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7-12.恭順

 うん。まぁ。なんというか。

 わかってた。




 俺の前には転がった3人の戦乙女(ヴァルキリー)族がいた。

 自分でやっておいてなんだが、ちょっと容赦なかったかもしれない。


 スルーズに至ってはしつこかったので、ちょっと強くやり過ぎた。

 女性にあるまじき、頭を下にした状態で足を頭の方に投げ出した状態。

 所謂、恥ずかし固めの状態。固めてはないが。

 そのため、スカートの中が見えてしまっている。



 ……うん。いろいろ申し訳ありません。






 俺は対峙した3人と戦ったのだが、まずエルルーンを速攻KOしてしまった。

 彼女は庭の木にぶつかった挙句、湖の表面を水切りして城壁へぶつかった。

 スルーズははじめは湖に沈めた。

 その後、ロタと対峙したが、先の戦いを見ていたからか彼女は即座に降参した。

 なので、これで終わりかと思っていたが、スルーズが復活した。

 殴りかかってきたので反射的に手を振ってしまった。

 結果、今の状況になったのだ。



「えっと、ガブリエル。これ、彼女たちは大丈夫?」

「え、えぇ。私が回復魔法をかけておきますので問題ないかと」

 ガブリエルのテレパシースキルでパスは繋がっているのでそのまま喋っても問題なく会話できるのはいいな。

 うーん。

 やっぱりガブリエルに頼んでスキルの実とやらをもらってもらうべきか……。

 あー、でも人間には使えないんだっけ。

 そればっかりはどうしようもないからなぁ。

 まぁ、今考えても仕方ないな。

 とりあえず、打診だけしてもらっておいて後から考えるのが正解だろう。




「お主、これは何事じゃ?」

「ん?」

 後ろから声をかけられ、振り向いた。

 ってなんだ。ノブナガか。

「なんだとは、ひどくはないかの?」

「おい、ノブナガ。また問題を起したのか?」

「お主も!なぜ儂が問題を起したこと前提なのじゃ!」

 ってヴィゴーレもいたのか。

「ん?こいつらは……戦乙女(ヴァルキリー)族?って天使族もいるのか」

「お初にお目にかかります。光の神より、主様の元に謝罪の品としてまいりました。ガブリエルと申します。貴方方は……。とりあえず、浄化しますね」

 ガシッとガブリエルがノブナガの顔を鷲掴みにした。

「まてまてまて!いきなり何をする!ってぎゃぁぁぁぁぁ!痛い!頭が!違う、顔が!顔が割れる!」

 ノブナガの顔を絞めていたガブリエルが首を捻る。

「あら?なんでしょうこの感じ?アンデッドのような、そうじゃないような?」

 まぁ、もっとも絞め続けているのでノブナガは痛そうだが。

 そういえば、確かにノブナガはアンデッド、というか霊体という割には足もあるし、影もある。おかしな話だ。

 顔面を絞め続けられるノブナガを見て、ヴィゴーレは若干距離を置いている。

 正しい判断だな。

 多分、近くにいると巻き込まれるだろうし。

「んー?これは、転生系魔術とも系統が違いますし。あ、そうか。東方の呪術系統ですね。でもこれは……。なるほど、供給された魔力量が……」

「いだだだだ!えぇい!いい加減にせぬか!」

 あ、ノブナガがガブリエルの手を振り払った。

 それを見て、ガブリエルが微笑んだ。

「ずいぶんと、興味深い体をなさっていますね。第六天魔王」

「ん?なんじゃい。儂のことを知っておるのか?」

「えぇ。改めまして、私はガブリエル。創世の天使といえば貴方方には通りが良いですか?」

「「創世の天使!?」」

 なんだ、そりゃ?

 さっき教皇は『神話に登場する聖女を選定する天使』と言っていたし、『創世神話に名前が登場する』とか言ってたな。

 創世の天使ってのは称号というか、異名の類かな?

 やっぱり有名人なんだな。……人といっていいかどうかはわからんが。

「ちょ、ちょっとまて。創世の天使といえば、この世界最強の一角だぞ!?」

「あー、あー。あやつか……」

 ん?なんかノブナガの様子が?どうしたんだあいつ。

「おい、ノブナガ。何を動揺している?」

「いやー、昔、ちょっと喧嘩を売ったことがあっての。それで儂を見るなり、攻撃してきたのかと……」

「何やってるんだ、お前は」

 ほんとにな。

「その節はどうも。まぁ、あの程度では我々、天使族はびくともしませんが。……しかし、まさかアンデッドとなり主様の従者となっていたとは。過剰な魔力供給にも納得できますね」

 なんだか、仲良くなったみたいだ。

 ヴィゴーレに声をかけてこの場を終わらせたいが、今俺、猫だし。

 もう人化の時間切れちゃったしな。

 どうしたものかな。




 結局、2人はたっぷり1時間は仲良く喧嘩しな、みたいな感じだった。

 まぁ、いいんだけど。

 戦乙女(ヴァルキリー)族の3人の回復時間を稼ぐことができたし。

「「「大変申し訳ございませんでした!!」」」

 3人が揃って土下座して謝罪していた。

「主様、彼女たちもこう言っていることですし、慈悲を頂けますか?」

 慈悲も何もないんだけどね。

 そんなに怒ってないし。

 これがもしも、公爵と戦う前後とか、神聖トリポリタニア公国に行った辺りだったらわからないが。

「くすっ。ありがとうございます」

 ガブリエルさんが微笑む。

 うん。いい感じで締めようとしてるけど、俺、何も言ってないよね。

 まぁ、場をまとめてもらったと思おう。






 その日の夜、まぁ予想通り、こいつらは俺の部屋に来た。

「夜の奉仕に参りました。主様」

 ガブリエルは一貫して俺の世話をしようとしている。

 ドラゴン達より頑固だ。

 彼女たちでさえ、話せばある程度わかってくれるというのに。

「ガブリエル様。もう少し慎みを。主様がお困りです」

 ロタは一歩引いた立場を取っている。が、求められれば、と言っているのでどっちかというとガブリエル派だろう。

「うぅ……恥ずかしいな。この格好」

 スルーズはさっきの一件から妙に大人しい。

 こっちをチラチラ見ながら頬を赤らめている。

 その目はやめてくれ。

 こいつもどうやらガブリエル派に鞍替えしたらしい。

「エールでぐいっとやれば覚悟も決まると思う。お酒の勢いは大事」

 エルルーンは……よくわからない。

 酒を求めているようだ。

 俺に言われても正直、場所を知らないからわからん。

「よし、お前ら一旦ステイ!落ち着くんだ!」

 唯一の救いは俺の部屋なので言葉が通じること。

 何だか、犬を飼った気分だ。




 シャルロッテさんは彼女たちを意外にあっさり受け入れた。城に部屋も用意してくれたようだ。

 大天使の名前はこちらでも効果的なようだった。

 マリアゲルテさんは落ち込みがすごくて、あれから部屋から出てきていない。

 少し心配だが、今どうにかしてやることはできないな。


 ドラゴンたちがすべての遺体を回収してくれた。

 じいやさんとアドマと思われる遺体もあった。

 じいやさんは首だけだった。

 アドマに至っては損傷が激しく、辛うじて顔の半分がわかる程度だった。

 痛めつけられたというよりは爆発したような損傷だったそうだ。

 何があの場であったのか知る者はいない。

 彼らは、氷柱や公爵とともに回収され明日、弔われるそうだ。

 回収してくれたトラキスとハグレオンには感謝だな。

 なんでも、じいやさんの首とアドマの頭は彼らが持ち歩いていたそうで、体は恐らく別の場所にあるのでは、とのことだった。

 遺体の首を持って歩くとか、悪趣味かと思ったが、人間同士の小規模戦争ではよくあることらしい。特に司令官や有力人物を倒した際は。

 その後の戦闘では威嚇になるし、戦果をわかりやすく伝えるための手段の一つらしい。

 ……やっぱり、悪趣味だと思う。


「主様、本日は我々の初顔合わせの日。我ら全員でお勤めを果たさせていただきます」

「「「よ、よろしくお願いします」」」

 いや、よろしくしないから。

 俺は頑として、ここから動かんぞ!!

「あら、これは困りましたね」

 そう微笑んだガブリエルは虚空から何かを取り出した。

 あれはひょっとして、マンガや小説によくある、アイテムボックスだろうか?

 アレも便利そうだな。


 ってちがうちがう。

 とりあえず、その官能的な格好をやめろ。

 あと、何に使うかわからん水差しとコップも片付けて。

 って、なんだこれ?

 なんか水差しの中に粘性の強い透明な液体が入ってるな?

 コップの中には水かな?これ?

 何に使うんだ?

「それは、その。夜伽の時に使うもので。女性のお勤めを楽にするものです」


 …………。

 ………。

 ……。


 よし、撤去で。


「なるほど。女性をなぶるのが趣味と」

 違います。

 後、そこの3人。違うから安心しろ。真に受けるな。



「ふむ。ではこちらを」

 ん?

 なんだこれ?

 瓶?ポーションか?

「強力な媚薬です」



 ……撤去で。

戦闘シーンはカットです。

一応書いたのですが、思った以上にあっさりとしたものになったので。


投稿してもたまに反映されないことがあるのはなぜだろう。

再投稿しました。

時間差反映等で被っていたらすみません。

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