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「帰ろうか」
「ああ」
2人は来た時と同じように歩き始めた。
その距離が少しだけ近づいていたことと、泉桜の足取りが軽くなっていたことを除けば。
* *
「おい、何だよこれ」
砂敷村の中を見回りしていた自警団の1人が、地面を指差した。
村外れ、山に入るかどうかという微妙な場所に建った、一軒の家の前である。
隣を歩いていた自警団の男が松明を近づけ、それを見ると嫌な顔をした。
「こりゃ、酷えことしやがるな」
しかも御姫様の家の前で、と。
てんてんと、地面に血が落ちている。
その先にばらばらにされた小鳥の死骸が落ちていた。
家の背後には、厳しく切り立った山が黒々と聳え立っていた。
ぎゃあ、と夜鳥の不吉な鳴き声が響き渡る。
砂敷村に夜が訪れようとしていた。




