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9-1.夜と風呂の事情と王の帰還

[パーソナル]

 名前『ヘリオン』

 種族『ヘリオンゴーレム』

 種族ランク『A』『宝石級』『天災級』ほか

 冒険者ランク『-』

 職業『魔王』

 称号『最高峰の魔法生物』

 レベル『40』

 好物『鉱石』


[ステータス]

 体力『S』

 潜在魔力『B』

 筋力『A』

 防御『S』

 敏捷『C』

 魔力『B』

 知力『C』

 器用『C』

 対魔力『S』

 統率『C』

 運『B』


[状態]

『質量縮小』


[習得スキル]

『魔力充填』(レベル:B)

『肉体硬化』(レベル:A)

『質量変化』(レベル:A)

『凍眠』(レベル:C)

『魔力放出』(レベル:A)

『錬金術』(レベル:B)


 etc、etc……



 改めてヘリオンの能力を確認してみた。

 あの事件から、既に7日。つまり一週間。

 事件は一応の解決を見せた。

 一応というのは、未だに謎が多い事件だったからだ。


 結局、あのゾンビのようなヤツは何だったのか、何故人をさらっていたのか、なぜあの場所だったのか。

 あのとき考えていたことも全ては俺の推測でしかない。

 まぁ、どうせ考えても本人が居ないのであれば、推測することしかできないし、仕方ないといえば仕方ないことだが。



 ヘリオンの事をあの夜に城の人間に紹介したら、ならばと夜烏隊兼物資運搬役へと就任した。

 ゴーレムである為、眠ると言う行為を必要としないためだ。

 正確には必要としないわけではなく、魔力が一定以上低下した際には、魔力補充のために休眠状態になる。

 しかし、彼は俺から魔力の供給を受けているため、基本的に休眠の必要がなくなっていた。

 ついでにいうとノブナガとその部下たちも、夜烏隊に配属された。

 こちらもアンデッドなので、同じ理由から睡眠の必要が少ないためだ。

 共に立場としてはグレイの部下となったわけだが。

「無理ですよ!?この2人に指示を出すなんて、出来るわけないじゃないですか!?」

 と言う、グレイの必死の説得、……というか懇願により、彼らはそれぞれ、第二、第三夜烏隊として働くこととなった。

 実は、それでも組織図的にはグレイが隊長……最高責任者であることには変わりないのだが、彼は言いくるめられてしまったようだ。

 さてはお前、ちゃんと契約書を読まないタイプだな?

 そんなことしてたら将来苦労するぞ?

 ともかく、今後グレイ率いる部隊は夜勤の心配もなく、堂々と彼女と生活リズムを合わせられると喜んでいた。

 まぁ、むしろ彼女の方が夜間近くまで忙しくなってしまうのはもう少し先の話だ。






「うぅん……アレク……」

「すぅ……姉様……アレク……」

 俺は傍らの女性の寝言で現実に引き戻された。

 2人の頭を撫でてやる。

 あの日から2人は毎夜やってくる。

 そして来ればそういうことになるわけで。

 最近は少し寝不足だ。

 そして問題はもう1つ。……いや、2つ。

「すぅすぅ」

 俺に覆いかぶさるように眠っている、半裸の黒髪の少女……氷室さんだ。

 なぜかこうなった。

 原因はあの日の夜、氷室さんが目を覚ましたあとの行動だった。

 あの日、ヤツを見た氷室さんは恐怖した。

 氷室さんは事件発生時こそ、果敢に戦ったが、転移を使う相手にはどうもなかった。

 結果として連れ去られてしまったが、ヤツを見て受けた恐怖は彼女の心を大きく傷つけた。

 何せ俺が見ても底知れない恐怖が沸き上がってくる相手だ。

 これ自体は仕方のないことだ。

 テルミスなんて恐怖のあまり、我を失っていたわけだし。

 そんな彼女を放っておくわけにも行かず、結局、目が覚めるまで城の、俺の部屋の近くに泊めることになったのだが。

 目覚めた彼女は、どうも俺から離れてくれなかった。

 昼間はまだそれでも良かった。

 しかし、トイレや風呂にまでついてこようとしたので流石に止めた。

 猫になって巻くことも考えたが流石に今の状態の彼女を1人放置するわけにも行かず、夜を迎えた。

 そうなると、シャルロッテさんやマリアゲルテさんと俺の部屋で鉢合せするわけで。

 そして、彼女生来の……かどうかはわからないが、負けず嫌いな性格が仇と……仇なのかな?ともかく、原因となった。

 結果、俺の夜は2人から3人に。

 彼女は……積極的だった。もっとも、受け身の、という意味ではあったが。

 更にそこにガブリエルが夜に突入してきたものだから、もう収集がつかない。

 俺の夜は賑やかになった。


 そうそう、例の薬の件だが、しれっとガブリエルがネタバラシしてきた。

「媚薬?……あぁ、あれは媚薬とは申しましたが、実際は少しだけ代謝を上げて体温と心拍数を上げる薬ですよ。副作用として少しだけ肌の感覚が敏感にはなりますが。人間はこういうのを勘違いしやすいですから。発情効果?あるわけないじゃないですか。動物と違って人間を発情させるのは大変ですよ?そういうふうに作られてませんから」

 ……コノヤロウ。

 殴ってやろうと思ったが、今のこの状況は元はといえば俺の失態が招いた結果。

 甘んじて受け入れよう。

 悪い気分ではないしな。

「では、私にもこの働きに対するご褒美を所望します」

 ……夜に俺の部屋に来るのが4人になった。

「こういう意味ではなかったのですが……これはこれで。この逞しさは、癖になってしまいそうです」

 しまった!完全に思考がそっちに向いてしまっていた!


 なお、彼女の肌は人より少しだけ温かい。

 天使族は体温が人より高いようだ。

「まぁ、神界はここより少し気温が低いですし、自然と体温も高くなってしまいまして」

 そういえば聞いたことがある。同じ種の動物でも寒い地方に行くほど体は大きく、温かい地域ほど体が小さくなると。

 熊がいい例だとか。

 確かに言われてみるとこの国の人に比べて色々とデカい。

 胸とか、太ももとか。

「主様、ソレは女性に対し、いささか失礼かと」

 ……すみません。

 現代なら確実にセクハラ扱いを受けていただろう。

 ……いや、そんなこと言ったら、性犯罪者扱いかも知れないが。




 そういえば、この世界には風呂の文化がある。

 風呂と言っても、この王城の生活でバスタブ一杯くらいの物だ。

 湯船に浸せるのは足のみ。

 深さも、人間の膝丈くらい。

 後は縁に座って、お湯とタオルで体を洗い流す程度。部屋も狭い。

 入浴中は裸だが、そこは猫の体。

 このくらいの湯船でも十分だった。

 そして、風呂がこんな形な理由はこの国の歴史が関係している。

 ゴルディ曰く、昔、城があったあたりは活火山があったそうだ。

 昔、というのはこの天空城は過去様々な場所を巡っていたためだ。

 最終的に今の場所……つまりこの山脈内の皇都の位置に落ち着いたらしい。

 活火山があったため、当時は温泉がそこかしこで湧き、入浴に使うという文化もあったそうだ。

 しかし、城が移動したことにより、温泉文化が断絶。

 今は薪などでお湯を作り、タオルなどで体を拭くか、水を使って水浴びをするかのどちらからしい。

 で、入浴できるほどのお湯を作るというのはこの文化レベルでは大変なことらしく。

 結果として、貴族や金持ち達、それなりに贅沢に金銭が使える者たちの文化となったそうだ。

 なお、当時湧き出していた温泉はゴルディの分析によると、硫黄泉と塩化物泉。

 距離は離れていたらしいが、混ざると危ないものもあるので硫黄分を浄化していたのだとか。

 化学反応のことはよく知らないけど、確かになんか危なそうだな、という印象はある。

 ゴルディ、グッジョブ!

「ぐ、ぐっじょぶ?なんだ?どういう意味だ?」

 そこは雰囲気で流してくれ。

「お、おう」


 ちなみに、逆にきれいな水を得るには大変だったらしい。

 なので、この城の土台、つまり町の地下には温泉を浄化し、成分を分離するための設備、浄化設備を備えているそうだ。

 城の周りの湖はその産物なのだとか。

 これは飲み水に適さない成分のみを浄化してくれる、所謂、魔道具だそうで現在は存在すら忘れられていそうだ、という事だった。

「存在が広まれば、人間の国家間で奪い合いでも始まるんじゃないか」

 そんなことないよ、と言い切れないのが悲しい。

 なお、この道具、量産はできないらしい。

「当時でも最高の道具製作者のハイドワーフのガルガンディスがウェリス、キャルノア、ジジの力を借りて5年の歳月をかけてようやく完成したものだしな」

 なんか聞いたことあるな、その名前。

 なんだっけ?

「アレクシスとパーティーを組んでいた奴らだな。一応この国の開祖だ」

 ああ!そういや、そんな名前だったな!










 とまぁ、そんなことがこの一週間くらいにあった。

 ちなみに、氷室さんは最近は落ち着いている。

 ただ、その場の勢いとはいえ、俺とそういうことをしてしまった事で、少し俺に対してぎこちない気がするが。

 まぁ、むやみに斬りかかられるよりは全然いい。



 そんな一週間のことを木の上で考えていた矢先、その事件は起こった。

 眼下ではメイドさんや執事たちがバタバタとせわしなく動いている。

 なんだ?

 何かあったのか?

 俺は彼らの会話に耳を澄ます。


「早くしなさい。湯浴みとお食事の準備も忘れず。あぁ!ミスティ!皇都の屋敷に滞在されている貴族の皆様にもお伝えして!各隊の隊長にも招集の報を!」

「は、はい!」

「誰か!ドラディオ殿を見なかったか?神獣様にもお伝えしていただかなければ」

「すみません!すぐお探しいたします!」

 ん?マジでなにかあったのか?


 下に集中していた俺に後ろから声がかけられた。

「神獣様」

 うわっ!?ビックリした!

 そこにいたのはドラディオだった。

 じぃやさんもそうだったが、どうもこの国の執事というのは神出鬼没だ。

 少しは下に居る、普通の執事さんを見習ってほしい。

 思い立った俺は少し文句を言うために人化した。

 普段なら裸を気にするところだが、相手はドラディオだ。最近はもう気にならない。

「ドラディオ、いつも言っているけど気配を消して後ろから近づいてくるなよ。ビックリするだろ。あと、その神獣様ってのやめて。アレクシスでいいから」

「大変失礼いたしました。アレクシス様」

 ドラディオが恭しく礼をする。

「で、下のあれって何の騒ぎ?」




「はい、陛下……。現ドリス皇国皇王、イドバルト・アル・ドリステリア陛下がお目覚めになられました」

 ん?現皇王?つまり……。

「シャルロッテ様とマリアゲルテ様の実父様でございます。神獣様に面会を求められております」







 あれ?これ、ひょっとして、2人を傷物にした。とかいって処罰されるんじゃ……。

 俺は嫌な予感を覚えつつ、ドラディオの誘導に従ったのだった。

事細かに経緯を書くのはちょっと精神的に……。

さっくりダイジェストでご勘弁ください。

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