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8-5.指名手配寸前、フレズベルグ

3/3 今更ながら、章が没プロットのままになっていました。大変申し訳ございません。

海月も出てきませんし、発展もしません。


×小鳥と海月と発展と → ○小鳥と商隊と誘拐と

「いや、氷室さん。そんな誤解を招くようなことを……」

「事実でしょ?あなたに勝てる人がいれば教えてほしいわ」

「いやまぁ、そりゃそうだろうけどさ……」


 遠藤氏がいるんだから、もうちょっと言い方ってものを考えてほしい。


「あの、こちらの方がトップというのは?」

「最強、って言葉がふさわしいと思うわ。あと、どうも姫様達を手をつけたみたいだし」

「え?えぇぇぇぇ!?神獣様!まさか、そんなことを」

 えぇい。グレイめ。余計なことを。


「こ、これは失礼しました。改めまして冒険者パーティー、『フレズベルグ』のリーダー、遠藤飛鳥です」

「え?フレズベルグ?」

 ん?グレイ?いったいどうしたんだ?急に。

「ちょ、ちょっとすみません。神獣様、こっちへ!」

「何を焦っているんだ?」

「いいから!」

 グレイに腕を引っ張られて、少し離れたところへ移動させられた。

「なんだ?いったい?」

「なんだ、じゃないですよ!どうしてよりによって、フレズベルグと……」

「あいつら、何かあるのか?」

「あの人たち、数日したら指名手配されますよ!?」

「え?」

 どういうことだ?




 グレイによると事の顛末はこうだ。

 反乱を鎮圧した日の事。

 あの日の生き残りを後日尋問し、いくつかの証言を得た。

 反乱を企てた貴族の事。

 その日までの事前の準備の事。

 彼らの拠点の事。

 その中でわかってきたのが、前日に大量の鬼殺し、と呼ばれるポーションが運び込まれたことだ。

 このポーションは、使用者のレベルを上げる禁忌の秘薬。

 それが300本。

 人間が使用するには生涯に1本……およそ、50mlを超えると、肉体の変化や廃人化など様々な影響を及ぼすため、禁忌の薬とされているらしい。

 これをアジトに隠し、自軍兵士全員に使用するつもりだったと。

 流石に禁忌と呼ばれるだけあって、使用自体が規制されている薬だ。

 反乱に使われようとしていたならなおさらだ。

 騎士団の一部と兵士たちがアジトから押収し、解析と入手経路の分析を進めていた。

 しかし、薬は瓶を残して忽然とどこかに消えてしまった。

 残されたのは瓶とわずかな分量の薬のみ。

 そこから、じぃやさんの指示で徹底的に調べ上げ、入手経路が判明した。

 帝国首都にある工房、『大樹の防人亭』で作成され、帝国南部にあるゴラート伯爵領を経由し、ドミニオ公爵領へ。そこからドリス公爵領下のスルトンの街、タクラマクトの街、シャトワの街を経由し、皇都ドリステリアへ入ってきたようだ。

 この運搬を担ったのが、彼ら『フレズベルグ』。

 結果、国は彼らの捜索を指示。

 今回の指名手配となったらしい。

 ちなみに、グレイと友人は当日、中身を知らずにとはいえ警備の仕事で関わってしまったため、先日一時事情を聞かれたそうだ。

 なお、運び込みを指示したドメイン伯爵は昨日までに拘束されているそうだ。


 あぁ!思い出した!

 あの夜か!

 確か俺がこっちに来た日の夜だ。

 ってことは、あの日、俺が調べたレベルアップポーションが鬼殺しってやつか。

 あれ?俺、あれ全部飲んでね?

 2本目で廃人になるとか言ってたが、全然そんなことないんだが……。

 これもEXのスキルのおかげなのかもしれない。

 あの日、あの場にいたのは俺だけだ。黙っていたらわからないだろう。

 言われてみれば、アレを鑑定したときにフレズベルクって名前を見た気がする。

「あれ?これもしかして、結構まずいやつか?」

「もしかしなくても、まずいやつですよ!どうしますか?流石にごまかせませんよ!?」

「うーん?」

 どうしたものかな。

「とりあえず、出頭して事情を話すしか無いのでは?僕たちの知り合いであれば、そこまで酷いことはされないと思いますし」

「そうだな。できる限りの手は打っておこう」



「そんなことがあったのね」

「なるほど。それは確かに、こちらの本意ではありませんね……わかりました」

 グレイとの密談?から戻り、俺は事情を素直に話した。

 彼らは、あっさりと俺たちの提案を受け入れ、今日にでもリーダーである遠藤氏が城に出頭して事情を説明してくれるそうだ。

 その際は、俺とグレイが同行することになった。

 不当な拘束を避けるためだ。

 世の中には、手柄の為なら何でもするような人間もいるしな。

 ただ心配なのは姫さんたちの反応だな。

 あの反乱もじぃやさんが亡くなった遠因になったことは間違いないわけだし。

「ただ、パーティーメンバーに事情を説明する時間を頂きたいですね」

「そのくらいなら。ただこちらの世界の騎士団も思っている以上に優秀ですから。なるべく早いほうがいいと思います」

「それは勿論。直ぐに支度します」

 やれやれ。彼が話の分かる人で助かった。




「じゃあ、氷室さん。俺達は城に行ってくるから」

「はいはい。気をつけてね」

 自宅に戻るのに気をつけるもなにもない気がするが。

「氷室さん、もし僕が戻らなかったら、ティナさんには暫くこの件で駐在かも、と伝えてください」

「了解したわ」

「あぁ、あとその子たちのことよろしく頼むよ。暫くヴィゴーレ達みたいに謹慎かもしれないけど」

「いいけど、流石にこの人数は面倒見きれないかもしれないわよ」

 氷室さんの後ろには遠藤氏のパーティーメンバー、12人の姿があった。

 よくもまぁ、女の子ばかりこんなに揃えたな。

「余計な誤解を回避するためだよ。今動かれて、反意あり、とかみなされたら流石に庇い切れない」

「それもそうね。グレイ、後で比較的安全そうな人を応援によこせないかしら?」

「騎士団と交渉してみます。白薔薇騎士団の団長なら分かってくれるはずです」

「お願いね」



 さて、あとはこの2人を皇城に連れていくだけか。

「では行きましょうか」

「あ、ちょっと待った」

 早速歩き始めた遠藤氏を止めておく。

 歩いていったらこの距離でもそれなりに時間がかかっちゃうしな。

「えっ?あっ!まさか!ちょ、ちょっとまっ、」

 グレイが言い終わらないうちに、俺はヴォルガモアへと姿を変えた。

 これで行こう。

 そう呟いて気づいたが、この姿だと喋れないんだった。

 ニャーンと言う声が虚しく響く。

 俺は構わず自分の着ていた服……もとい、シーツを口に咥え、体勢を落として2人に乗るように目で合図する。

 目だけにアイズする。

 誰も聞いてない。聞いてないよね?

「うわぁ……うわぁ」

 グレイは頭を抱えて遠藤氏は驚いているようだ。

「あ、あの。これは一体……」

 いいから早く乗れよぅ。

 その意図を理解したのか、氷室さんがフォローしてくれた。

「飛んでいくってことじゃないかしら?いいから早く乗りなさいよ」

 流石だ。

 きっちりこちらの意図を理解してくれていた。

「え、えぇ……大丈夫ですか、これ?」

 遠藤氏はおっかなびっくりながらも、俺の背中にまたがった。

 さて、あとはグレイだが。

「ぼ、僕ちょっと用事を思い出したので……」

 そう言って逃げようとするグレイに口を開く。

「!?わ、わかりましたから!また頭からいくのは簡便してください!」

 グレイも渋々ながら乗り込んだ。

「えっと、はい。これ」

 氷室さんが俺の落としたシーツを首に巻いてくれた。

「全く、その姿になったら喋れないことくらい、考えて行動しなさいよ」

 すみません。





 なんだかんだあったが、俺達は皇城へと飛び立ったのだった。

 今日は、背中がやたら騒がしかった。

×フレスベルグ ○フレズベルグ

由来はフレスベルグですが、パーティー名はフレズベルグです。

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