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1-10.魔眼の力※

 ただいまー…。



 俺は木から窓に飛び乗ってこっそりと中に入る。

 まるで、飲み会で深夜に帰宅して家族を起こさないように寝床に向かうお父さんのじゃないか…。

 ベッドの方を見ると二人の姫さんはぐっすりと休んでいるようだった。

 うーん。美少女二人がベッドの上でくんずほぐれつ…。あの間に俺は挟まってたのか…。いかん、反応してしまいそうだ。

 ん?そうか、俺今、猫の体だから毛があるとはいえ全裸か。意識すると恥ずかしくなってきたぞ。なんか服がほしい。反応している部分がダイレクトに外気に触れているのが分かってしまう…。


 こういうときは別のことをするのがいい。考え事をしたり、何も考えず寝てしまうのもいいだろう。

 とはいえ、正直、今はまだ眠くない。さて、どうしようか。

 そうだ、『鑑定の魔眼』を使ってみよう。たしか女神が誰かを鑑定したら分かるみたいなことを書いてたな。

 お?都合よくじぃやさんが渡り廊下を歩いているのが窓枠から見えた。

 警備でもしてくれてるのかな?それともさっきの兵士たちと同類なのか?

 うーん。わからん。まぁ、目的はともかく、彼で確認させてもらうことにしよう。俺は『鑑定の魔眼』を発動した。

 また変なところ鑑定するなよー。


[パーソナル]

 名前『セ・バスティアン・オーランド』

 種族『人間』

 種族ランク『-』

 冒険者ランク『-』

 職業『執事』『公爵』『忍者』『格闘家』

 称号『懐刀』『従士公爵』

 レベル『38』

 好物『海産物』


[ステータス]

 体力『B』

 潜在魔力『C』

 筋力『B』

 防御『C』

 敏捷『B』

 魔力『C』

 知力『B+』

 器用『A』

 対魔力『C』

 統率『B』

 運『D』


[状態]

『過労』(すべての能力に-D)


[習得スキル]

『古式格闘術:流星派閥』(レベル:B)

『古式格闘術:号式派閥』(レベル:B)

『気配寸断』(レベル:C)

『格闘』(レベル:B)

『生活魔法』(レベル:D)

『補助魔法:上昇』(レベル:D)

『回復魔法』(レベル:D)

『礼儀作法』(レベル:C)

『炊事』(レベル:C)

『洗濯』(レベル:D)

『掃除』(レベル:C)

『軍隊指揮』(レベル:C)

『発明』(レベル:E)


 etc、etc…



 スキル多っ!?

 っていうか、じぃやさん公爵なんだ。

 え、なに公爵が執事やってるの?

 てか職業に『忍者』ってあるんだが…。やっぱり忍者だったのかよ!?

 突っ込みどころ満載のステータス画面に俺は一人で突っ込みを入れた。

 うーん?俺のときと違ってベースとかランクが表示されていない。なんでだ?

 ひょっとしてランクやベースって言うのは魔物特有なのかもしれない。

 しかし、公爵って強いのか弱いのかそれすらわからないから俺の能力と比較のしようが無い。

 公爵って言えば俺の世界では王族を除けば一番上の爵位だったはずだ。

 なんたら地方のトップだった気がする。

 日本で考えるなら市長が男爵、県知事が伯爵、地方トップが公爵と考えるとかなりの権力のはずだ。面積なら海外の方が大きいはずだからもっと権力があるか。


挿絵(By みてみん)


 おっと、じぃやさんと目が合った。

 するとじぃやさんは俺の方向へ向かって軽く会釈をし、そのまま歩き去ってしまった。

 え?この距離で見えてるの?すごくない?じぃやさん。


 俺はじぃやさんを見送ると、ためしに姫様二人を見てみた。

 こちらはシャルロッテさんがレベル8、マリアゲルテさんがレベル10と若干マリアゲルテさんの方がレベルが高かった。

 マリアゲルテさん、あんなすごい魔法っぽいものぶっ放しておいてレベル10なのか。

 ちなみに、レベル以外の項目は今回は見ていない。

 俺の今のレベルがどれほどのものか参照できればよかったからだ。

 うーん?これだけじゃ、いまいち、どの程度か分からんな。

 仮にじぃやさんが強い部類だと仮定すると、俺のレベルは異常ということになる。だが、そこまで強くなく、たとえばなんちゃら王国親衛隊長とかが俺クラスのレベルを持っているとしたらそこまで強くないことになる。

 強いかどうかの判断はともかく、俺はファンタジー世界に来るなんて思ってなかったから、例えば山賊やモンスターの襲来などに対し、訓練をしているわけではない。であれば、自分の身の安全を守るためにいくつかの対抗策を考えておくべきだろう。そのためには今の自分がどういう立ち位置にあるか知っておく必要があるのだが…。

 正直、見てしまったから余計に混乱してしまった。どうしよう…。


 すると、ふと、壁に掛けられていた、いかにもといった馬鹿でかい剣が目に留まった。金と銀が織り交ざった刃をしており、柄頭の部分には竜の彫り物がある。

 ガラスに丁寧に梱包されいかにも大切なものですって言う雰囲気がある。


 ちょっと鑑定してみよう。


 アイテム名『聖剣ドラゴニック☆アスカロン』

 レアリティ『★★★★★』

 効果『使用者の体力、筋力に+B』『射程500mの範囲攻撃付与』『防御貫通』『竜族特攻』『魔族特攻』『対神特攻』『悪魔特攻』『敵対特攻』『紛失対策』『使用者限定』

 カテゴリ『両手剣・片手剣』

 説明『ドリス皇国建国の英雄ドルエス・アレクシス・ドリステリアが所持していた神造の聖剣の一本。神が創り、竜が鍛え、ドワーフがが竜の血とエルフの祈りを捧げて仕上げ、人間によって使われた聖剣。分類としてはバスタードソードに分類される。あらゆる防御を無視して広範囲を攻撃する力を持つ。ただし、使用者がレベル50以下であると、装備すらできない。ドルエス・アレクシス・ドリステリアとともに成長し、ついにはこのレベルに至った。刀身が神秘金鉄<オリハルコン>と緑銀鉄<ミスリル>で出来ており、刀身が金と銀のまだら模様なのが特徴。また柄に星光石があしらわれており、攻撃力、魔力ともに世界最高ランク。自身の半径500mに対し、光属性の衝撃波を発生させ、形ある刃で攻撃することができる。装備者を剣が選ぶため、使用者が限定される』

 補足『正直、名前がイタ過ぎて今すぐ消し去ってしまいたいです』


 って国宝級だろこれ。

 こんなところにおいてて良いの?

 神造ってあの女神が造った聖剣ってこと?

 うん?英雄とともに成長した?どういうことだろう。

 アニメ的に考えると英雄のレベルとリンクしてるってところか?

 いかにも英雄って感じの武器だな。

 だが、そう考えてみると、このレベル制限が使用者の最終レベルってことになる。っていうことは世界的英雄でレベル50程度が基準ってところか?

 意外と低いな。これなら俺の今のレベルは完全な異常値だろう。

 正直もうひとつぐらい判断材料がほしい。さすがにこれで判断するのは早計過ぎる。


 というか、気づかない振り…いや気づいててスルーしてたけど、この補足って何だよ。あの女神はアイテムの説明欄に余計な一言を書き込むこともできるのか。なにが☆だよ。そりゃイタいわ。

 え、なに?英雄さんは「ドラゴニック☆アスカロン!」とか叫びながら戦闘してたの?

 男だよね?恥ずかしくない?

 俺の頭には、目のキラキラしたツインテールピンク髪の魔法少女にしか変換されないんだが。


 お?よく見たらなんか剣を留めてる留め具も普通じゃないな。でっかいルビーの付いた金色の留め具だ。


 アイテム名『ミッシングリンク』

 レアリティ『★★★★☆』

 効果『薬品、薬剤、毒系物質によるバッドステータス効果を無効化する。』

 カテゴリ『腕輪』

 説明『ドリス皇国建国の英雄アレクシスとその第一王妃エレナが使用した腕輪。神造の腕輪で、5つある神造の腕輪のひとつ。この力でアレクシスとその従者たちは疫病のはびこる魔界を突破した』


 これも国宝級かよ。

 というより、腕輪を留め金に使うなよ。もったいない。


 しかし、これでひとつはっきりしたことがある。

 俺のスキル、『薬剤耐性』とまったく同じ効果文が書かれているということは、このバッドステータス無効の効果がどれほどかわからないが、最低でも国宝クラスのスキルが俺の手元にあるということだ。

 つまりはおそらく俺は今強いということだろう。


 あれ、あの女神もしかしてここはちゃんとやってくれたのか?

 中途半端にしやがったかと思えばこういうところはちゃんとしてくれていたんだな。感謝感謝。

 そんなことを考えていると、突然俺の頭の中に声が響いた。


「失礼なこといわないでください!あなたが聞かなかっただけでしょう!」


 …びっくりした。

 思わず窓枠から飛び出してしまった。

 あぶねぇ!落ちる!落ちる!

 足をバタバタして何とか窓枠に這い上がることができた。




 このやろう、連絡するなら連絡するでもうちょっと配慮を持ってほしい…。


9/25 追加

挿絵を追加しました。


2021/9/20 修正

ドラゴニック☆アスカロンの説明欄の名前がなぜか間違えていました。

今更気づきました。すみません。

2021/12/4 修正

ミッシングリンク使用者の説明がアドマになっていました。

正しくはアレクシスです。

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