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幼稚な衝動だ。
こんなことをする俺に誰か気づいて、とどうしようもない承認欲求を持て余しているような。
そして怖がっている人々を見て嘲っているのだ。
お前達とは違って俺はこんなことも出来るのだ、と。
あいつはそういう奴だった。
「探してみた方がいいな」
十和は嫌そうに言って、立ち上がった。
不安そうに両手を胸の前で重ね合わせた泉桜は、気をつけてねと十和に言った。
「任せとけ」
お兄さんらしく笑い泉桜の頭をがしがし撫でて出て行った十和は、その夜、血相を変えて泉桜の家に飛び込んできた。
まだ日が暮れたばかりの時分であった。
泉桜と佑真は夕食を取ろうと、囲炉裏を囲んでいた。
昨日から今日にかけて随分と気が削がれたような感じがする。
疲労感漂う泉桜に佑真が話しかけようと口を開いた時ーー。
呼び掛けもなく、扉が開いた。
押し開けられた勢いで、扉の繋ぎ目がぎいぎいと嫌な音を立てている。
その場に崩れ落ちた男は、ぜえぜえと荒い呼吸を繰り返している。ここまで走ってきたようだった。
「十和くん?」
戸惑いつつ近寄った泉桜は、床にしゃがんで十和の背を撫でた。
その腕を掴んだ十和は、血の気をなくした顔を泉桜の前に曝け出した。
「どうしたの?何があったの?」
尋常でないその様子に、泉桜も手を止めて呼び掛ける。
「……が……」
「え?」
がほがほと咳をした十和は、大きく息を吸い込むと一気に吐き出した。
「葵が、いなくなっちまった!」




