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3、悪役令嬢、乙女ゲーム「乙女の策略」の基礎を確認する。




 まずは基本的なことから確認すべきだ、とドロシーは思った。



 そう基本が大切。



 乙女ゲーム【乙女の策略】は従来の乙女ゲームと違うオリジナリティを持つところが二つある。



 一つは汚い策略。


 相手をどんなに貶めようとも、汚い噂をばらまこうとも、極端な話、殺してしまうことも自由で、その選択は全てプレイヤーに委ねられている。その倫理観の低さは、同じく倫理観の低いゲームとして広く知られているグランド・絶対・オートよりもヤバイと言われていた。



 二つの目は、攻略対象は無制限であるということ。


 男であれば、誰だって落とすことができる。まだあどけなさの残る幼い従士を落としたり、鍛冶屋のおじさんを落とすことだってできる。

 もちろんグッドエンディングを見るためにはそういうモブを落としただけでは駄目なのだが、街をうろつくモブを誰でも落とせるコンセプト、というのはやはりこういう系統のゲームにしては画期的であった。



 ここで少しキーになる登場人物を紹介する。



 まずは王太子レイ。



 ドロシーの婚約者であり、稀代の甘ったれ坊や。嫉妬深く、婚約者の貞操が穢されることを何よりも嫌う頑固で残忍な男。


 彼の父であるレビル王がなんでもレイ王太子のわがままを聞き入れてしまうために、一度王太子の口から処刑話が出てしまうと、それを止めるものはミッドランド王国には存在しない。



 次にゲームの主役、デレラシン。



 ゲームの主役であるわりには非常にハッキリとした野心をもち、目的のためには手段を選ばない。表裏がとにかく激しく、従順で純真な女性を装う。




 そして、これが本当に大事なのだが、この世界には【 スキル 】と呼ばれる特殊能力が存在する。



 この世界の人間は、人一人につき、一つのスキルを有している。



 デレラシンのスキルは【 愛の奴隷(ラブスレイブ) 】



 とても恐ろしいスキルで、デレラシンを愛するようになった男性は、強力な催眠術をかけられたように、デレラシンに精神を操られてしまうのだ。前述したように、このゲームでは男であれば、誰だって落とすことができる、だからこそこのスキルは絶大な威力を発揮する。そして、このスキルこそが、ドロシーの死に直結するスキルだった。



 ドロシーが死ぬパターンは大別すると3パターンに分けられる。



 ①デレラシンのスキルで操られた男によって殺されるパターン。


 ②デレラシンと王太子が婚約することにより、王太子が操られ、処刑されるパターン。


 ③浮気したドロシーに激怒した王太子によって殺されるパターン。



 少なくとも①と②のパターンにデレラシンのスキルが絡むわけである。



 もっとも③に関してもデレラシンがあの手この手でありもしない浮気の噂を広め、それを王太子に信じこませ、ドロシーを殺す、という手法なのだが……。



 つまるところ、デレラシンは王太子の婚約者であるドロシーに並々ならない殺意をもっており、彼女が思いついたあらゆる汚い策略をドロシーは乗り越えなければならないのだ。




 対するドロシーの武器といえば……。



 未来を知っていることと、スキル【 時よ止まれッ!(ザ・ワールディ) 】を持っていることぐらい。



 【 時よ止まれッ!(ザ・ワールディ) 】の効果は、5秒間時を止めることができる、という効果。



 うーん。今まで別に違和感抱いたことなかったけど、前世を思い出した頭で改めてこのスキル名を見ると……本当にヤバい名前ね。ゲームの製作者は色んな権利とか大丈夫だったのかしら?



「まぁいいわ。とにかく、これがわたくしの手持ちの武器」



 もうゲームは始まっていた。



 とにかく、最初に考えなければならないことは対策をたてることだった。


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オープン乙女ワールド斬新! 実際こんなゲームあったら面白そう
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