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7-1.うかつ再び

説明回。

 公爵が投降してから1週間の時間が流れた。

 その間、特に大きな変化はなかった。

 大きな変化はない、といったが小さな変化はあった。


 まず、ドリアードのミリアさん。

 彼女が新しい植物、つまり品種改良に成功した。

 前回のでっかいトマト、アレの改良に精を出していたようだ。

 正直、すっかり忘れていた。

 しかし、出来上がったトマトは見事なものだった。

 現代で見ているものより大ぶりで、花が1房に3つしかつかない。

 その代わり、房の数が多く、まともに育てればかなりの量になる。

 これに味をしめたのか、ミリアさんは続けて他の植物の開発もはじめたようだ。

 一番の目玉は小麦の品種改良。

 さらに寒さに強い小麦を開発しているようだ。

 この世界の小麦はクレアナ小麦といい、俺の世界の小麦に比べて寒さに強く比較的どんな場所でも生育する。

 だがミリアさんは冬に生育する小麦を目指しているようだ。

 この辺りの冬の平均気温は0度に行かない程度。

 ただし夏の気温も25度程度と比較的過ごしやすい気候にあるようだ。

 日本ほどの四季はないが比較的意識もはっきりしており、多数の植物を生育するのに向いた土地らしい。

 まぁ、頑張って欲しいと思う。

 食事が豊かになることはいいことだし、俺もそろそろステーキ以外のものを食べたい。

 いい加減、ステーキと焼き魚は飽きてきた。



 次に、俺を宙吊りにしてくれた、メイドのエミリーさん。

 彼女はシャルロッテさんに特命を与えられていたのだが、その任務が終わり、というか中断したらしい。

 その任務とは三勇士の後継者を探すこと。

 三勇士とは三公爵家の元になった家柄の事だが、ヴィゴーレたちの事ではない。

 予言、というか言い伝えによれば、三勇士はその時代ごとに新たに『現れる』らしい。

 年代ごとに固定された場所が設定されており、この時代では全てドリス皇国内が指定されていたが、位置はわかっても時間まではわからないそうだ。

「で、ここからが本題なんだけど、この『改良型』の有用性と安全性を確かめるために、何人か追加で色々な世界から転移させることになったんだよね」

 その話をきいた俺は、ふと男の方の神様の言葉を思い出した。

 もしかしてその三勇士とやらは、新しく転移させると言っていた奴らではないだろうか?

 まぁ、仮にそうだとしても今の俺が知る術はないのでどちらでも同じことだが。

 で、その特命が終わって新しく彼女に与えられた仕事が、バロンやノブナガ、ドラゴン達との連絡・世話係だった。

 今のところはノブナガがセクハラしたこと以外は仲良くやっているらしい。

「ノウ様やイチ殿に言いつけますよ」

 ミツヒデからその言葉を聞いたノブナガは脂汗を垂らしていた。

 ノウって言うのは信長の奥さんの濃姫かな?ってことはイチって言うのは妹のお市か。

 そっくりさん大行進だな。

 と思ったのだが、ちょいちょい違うところがあった。

 斎藤道三は斎藤という苗字ではなかったし、徳川家康はノブナガの時代にすでに死去しているらしい。

 豊臣秀吉に至っては農民出身ではなく武家出身。一応、木下という苗字だったらしい。ほかにもちょいちょい似た名前はあったが、

 ちなみにカムイ神国は今はモウリという将軍がいるらしい。

 なんでそんなに詳しくわかったのか。

 それはミツヒデのおかげだ。

 彼はなんと自らの魂を二つに分け、現代にも生きているそうだ。

 なんというか、俺の知る歴史とはだいぶ違う。

 まぁ、いいんだけど。

 で、エミリーさんはそのノブナガ、それに皇家の客将扱いのバロン、俺の客扱いのドラゴンたちのお世話、そりゃ大変だろう。

 まぁ、お世話と言ても、ノブナガ達以外は別段する必要ないみたいだけど。

 なんせバロンたちはこれまでも普通に生活しているし、ドラゴンたちは俺のお世話という名目で来ているのでそれなりに生活能力がある。

 問題児はノブナガ達……、というかノブナガだけが問題児という事で基本的にはあいつのお世話らしい。

 ちなみにだが、今のノブナガは霊体、所謂レイスに近い肉体らしいのだが、普通にビンタしていた。

 ほんとにもうよくわからん。

 どうなってるんだろうな?この世界の霊体って。



 3つ目はドラゴンたちの一件で生まれた魔物たち。

 その姿はラプトルと呼ばれる恐竜に似ている。

 研究の結果、雑食性で人を乗せることを嫌わない。

 ということで、騎乗の研究をすることになったみたいだ。

 彼らはランナーラプトルという種族だということがわかり、野生種は確認されていないみたいだ。

 大陸の東方で騎乗に使用されているものと同種だそうだ。

 これはノブナガ達から聞いたこと。

 なんでも、彼らの支配地域に流れてきた一族にこの騎乗に長けたものがいたそうだ。

 ちなみに、カムイ神国は彼らを受け入れたことによりその支配地域を大陸まで伸ばしているそうだ。

 このランナーラプトルは持久力や輸送力は馬に劣るが、瞬発力や跳躍力は勝る。

 皇国の新たな目玉戦力になるのではと、じぃやさんが早速手配していた。

 既に繁殖計画も始まっているそうだ。

 ただでさえ狭い土地が更に狭くなった。

 なお、皇国の目玉戦力とは、今の所、ドミニオ公爵の黒鉄騎兵隊、ガルアーノ公爵のペガサス騎兵隊、グレイスノース公爵の聖騎士隊だ。

 黒鉄騎兵は重装騎兵と重装歩兵による正面戦闘特化の部隊。

 ペガサス騎兵はペガサスによる空中からの奇襲特化部隊。

 聖騎士は少数精鋭で全員が光魔法、雷魔法を使用できる部隊だそうだ。

 うち、ドミニオ公爵とガルアーノ公爵を掌握したことにより、シャルロッテさんは国内を掌握しつつある。

 ……俺のおかげだと喧伝しているせいで、最近ではヴォルガモアやヴォルケーノの姿では目立って仕方がない。


 そうそう、俺の姿といえば。

 Sランク、……魔王級のあの九尾の猫の姿になったあとから俺の人化の時間は一気に伸びた。

 あのとき獲得したスキルが関係しているのかはわからない。

 なにせどのスキルも説明欄が空白なのだ。

 更にあのときのログにあった魔王種、エルダーデモンキャットというのも結局分からず仕舞いだ。

 あのログから察するに、魔王種とやらと魔王級と言うやつは違うものなのだろう。

 多分、タラバガニと他のカニくらいの違いだろう。

 ……タラバガニはヤドカリの仲間。カニとは違うみたいな。

 いずれにしても、3分程度しか人の姿になれなかったのが、今はなんと3時間だ。

 こうなれば、色々できる!

 と思ったのだが、案外猫の姿で困ることはなかった。

 食事だって、トイレだって、風呂だってもう慣れてしまった。

 流石に人間の体に違和感が出るというレベルではないが。

 特に夜はシャルロッテさんとマリアゲルテさんが俺の部屋に来るので微妙に油断ならない。


 あとは俺が召喚?した猫たちだろうか。

 皇都では既に食料庫の門番という地位を確立しており、皇都に散った19匹は餌と仕事にありつけているようだった。

 なお、そのうち数匹はカップルに成ったらしく、稀に路地裏でイチャイチャしているのを見かける。

 ……仔猫が生まれるのも近いのかもしれない。

 他にも数匹、ちゃっかり飼い猫の立場に収まったのか家の軒先でのんびりしているのを見かける。

 天空城が猫の島にならないといいのだが。


 最後はゴルディだ。

 彼はなぜか倉庫の屋根の上で途方に暮れていたのを発見した。

 振り落とされたことを怒ってはいたがむしろ以前より元気になった気がする。

 お互いに謝罪してその場はお開きとなった。

 そうそう。

 あのエルフ侍、アスティベーラが埋めたブレスレットだが、これはゴルディの持ち物だったようだ。

 装着者とゴルディを繋ぐものだそうで、ノブナガに確認したら、昔から伝わっている由緒正しいものなのだとか。

 なんでも初代アレクシスがカムイ神国に贈り、それが流れ流れてオダ家の家宝として祀られていたとか。

 あのマサヒデとかかれた刀もノブナガの所有物であれを媒介にマサカドの秘術を使い復活したのだとか。

 ノブナガに返したほうが良いかと確認したら「いらん」と突き返されたのでゴルディに渡したらこちらも返されてしまった。

 仕方ないので今は俺の部屋に保管してある。

 うーん。俺の部屋がだんだんゴミ屋敷になってきた気がする。







 とまぁ、ここまでが小さな変化。

 で、ここからが現在進行系。





 と、言ってもそうたいしたことじゃない。

 人に成れるとなったら、人の姿で何かしたいじゃないか。

 そう思った俺はとりあえず、本を読んだ。

 猫の姿でもできたことだが、ベッドに座って本を読む。

 なんだか人間らしい姿じゃないか。

 で、俺の部屋にある本は、知識チートアイテムである女神の置いて行った『異世界転生チートマニュアル』しかない。

 という事で俺は部屋でひとり、本を読んでいたんだ。






 さて、ここで問題です。

 俺の部屋には猫の姿を毎夜抱きに来る女の子が来る。

 俺は久々の人の姿で活動しているということで本に夢中になっていた。

 そこから導かれる答えは?












「失礼しますね。アレク」





 そう。

 俺がこの間、やってしまったことをまた、繰り返してしまったのだった。

病院で処置してもらいましたが、未だに腫れが引かず。

暫くは、音声入力と文字うちの合わせ技になりそうです。

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