20話 教えて、エル教官!①
教会に帰り着いた。
俺とエルは荷物を下ろしてから、周りを気にせずに心置きなく魔法を使える中庭へと向かう。
「そういやエルって、どの属性に適性があるんだ?」
「ふ・・・気になるか」
「まぁ、ちょっとは」
「私はな————主属性全部だ」
「主属性って言うと、ええと・・・」
「火、水、地、風だな」
「・・・それって結構凄いんじゃないのか?」
グリスが確か火と風だったはずだ。
それと比べると多いと言えるんじゃないか?
比較対象がグリスしかいないのはご愛嬌として・・・
「完全適性者のグッサンに自慢してもしょうがないが・・・ま、珍しい方ではある」
「やっぱそうなのか」
「これでもガキの頃は神童と呼ばれてたんだぞ?」
「・・・今でも十分ガキだろ」
「うるせぇ!今よりもガキだった頃だよ」
エルとくだらないやり取りをしているうちに、中庭へ到着した。
————さて、いよいよだな。
金髪ポニーテールの後ろ頭がこちらへ振り返り、深呼吸をしてから話し始めた。
「それじゃ始めるぞ。まずは魔力の具象化についてだ」
「具象化?」
「魔力を実際の現象として発生させることだ。よく見ておけよ、グッサン」
エルの右手が空を指差す。
指先を見ろと言うので上に向けられた人差し指を見つめていると、指先付近の空気が蜃気楼のように歪みだす。
そうかと思えば、そこから勢いよく炎があがった。
熱気がここまで伝わってき・・・ってあっつ!
「これが火属性の基礎魔法の一つ、『原初の炎』だ。まずこいつを出せるようになってもらう」
「いきなりこれ!?」
初めてにはちょっと難易度高くない?
自信なくなってきたんだが・・・
「大丈夫だ、見た目ほど難しくはない」
「でも俺、魔力の出し方も分からないんだけど」
「・・・いいかグッサン。魔法で一番大事なのはイメージだ」
「イメージ、ねぇ」
「魔力を放出するのも、属性を選びそれを具象化させるのも・・・その出来はイメージがいかに鮮明であるかによって大きく左右される。逆に言えばイメージさえ出来ていれば魔法が使えるということだ」
なるほど・・・大切なんだな、イメージ。
「よしグッサン、私の手を握れ」
「はぁ?」
「いいからいいから」
そう言って俺の手を掴むエル。
こいつホント強引だよな。
しかも力強いし・・・
「魔力を私に流してみろ。というか『そうイメージしろ』」
「ふむ・・・こうか?」
俺は掴まれた右手から、エルの手のひらへ魔力を流す・・・イメージをする。
「いいぞ。量は少ないが感じるぞ、魔力を」
「————もういいか?ちょっと意識が遠くなってきた」
「お・・・おう」
エルが手を放すと同時に、俺はすさまじい疲労感に襲われた。
「うおおッ」
「大丈夫かグッサン?」
とは言いつつも、疲労で座り込んだ俺に手を貸さないエル。
マジに厳しめなんですね、エル教官・・・
「何とか大丈夫です・・・」
「どうやら予想以上に魔力量が少ないようだ————まあいい、早く立て」
「はい・・・」
残業明けくらいに疲れた体を頑張って立たせる。
こりゃ先が思いやられるな・・・




