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10話 現代魔法解体



 『現代魔法解体』と題された書物を流し見ること小一時間。


 しばらく読み進めてから、俺はある重要な事実に気付いた。


 「・・・・・・全然分からねぇじゃん!」


 俺が理解できたのは、記述されている内容の・・・二割といったところか。


 そう。文字を読めるのと内容を理解できることは全く別のことである。

 例えると、入学したての中学生に大学生の卒業論文を見せたところで理解できる奴なんていないのと同じか。


 当たり前の話だが、読めても分からないのだ。


 いや、これに関して今の俺は中学生どころか小学生レベルの理解力も持ってないかも。


 だって、俺がこの世界に飛ばされてまだ数週間かそこらなんだぜ?

 会話できて文字が読める、後前世の記憶が残ってるってだけで、この世界の俺は生後何ヵ月の赤ん坊と何ら変わりは無いのだ。


 ・・・赤ん坊にしちゃちょっと髭が伸びすぎかな、とは思うけど。


 まぁ文句ばっかり言ってても仕方ない。

 分からんところはエルやシスターに教えてもらいながらおいおい理解していくとして、前世では大学を二留していた俺がなんとか自力で理解できた部分、そこを解説していこうか。


 まずは魔法という概念について。


 魔法とは、この世界で「魔力を対価として消費することで、任意の現象を発生させたり物質を生み出したりする技術」と定義されているらしい。


 魔法は様々に活用されていて、その利用は単に生活を豊かにする目的だけにとどまらず護身術や武術、軍事活動や医療術等多岐にわたっているとのこと。


 そういえばシスターは詳しくは教えてくれなかったが、彼女が俺を治療するのにも魔法が使われていたみたいだしな。

 まあ外科手術だけでここまでの回復速度は出せないし、自然治癒力を底上げする魔法でもかけてくれていたのだろう。


 単純にシスターが凄い魔法使いだ、というだけかもしれないが。


 次に魔法の種類について。


 魔法は主に次の二つに分類されている。


 1;通常魔法

 2;特殊魔法


 それぞれの中でもさらに二つに分かれているようで、めんどくせえなと思いつつも解読していく。


 記述によると、通常魔法には「属性魔法」と「発展魔法」が、特殊魔法には「倍加魔法」と「精霊魔法」が存在するとのことだ。


 それぞれの詳細情報については、俺の理解力の限界が来てしまいはっきりとは分からなかった・・・がしかし。


 それでもかろうじて読み取れる部分があったのである!

 奇跡としか言えないな!


 ・・・内容は次に示す通りだ。


 ☆通常魔法

  〇属性魔法・・・「火、水、地、風」の主属性四つと「光、闇、精神」の副属性三つで構成され、適性のある属性の魔法を使用することが出来る。

  〇発展魔法・・・属性魔法から発展した魔法。異なる属性魔法同士を複合させた、より複雑な魔法である。使用するには長期間の訓練が必要。


 ☆特殊魔法

  〇倍加魔法・・・他の魔法を行使する際に追加でこの魔法を使用することで、魔法の効果を倍増できる。使用するにはかなり長期間の訓練が必要。

  〇精霊魔法・・・精霊に魔力を与え、その見返りとして精霊が任意の現象を発生させる、という類の魔法。生まれつき精霊に好かれる体質の者だけが使用できる。


 各々の魔法をその難易度や貴重さ、才能や技能の必要性で比較して序列をつけると


 精霊魔法>倍加魔法>発展魔法>属性魔法


 の順になるようだ。

 まあそれなりに分かりやすいな、という所感である。


 ・・・という訳で、これが一時間かけてこの本から学べた全てだ。


 結構頑張って読んだのでこれ以上は勘弁して欲しい。既に頭が限界を迎えつつあるのだ。

 今日の読解作業はこの辺にしておいて、そろそろ掃除をしよう。


 思い出したように掃除を再開する俺。

 さっきはたいた部屋中の埃を、後で集めやすいように箒を使って部屋の中心に寄せていく。


 作業をしながら、俺は自分の中に燃えるような興奮を感じる。


 薄々期待してはいたものの、この世界に実際「魔法」が存在すると確認できると心が躍った。


 魔法、か。

 一度でいいから使ってみたいもんだな。




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