8-4.別口?
[パーソナル]
名前『遠藤飛鳥』
種族『人間』
種族ランク『-』
冒険者ランク『D』『銀級』『隊長級』
職業『冒険者』『商隊長』『聖騎士』
称号『ハーレムの主』『転移者』
レベル『16』
好物『ハンバーグ』
[ステータス]
体力『B』
潜在魔力『D』
筋力『C』
防御『B+』
敏捷『C』
魔力『C+』
知力『B』
器用『B+』
対魔力『B』
統率『C+』
運『C』
[状態]
[習得スキル]
『現地調査の魔眼』(レベル:B)
『商売繁盛』(レベル:B)
『空間収納』(レベル:B)
『倍々ゲーム』(レベル:B)
『光魔法』(レベル:D)
『片手剣』(レベル:C)
『片手盾』(レベル:C)
『両手剣』(レベル:D)
『両手盾』(レベル:C)
『生活魔法』(レベル:D)
『炊事』(レベル:C)
『洗濯』(レベル:C)
『掃除』(レベル:C)
『金銭管理』(レベル:C)
etc、etc…
鑑定の魔眼を使って会話中に男の能力を調べてみた結果だ。
転移者、となっているからやはり彼は転移者なのだろう。
しかし……。
なんとも俺や氷室さん、グレイと比べると平たい能力というか。
グレイはレベルのせいで能力が低いっぽかったけど。
転移者特典のスキルはこれかな?
『現地調査の魔眼』『商売繁盛』『倍々ゲーム』
なんか商業系のスキルなのか?
名前でなんとなく効果のわかるスキルが多いな。
倍々ゲームだけちょっと意味不明だけど。
ふむ。
「それで、話というのは?」
青年……遠藤飛鳥が俺に問いかけてきた。
「単刀直入に聞くけど、君は転移者か?」
「!?」
遠藤氏が驚いている。
それはそうだろうな。
いきなりこんなこと言われたら。
「まさか、貴方は私と同じ……」
やはりそうか。
「オフラインVRゲーム、ライダーズ&ソーディアンVRのプレイヤーですか!?」
………………はい?
ライダーズ&ソーディアンは元の世界で一時期流行った、パソコンゲームの事だ。
プレイヤーは一体のキャラクターを作成したあと、広大なマップに放り出され、好き勝手に盗賊などの野党を討伐したり、貴族に仕える傭兵になったり、国に仕える貴族になったり、商人として各地を回ってひたすら金を稼いだり、結婚したりできる、自由度の高いことが売りのゲームだ。
軍団を率いて戦争することも可能だが、キャラクターはあくまで1人の人間。しかも能力はその世界でも弱い部類から始まるという、なかなかに難易度の高いゲームだった気がする。
たしか、2008年ころ発売されたゲームだった気がするが……。
2が開発され始めたとは知っていたが、VR?
VR化したとは知らなかったが……。
「私は、ゲーム中にゲームによく似た世界に迷い込んでしまったのです」
そう語る、遠藤氏。
「ちょ、ちょっとまて!ゲームのプレイヤー?一体何を言っているの?」
「えっ?貴方方もゲーム中にキャラクターになってしまったのでは?」
「「えっ?」」
彼の話を要約するとこうだ。
彼はゲームをプレイ中、謎の光に包まれ、この世界へと転移してきた。
その際、俺たちのように女神、若しくは神に出会ってはいない。
ゲームのキャラクターのまま、この世界に来たものの帰り方が分からず、途方に暮れていたところに今のパーティーメンバーの1人と出会い、以後行動をともにするようになった。
今はこの世界に来て3年目。
その間、徐々に仲間は増えていった。
それだけ長いこと男女がいると、そういう関係にもなる。
今では全員と関係を持っているらしい。
仲間のうち最初に出会ったエルフの女性の腹の中には彼の子供がいるそうだ。
おめでとう!
お幸せに!
……話がそれた。
ともかく、帝国で商人として各地を回っていた彼らは、彼女の妊娠をきっかけにより暮らしやすい地を求め南下。
丁度、帝国から皇国に向かう商品があったので、他の商隊と連合を組み、皇都まで来た。その後、新たな商品を求め現在滞在していたが、天空城と化したことで現在、小さな仕事をしながら滞在中、と。
「幸いにも、大部屋のある宿を借りれたので、今はそこを借りています」
「どう思う?」
どうって言われてもな……。
「嘘をついている感じじゃないし、多分、俺たちとは別口じゃないかな?」
あの女神のことだ。
誰かの転移に巻き込んでしまっている可能性すらある。
勿論、男の神の方の可能性もあるが、こっちに説明(説明と言うには雑だったが)があったのに本人に言わないことがあるだろうか?
男の神は女神に比べてしっかりしてそうだったが。
うーん?
「ともかく、君は転移者ってことで良いのかな?」
「この場合って転移になるのかしら?自分の体じゃないのよね?憑依してるとしたらグレイみたいに転生じゃないかしら?」
「どうだろう。俺も猫の姿だけど、一応転移なわけだし……ステータスにも『転移者』ってあるぞ?」
「分類の仕方が謎だわ」
「えっと、とりあえず、話から察するに私と貴方達は経緯が違う、と」
「たぶんね」
「貴方達はどういった経緯でこちらに来られたのですか?」
「あー、経緯というか。なんというか。……女神に拉致られた?」
「ら、拉致?」
「まぁ、拉致ね」
拉致以外の何物でもない。
「そんな感じで、適当にやらなきゃいけないこととやらを押し付けられて放り出された」
「そちらも、なかなかハードですね……」
遠藤氏が苦笑いをする。
そう笑ってくれるな。
「にしても、転移者の男はみんなハーレム推奨状態なのね」
うぐっ!
氷室さんがとんでもないところをついてきた。
遠藤氏も巻き添えでダメージを受けたようだ。
「そりゃしょうがないだろ。成り行きだ、成り行き」
「不潔。浮気者」
ぐっは!
やばい!思っていたより言葉に出されるとダメージがでかい!
心理的に!
遠藤氏もさらに巻き添えを食らってしまったようだ。
「って、現代だったら言うところだけど、ここ異世界だし。好きにすればいいと思うわ」
流石は氷室さん!理解のある!
「ともかく、私達は世界の危機回避とやらで女神に連れてこられた存在よ」
「なるほど。ところで先程からよくお話に上がるグレイさんというのは?」
「あぁ、それは……」
そういいかけた氷室さんを遮って、声が聞こえてきた。
「おーい!神獣様!氷室さん!」
グレイだ。
どうやらロレンツォ達から開放されたようだ。
……さっき、同じような登場をした気がするが。
「はぁはぁ。やっと追いついた」
流石に肩で息をしているな。
まぁ、グレイは勤務中。
一部金属鎧だし仕方ないか。
「遅いわよ。遠藤さん紹介するわ。彼がグレイ。私達と同じ女神に転生してもらった、転生者で……、この国の次期伯爵よ」
「は、伯爵!?」
「ちょ、氷室さん!」
「事実でしょ。胸を張りなさい。ティナからもそう言われてるでしょ?」
バンと氷室さんに胸をたたかれるグレイ。
「それはそうなんですが……」
グレイは頭を掻いてそれに答えた。
「で、こちらは遠藤飛鳥さん。私達と同じ世界の人。ただ境遇は違うみたい。まぁ、詳しい話は後でするわ」
この手際の良さ。
氷室さんは元の世界では絶対、クラス委員長とか風紀委員長とかしてたタイプだよな。
「は、はぁ。あ、僕はグレイです。本当の名前は別にありますが、こっちではグレイ・ハマーを名乗っています。よろしくお願いします。遠藤さん」
「よ、よろしくお願いします。あ、あの。先程次期伯爵とお伺いしましたが、もしかしてこの国ではかなり偉い方なのでは?そのような扱いをして大丈夫なのですか?」
「あぁ、良いのよ。このヘタレは、これで」
「酷くないですか!?」
グレイが抗議するが、氷室さん、これを華麗にスルー。
なんだか、グレイの扱いが以前にも増して雑な気がする。
まぁ、グレイの婚約者の教師しているらしいし距離も近くなるか。
「それにこの中じゃ、一番偉い人は違うわ」
「あぁ、そうですね……」
2人がこちらを見る。
なんだ?
俺の後ろに何がいるのか?
振り向くが当然いない。
え?もしかして俺のこと?
「さっき紹介すればよかったんだけど、こちら、この国の救国の神獣様。この国の……頂点よ」
「え、えぇぇぇぇぇ!?」
え、えぇぇぇぇぇ!?
M○B的な物と思ってください。