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10-5.自己紹介

遅くなりました。申し訳ありません。

相変わらず、話が飛んだり余計なものが挟まったり。

一度どこかで政治体系や歴史とかについてざっくりやってしまうべきかもしれません。

「いやぁ、驚いた。俺も長いこと不思議なことに出くわしてきたがまさか()()()()()()()()()

 ハンチング帽に丸眼鏡の男が執務室でそう呟く。

「いやいや。()()()()()()()()()()()()()

「ははは、まさか。あの神を名乗る男がそのようなことをするか?」

「男の方じゃなくて女神の方の転移者なんだ。俺ら。女神の方は結構おおざっぱというか、計画なしというか。そんな感じの性格してるみたいだぞ。俺らも時代も転移した時間もバラバラみたいだったし」

「質問よろしいでしょうか?俺ら、とは」

 軍人、というか兵士服の男が発言する。

「あぁ、それは……って来たみたいだな」

 コンコンと、執務室のドアがノックされて2人の男が入ってくる。

「失礼いたします。聖上。隊長と冒険者『閃光』様、冒険者『フレスベルグ』の遠藤様、それにゴルディ様をお連れしました」

 今、入ってきて発言した男は確か夜烏隊のフィン。

 同伴している男はパロミデスだったかな。

 共にグレイの班の同僚で夜烏隊のメンバーだ。

 オットマン、フィン、パロミデス、ヴィテゲそれにグレイを加えた5人が彼の班のメンバーで俺の親衛隊に当たる人物達だ。

 夜勤はグレイの次期伯爵就任を前に既に解除され、昼勤に変更になったのだが名前はそのまま夜烏隊が使用されている。

 夜勤組はノブナガチームとヘリオンに引き継がれた。彼らは睡眠を必要もしないからな。

 因みにこのメンバー。

 経歴も性格もバラバラでオットマンは女好きのエセ二枚目、フィンはロウフィスと同じ様な真面目マン、パロミデスは蛮族……盗賊の頭でもやってそうな性格、ヴィテゲはなんというかのんびり屋と言った感じだ。

 こんなメンバーでやれていたのだろうか、と思ったが、意外にも彼らの仲は良好らしい。

 全員独身で婚約者もなし。今、グレイと密かに彼らのお見合い相手を探している最中だ。

 と、言うのも夜烏隊第一部隊には今後、皇王直下のグレイの騎士隊として働いてもらう計画が立ち上がっているためだ。


 凄くややこしい話だが、グレイには伯爵として領地経営の傍ら、皇王の側近として働いてもらうことになる。

 俺の感覚だとそこでおしまいだが、この世界の感覚でいうと少し違うらしい。

 グレイも領地経営をするということは側近や家臣を仕立てる必要が出てくる。

 この世界の、というかこの国の政治体形は俺の知識の限りは末期封建制度が近い。

 イメージでいえば日本の戦国時代の大名と天皇の関係が近いと言えるだろう。

 ともかく、家臣にもそれなりに気を使う必要があるのだ。

 が、俺達の歴史でもそうであったように、封建制度はいずれ終わりを迎える。

 この国ではそれが近づいているというだけの話だ。


 というのも、この国の歴史によれば、大昔のドリス皇国大分離のあと3つの皇家、つまり国が作られた。


 1つは本家。正統皇国とでも言うべきか、つまり今俺がいるドリス皇国。名前も変わってなければ4公爵という制度も変わっていない。


 1つはモスティーユ神皇国。神聖トリポリタニア公国のもととなった国だ。

 ドリス皇国から北、及び東側の広大な領地を保有したが異民族の流入や疫病などがあり分離独立を繰り返し、多数の国へと姿を変えた。

 因みにアルトランド王国も勢力圏で言えばこの神聖皇国の領内らしい。


 そして最後に西、北側の広大な領地を保有したオグマリオン皇帝国。

 余りの無能、暴君っぷりに魔獣の大量発生が拍車をかけ、なんと成立後13年の後に滅んだらしい。

 ちなみにモスティーユ神皇国は成立後268年ほどもったそうだ。

 その後分離独立してできた国が様々興ってはは消え、興っては消えを繰り返し。

 765年前、現帝国の前身となる国が誕生。

 その国が、周辺国を取り込み、今は帝国となったその国に再び取り込まれ、かつての版図を超える国へと成長したらしい。


 3公爵は常にドリス皇国、つまり皇家に従い続け他の2皇国から見ると版図も小さく、影響力も小さかったがそれが幸いし、崩壊せずに済み今まで存続していたらしい。



 なるほどわからん。




 ともかく、ドリス公爵の爵位を持つ、皇家と3公爵は常に協力しながらこの世界に皇国を存続し続けていた。

 しかし、ここにきて皇国は危機を迎えた。

 3公爵の反乱という形で。

 その危機を乗り越えはしたものの、3公爵が全員いないという事態になったわけだ。

 そこでシャルロッテさんがこの国にある緊急事態にのみ使用できる法律上の権限を利用したのだ。

 これは制約もあるが要は1年の準備期間を経て公爵を任命するというもの。

 緊急事態のみに使用できると制限されているのは極端な中央集権化を防ぐためのものだったが、そもそもいままで使われたこともないので完全に形骸化している制度だったものを復活させ、この緊急事態を乗り越えたのだ。


 まぁ、その辺りは余談な話ではあるのだが。

 とにかく、正式に次期伯爵、そして皇王の側近となったグレイにも信頼できる家臣が必要となった。

 それが彼ら夜烏隊のメンバー。

 登庁時から班を組んでいたらしいので、その連携はなかなかのものだ。

 基本的にこの国の兵士服で、……まぁ一部着崩して、生活している彼らだが、ここ数日は割と自由な格好をしている。


「その格好は流石にどうなんだ?パロミデス?」


 なんというか、彼の感性は独特だ。

 蛮族のような半裸に毛皮、でかい数珠のようなネックレス……ネックレス?

「うっす。自由な格好でいいといわれたので」

 いつもの口調に比べたら若干大人しい。

 緊張でもしているのか?

「いや、今朝まで飲んでて」

 二日酔いかよ!?


「神獣様、ただいま参りました」

「いったいどうしたの?いきなり呼びつけて」

「あの?なぜ私まで?」

「アレクシス、このメンバーという事はもしかして、こちらの方々は?」

 役者がぞろぞろ入ってきた。

 これで話を進められるな。

「フィン、パロミデス。席を外してくれ。ドラディオと配下の魔物たち以外はこの部屋に通さないように」

「かしこまりました」

「うっす」

 そういって二人が退室した。

 さて、どう話したものかな。



「すまんが、ここはいつもこんな感じなのか?」

「なんというか特徴的……というか、個性的な奴らだな」

 特徴的って。

 右手が機械の奴には言われたくないと思う。

 こっちには全身機械がいるけど。

 って、そうだ。

 肝心なことを忘れていた。


「まぁ、こいつらはともかく。すまないけど、自己紹介してもらってもいいか?日本語で構わないから」

「あぁ、そうだな。失礼した」

 こほん。

 とハンチング帽が咳ばらいをした。


「では俺から。俺はジョージ・レッド・北島という。名前で想像できるだろうがアメリカ人とのハーフだ。今はアメリカのボストンで考古学の教授なんてものをやっている。まぁ、正式なものではないが。趣味は探検。最近はセーレム近郊で発掘作業に携わっていた」

 うわっ。いきなりとんでもない立場の人間が来た。

「発掘?」

「あぁ。昔の知り合いに網田貞二という男がいてな。そいつに誘われてやっているんだ。まぁ、色々ととんでもないことにはなったが」

「とんでもないこと?」

「まぁ、それはおいおい話すよ。今は自己紹介が先だ。次はどっちがする?」


「俺がしよう。名前はE-307351号。見ての通り半サイボーグ、オーバーマンだ。イーサンと呼ばれていた」

 オーバーマンってなんだよ。

 ってか名前すごいな。

「オーバーマンって言うのは俺みたいな機械の身体を手に入れた人間の事でな。俺の場合はこの右手だ。この威力を披露してもいいんだが……ここでやると壊れてしまいそうだからな」

 やっぱり、右手のそれ、機械の身体なんだな。

 威力……という事は兵器の類だろうか。

 農家には過ぎた武装じゃないかな?それ?

「職業は農家。俺たちの世界では火星の開発をしていてな。火星の地面に埋まった岩を壊すにはこのくらいの威力がいるんだ」

「ちなみに、どういう武器なんだ」

「魔力で金属の杭を高速で打ち出すものだな。ちなみに射出もできるぞ」

 本格的に戦闘用サイボーグじゃないかな、君。


「最後は小官ですね。小官は、嵐山緑新!階級は特尉。コードネームはサイクロンワンです!」

 ビシッと決まった敬礼。

 やっぱり軍人だよな。こいつ。

 それも、俺が知る現代っぽい兵士服ではなく、どちらかというと近未来タイプのパイロットスーツ的なもの。

 ん?特尉?

「なぁ、特尉ってなんだ?」

「はっ!コードネームを持つ兵の総称です。自分を含めEGAには5名の特尉がおります!単独判断による空軍の支援要請と各種兵器の自由使用権限、各強化外骨格の使用権限を持ちます」

 うへぇ。意味は分からない。

 意味は分からないが確実にヤバい系の人だ。

 たぶんあれだろ。ゲームとかの主人公的な。

 よくよく考えたらなんでお前そんな権限もってんの?的な。

「な、なんというかすごい世界から来たんだな、お前」

「サー!恐縮です!」

 うーん。やりづらい。ただっただ全力でやりづらい。

 あとその背負ってる銃、おろそうか。

 ちょっと危ないし。


「アレクシス。大体事情は想像できるが一つ確認したい。彼らはどちらだ?」

「それは私も気になるわ。神獣様?」

 ゴルディや氷室さん達とは情報を共有している。

 当然だ。

 その共有の中で、俺や氷室さん、グレイは神を経由した転移。

 ゴルディや遠藤氏は事故による転移であろうことは、ここにいる新しい3人の転移者以外は共有している。

 しかしなぁ。

「どっちかっていうと俺達より。ただ、ルートが違うらしいぞ?」

「ルート?」

「うーん。説明しづらい内容ではあるんだよなぁ」

 神の実験で飛ばされたであろう、被害者3名の前でそれを言うのもな。

 なんだか少しだけ気が引ける。


「ともかく、彼らは日本語が通じることからもわかる通り俺たちと同じ境遇で……」

「失礼します!聖上!」

 バタンと戸が開く。

 いや、もういい加減慣れたなこのパターンも。

 いったい何回目だよ。

 って、エミリーさん!?

「エミリー殿!ここは関係者以外……」

「っていうか、これ俺らがめっちゃ怒られる流れじゃ」

 うん。まぁ。

 確かに許可したヤツ以外通すなっていったけどさ。

「あぁ、良いよ。とりあえず。今回は許すから。で、どうしたんだ?エミリーさん?」

「はい。三勇士像が……、三勇士像が輝きを始めました」







 三勇士像?

 三勇士像ってなんだっけ?


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