転生者選別
小説を書くのは初めてなので、暖かい目で見てくると嬉しいです。
ある日、転生の間と呼ばれる場では目の前の転生候補者に頭を悩ませている女性が居た。彼女の名前はサラ。銀髪で銀色の目をしている。そう、女神である。対してサラの目の前にいる男は、見た目は黒髪に黒目。
地球という星の極東の人間だ。
「だからですね、そのような無茶な能力は授けられません。もっと世界に影響がないようなものでないと。」
するとその転生候補者は「はあ?この能力の何が駄目いんだよ。俺が知っているチートの中じゃ現実的なもんだぞ。」
「ですが、さすがに全魔法を自由に操れるというのは…」
そう、この日本人は全ての魔法を最初から覚えようとしているのだ。攻撃魔法、即死魔法、蘇生魔法、これ以上にも山ほどあるが、相当なチートである。なんせ転生予定先の世界では魔法は重宝されており、魔法の才能に恵まれる人間というのもごく一部だからだ。
「なんだよ、俺に世界を救ってほしいんだろ?じゃあさっさと寄越して転生させろよ。」
ここまで初対面の、さらに女神という存在に対して生意気な態度をとるとは、さすがの度胸である。
少しカチンと来たサラは「いえ、転生者候補は他にも腐るほどいますので、あなたのような人でなくても代わりはいるので大丈夫ですよ。というか、そろそろ諦めてもらわないと、さっさと天国に行くか、記憶を消して転生してもらいますよ?」と少しばかりの脅しをかける。
これには転生候補も少し怖じ気づいた様子で「わ、分かったよ。じゃあ、即死魔法は駄目でも、上位魔法くらいならいいだろ?」
さっきから転生先の世界においての魔法の希少価値をさんざん説明してこの様子である。
これにはもう女神も諦めた様子で「もういいです。時間も押していますので、適当なとこに行かせますね。能力は無しです。」
転生候補者はあわてて「ちょっ、ちょっと待てよ。悪かったかr」
その瞬間、転生候補者、いや、辺境都市アルタの新しい住人は転生の間から消え去っていった。
「もう、最近の転生候補は何でここまで質が悪いのかしら。今日で百人目なのに、一人もまともな転生者がいないじゃない。」とサラは疲れた様子で言う。
そう、彼女は転生者を選別して数々の世界へ転生させる、「選別者」である。