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1-11.世界の声

 あぶねぇだろ!連絡するならするでもっとわかりやすくしろよ!死ぬかと思ったわ!



「それはあなたが中途半端とかへんなこと言うからです!」



 考えただけで伝わるのか便利だ。


「それで?何の用だよ。世界観連絡とやらか?」

 俺の質問に先ほどまでの怒気はどこへ行ったのかと思うほど女神が明るく答えた。

「はい。お二人の活躍で思いのほか最初の問題が早く片付いたので予定を早めて、連絡しようと思いまして」

 ふむふむ。しかし俺には問題を解決したという自覚は無いんだが?なんか大量にレベルが上がっただけだが?

「それも込みで問題解決です。とりあえず、あなたの世界に送った変態クズ男と会話をつなぎますので、お互いの情報交換などいかがでしょう?」

 いつの間にかむっつり変態男が変態クズ男にアップグレードされている…。

 たった一日で、なにやったんだあいつ…。

「それは本人に聞いてみたらいいんじゃないですか?」

 聞いてどうするんだよ…



 それからすぐ、俺と交換で現代に転移したエルフと通話がつながった。つながったのだが…


「………」

「………」


 何話していいのかわからん!

 そりゃそうだ。

 俺はこのエルフとはちょっと会っただけの赤の他人。話題がないのよ。

 漫画やアニメの主人公ならすぐに仲良くなって『仲間だ!』とかそういう展開になるんだろうけど。

 とりあえず挨拶だけはしておこう。挨拶、大事。


「あー、あのときのエルフさんですか?こちら多夢和です」

「おぉ!本当に頭のなかに声がするでござる!…こちら、アスティベーラでござる」

 ござるって…まぁ良いや。

「なんか問題を解決したとか聞きましたが、なんかあったんですか?」

 恐る恐る聞いてみるとこんな返答が返ってきた。

「うむ。実は、なんぞ空から鉄の巨人が現れてな。おなごが一人襲われそうになっておったのを助け申した」

 なんだそりゃ?俺の世界ってそんなことになってるの?あのエルフ俺よりよっぽど主人公してるんじゃないか?

「女神どのからは、そちらでも何かあったように伺っておるが?」

「あー。俺の方はレベルが上がったくらいだけど…なんかドリス皇国とか言う場所に飛ばされたみたい」

「ドリス皇国!拙者の故郷がある国ではないか!拙者の妹に会った際は是非宜しく伝えてくれ」

「了解。そっちは何処に飛ばされたんだ?」

「ちょっと待たれよ。…日ノ本と言う国なのはわかるのだが…鉄の箱が停まる場所には福田と書いてあるな」

「ん?福田?もしかして駅か?JRS徳川福田駅って書いてないか?」

「おぉ!確かにそのように書いてござる!」

 マジかよ。俺の地元じゃん。あの女神互いの地元が重なるように選んだのか。じゃあ、俺も頼んでおこう。

「あー、そこ、俺の地元だわ。もし、妹に会ったらこっちも宜しく伝えておいてくれ」

「承知した。して、何やらレベルが上がったと言っておったがどのくらいまで上がったのでござるか?」

「240」

「は?」

 なにやら呆れた声が聞こえた。

「いや、だから240。まぁ、体は猫なんで正直、どれ程のものか分からないんだけど…」

 なので素直に聞いてみる。その世界のことはその世界の住人に聞くのが一番だ。

「いやいや…240って魔王どころの話ではないでござるよ?拙者のお仕えしていた殿の側近の猛者達ですら30後半が精々でござるし」

「そうなのか?」

「うむ。しかも猫…つまり魔物でござろう?お主の力で世界が崩壊しても可笑しくないでござる」

 え…。正直驚いたそんなヤバイのか…。

 あ、そうだ。ついでに聞いてみよう。

「そういえば…過去にドリス皇国を建国した勇者ってレベルいくつくらいかわかるか?」

「建国の勇者でござるか?確か拙者の読んだ書物では65だったと思うでござる」

 65か…ざっと4倍以上あるのか…


 どう考えてもヤバい奴だな…。そうだ、ついでにスキルについても聞いてみよう。

「そういえば、スキルってのが見えるんだがこれ、獲得条件とかあるのか?」

「すまぬ、獲得条件についてはよくわからぬ、ただそれに類する行動をしておるといつの間にかパーソナルにも表示されるようになるのでござる」

 なるほど、行動系か。一定数以上になると表示が出るのだろう。

「パーソナルってのはなんだ?」

「パーソナルは基礎魔法と呼ばれる魔法でござる。何かしら魔法が使えるようになれば大体使用できるでござるよ」

 あー、それで女神は魔法が使えるようになるまでって書いてたのか。

「ふーん。まぁ、魔法スキルはあってもな魔法があるか、どう使うのか分からないから使えないか…」

「なんのスキルを手に入れたでござるか?」

「影魔法。EX+って表示されてる」

「EX+?そのようなランク、聞いたこと無いでごさるな…」

 そうなのか?ゲームとかマンガでよく聞くのはEXはSの上だったり特殊な感じだったりするんだが。+って事はそのさらに上なのかな?

「過去、英雄アレクシスがその代の邪神を滅した際に、『英雄叙事詩』なるスキルを使用したが、それもランクAと伝え聞いているでござる。Aより上のランクが存在してること事態、初耳でござるよ。世界はまだまだ広いでござるな…」

 そういうことらしい。魔法ではA以上は分からないのかな?いや、俺は確かにEX+と同等のアイテムの存在を見たはずだ。

「神代のマジックアイテムであれば、それほどのものでも不思議はないかもしれぬが…」

 神代のマジックアイテム…、あれ?俺、神代のマジックアイテム並み?

 あぁ…、やっぱりやばい奴じゃないか。

 あまり力を振るわないほうが世界のためになる的なレベルじゃないのか?


 そんな風に会話を続けていると今度は女神の声が響いてきた。

「お二人とも、お勤めご苦労様です」

 強制されたお勤めだけどな。

「まぁ、そうおっしゃらず。仲良くなっていただけた様で何よりですわ」

 仲良くなった覚えも無いのだが…

「さて、お二人には次のミッションに進んでいただくわけですが…」

 次?っていうかミッションをクリアした記憶も無いんですが…

「アスティベーラさん、まずあなたはこれから仲間に出会うでしょう。その仲間と協力し、宇宙より飛来する機械生物たちから地球をお守りください」

 は?機械生物?なにそれやっぱりこいつの方が主人公なのか。まぁ、正直俺は主人公なんて明らかにそんな役回りはごめんだと思ってるから別にいいのだが。

 メイン張るのははおいしいけど、なんだかんだ大変だからなぁ…

「次に多夢和さん。あなたはさっさと仔作りしてください」

 …この差よ。

 ほんとぶん殴ってやりたいわ。

「つぅか子作り?聞いてないんだけど!?」

「獣人の始祖になりなさいって行ったじゃないですか!」

 えぇ…あれ、俺が子作りして作るの?今、猫だよ?流石に無理です。

「人にすれば良いではないですか!」

 いや、相手が嫌だろ!?

 そもそも相手がいねぇよ!?

「お姫様が二人いたじゃないですか」

 ひでぇ話だな。おい。流石に、今すぐそう言う目線では見れないかなー。いや、男としては嬉しいんだけど…。

「お主は良いでござるなぁ…」

 おい、変態エルフ。羨ましそうに言うな。こちとら、現代社会の倫理観と道徳観で今まで生活してたんだ。

 いきなり、ほぼ初対面の人間に猫の姿で子作りしろって?無理無理。

「ちっ!そこそこ発展した文明のめんどくさい所が出ましたね」

 おい、女神舌打ちすんなよ。

「私が設計したときはそんなこと考える暇も無く、それこそ外で人目もはばからずあっちこっちで交尾して、子孫を増やしてたくせに」

 いったい何万年前の話なんだよ!

 いや、ひょっとして何億年前のことをいってるか?

 そう言えば、世界を作った神様だっけ。じゃあ設計ミスだろ。ん?待てよ?じゃあ、何でこいつは他人を使って問題解決させようとしてるんだ?

「今回の問題は私の予期していないことだからです。別の箱庭…神が作る世界のことですが…そこからの来訪者が今回の問題の根底にあるからです」

「別の神?」

 なんだそりゃ?

「我々は基本、一人につき、複数個の世界を作り出しています。多夢和さんの場合だと、地球を含む宇宙ですね。しかし我々は互いに不干渉、通常それぞれ世界が干渉したりはしません。しかし、何かの不手際や事故により稀に長い年月を掛けて影響を及ぼすことがあります。それが今回の原因です」

「神同士で解決したりは出来ないでござるか?」

「それは、肉眼でヨクトの-30乗単位の世界の手術を成功させるよりも難しいでしょう」

「よくわからんてござるなぁ。多夢和殿?」

 俺もよくわからんて。ヨクトってなんだっけ?10の-24乗とかだったっけ?

 とりあえず、半端ない単位なのはわかった。

「まぁ、単位はともかくとんでもなく細かい作業で疲れ…ゲフンゲフン。私たちでは干渉すら難しい問題なのです」

 おい。今、疲れるって言おうとしてなかったか?

「ともかく、お二人とも、これからも頑張ってください。私からの伝令は以後、星の精か各世界の神を通して行いますのでご了承下さい」

「おい、丸投げかよ!」

 エルフもなんとか言ってやれ。

「ちょ、お主何をしてるでござる!?ぬぉぉぉぉ!?やめろ!腕を組むでない!!」

 ん?なんだ?様子がおかしいぞ?

「女神殿!多夢和殿!助けてくださ(ブツッ)」

 切れた。電話が切れるみたいにブツッと言う音と共にエルフの声は聞こえなくなってしまった。

「ちょ、向うさんヤバいんじゃないですか!?」

「心配要りません、いちゃついてるだけです」

 いちゃついてるだけかよ。心配して損したわ。

「それよりも、ご自身のご心配をなさった方がよろしいかと思いますけど?」

 俺の心配?

「後ろです」

 後ろ?

「うおっ!?」

 振り向くとそこにはマリアゲルテさんが眠い目を擦りながら、俺を覗き込んでいた。そしてニコッと笑ったかと思うと俺をぬいぐるみのように抱えベッドで横になった。俺の顔は彼女の胸に埋もれてそのまま就寝することとなった。



 幸せだけど、超苦しいです。

今回で1節は区切られました。

次回以降はいろいろあってペースが落ちるかと思います。ご了承ください

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