあげた瞬間。



「チェックメイトっす」



 相手の銃口が俺へと突き付けられた。

 ここからの逆転は無理ではないが、これは訓練だ。

 そこまで無理してまですることはないだろう。


「わかった。降参する」


 俺は両手をあげて降参した。


 横を見ると、嬉しそうに骨を咥えて弓を持った男の元へと走っていく、犬の獣人が見えた。

今回の原因、それはシロの視点にあります。

現在のシロの性格を表すために、初めは全てひらがな表記をしてもっと読みづらい状態でした。

しかしあまりにも読みづらかったので変更しました。

特徴的な文章にするのは難しいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ