フフフ……フォックス!
よかったぁ。まだ夏だ。
ハイ、どうも~!
本日の星座占いは12位で、ラッキーアニマルは狐こと、一ノ瀬辰巳でございまーす。
みんなおひさー! 元気してた~? たつみんは元気だよ~! 健康診断で肝臓の値がヤバそうだなーって思ってたけど、何かフツーに大丈夫だったよー。これからもお酒グビグビ飲んで、鮭になっちゃうほど頑張って行くわよ。
『誰宛ての何報告じゃ?』
分からん。
分からんが、ほら、説明は必要だと思って。
ともかく俺こと一ノ瀬辰巳は機嫌よくルンルン気分で歩いていた。
それもこれも朝からエリザのワンワンモードや大家さんの嫌々(やんやん)フォックスモードを堪能できたからで、これで気分が上がらなかったらマジ嘘っしょ? テンションアゲアゲのパーリィナイツ就任式爆上げっしょ!
「フンフンフフーン♪♪♪ いい天気だなぁ~♪♪♪」
というわけで機嫌ヨシ!な俺は朝から音符ちゃんを無駄にJSAしつつ、目的地へ向かっていた。
目的地――遠藤寺との待ち合わせ場所だ。
何やかんやあって、現役大学生の俺は夏休み中も友人であるところの遠藤寺と週4で会う事になったのだ。
今日はその遠藤寺との会合日で、朝のラッキーイベントに機嫌を良くしつつ、目的地である駅前へ向かっているのだ。
「そういえば、長期休み中に遠藤寺と会うのって初めてだな」
ふと思う。
大学ではほぼ常時一緒にいる仲の遠藤寺だが、こうやって長期休みに入って会うのは初めてだ。
今日は夏休みに入って初めて会うということで、近場のゲーセンで遠藤寺さん初めてのプリクラを撮ることになっている。
初めての日に初めての経験……ウフフ、青い。青臭いなぁ……タツミ君。まあ、俺もプリクラとか初めてなんだけど。ゲーセンにはタマにガンダム動物園とか艦これ水族館とかボンバーガール保育園観る為に行くんだけど、プリクラ撮る為に行くのはじめてだ。
うーん、どきどきする。あの『おひとりもしくは男性同士のご入場はご遠慮お願いします』って看板の先に遂に行けるなんて……緊張するよぉ!
「うーん、緊張し過ぎて金鳥になりそうだわ」
『は? 妾が生きてきた中で3位の入るほどしょうもないダジャレ』
つまらない戯言に付き合ってくれるこの脳内フレンズはシルバちゃん。
俺の脳内もしくは脳下垂体辺りに巣食う悪性リンパ腫なんだ。
『おい、妾を癌細胞にするな』
「ははは、ごめんごめん」
こうやってギャグめいたモノローグという名の伏線を貼っておくことで、後の展開で実はギャグじゃなくてシリアスな伏線だったんだぁって感心させつつ、ツイッターでいい意味で炎上させるのが僕の悪い癖……。
そうやって脳内派生彼女と軽いやり取りをしていると、どこからか泣き声のような声が聞こえてきた。
『全く……前々から思っとったが、お主、妾に対する扱いが雑過ぎんか? 妾アレじゃぞ? 実はかなりアレなんじゃぞ? ぶっちゃけ、時代が時代なら妾という存在を巡って血で血を洗う――』
「シルバちゃんちょっと黙って」
乳で乳を洗うとか素敵な話はあとで聞くとして……聞こえる。
誰かが泣く声が……それも、これは……幼女。幼女の泣き声だ! 間違いねぇ!
『……む、確かに童の泣く声が聞こえるの。いや、男か女子かは判別できんが』
「いや、この声は間違いなく幼女だ。命を賭けてもいい」
『こんなしょうもない事で賭けられるお主の命かわいそう』
その泣き声は、遠藤寺との待ち合わせ場所に向かうにつれて、大きくなっていった。
しばらく歩くと、ランドセルを背負った少女が一人。
「え~ん、ふぇーん、わっちのぉ……わっちの風船がぁ……」
顔を覆い蹲ったまましくしくと泣く少女。
少女の正面には民家の壁、その壁上方から突き出る何らかの枝。
その枝に引っかかる風船。
それを目撃してしまった俺。
「……」
「わっちのぉ……わっちの風船がぁ……ふぇぇ……こんこーん」
「……」
「ちょっと油断したら、あんなところに……ふぇぇ……ここんこーん」
木の枝に引っかかった風船を前に嘆く少女。
多分、皆様でもよく経験する出来事だろう。人によっては週2、週休レベルで遭遇する定番かつレア度の低いイベントだ。
はっきり言おう。
今までの俺だったら……無視していた。嘆く少女に気づかれないようにしつつ、それでいて周りの視線に晒されないように、あくまで何もなかったと。自分の道には足を止める要因は何もなかったですよ、と平然とした表情で通りすがっていた。
そう言える。俺は偽善者でも無ければ聖人でもない。
少女に手を差し伸べることで得られる、極わずかな他人からの称賛よりも、下手に声をかけて『トラップカード発動! ウチの娘にナニしてるんですか!』『フハハハハ! 裁判官によって裁かれよ!』『ロリ滅……』的なリスクは避けていた。こういうご時世だしな。
「ぐすっ、ぐすん……こん、ここん」
だが、それでも。
少女の頭に、狐耳が生えていたなら……。
声をかけるのはリスクだ――それは分かっている。でも狐耳生えてたらよぉ~、声をかけねえ訳にはいかねえだろッ!
「えっと……大丈夫?」
俺は周囲の視線を巡らせて、誰もいないことを確認しつつ、同時にシルバちゃんにお願いして隠れている誰かがいないかを透視して、ドローン撮影されていないか頭上を確認して、今から幼女に声をかけるけど何の下心もないことを閻魔様に説明しつつ、出来るだけ不審者感を無くすために服と髪を整えて、鏡で好青年の表情を練習して、一応捕まった後に公述を考えてから……上記の声をかけた。
勿論、怪しさを消す為に、爽やかかつドモらないように気を付けつつ。
もうこれで悲鳴あげられたり、防犯ブザー鳴らされるようなら俺はもう知らん! こんなクソみたいな世の中、こっちから願い下げだね!
あ、嘘ごめん。まだまだ未練たっぷり。見たい漫画とかアニメ、やりたいゲームも山ほどあるしね。太陽〇子とEDEN-最終〇争少女伝説-が出るまでは死なない! 俺は生きる!
少女は俺の声賭けに反応して、ゆっくり立ち上がった。そしてこちらへ振り返った。
「……おぉ」
びっくりした。
かなりの別嬪さんだった。将来は数多の男を手玉にとるだろう、傾国ちっくなお顔の少女だった。
年齢は……5歳くらい、か? これくらいの子供の年齢はマジで分からん。
地毛なのか染めてるのか分からないが綺麗な金髪の上に、作り物には見えない緻密な作りの狐耳が乗っている。
「くすん……なぁに?」
「え、ああ……いや、その……あれかな? 風船が飛んでっちゃって、困ってる、とか?」
「うん。わっちの風船飛んでっちゃった。……どうしてわかったの?」
そりゃこの状況見れば、パツイチで分かるだろうが。だがこれはチャンス。
子供の信頼を勝ち取るために必要な物は何か分かるかね、シルバくん。
『ん? んんー……殴りつけた後に優しくする、とか?』
それDVのヤツ。依存させる為のヤツ。
正解は……ユーモラスだ。子供はユーモラスな人間に気を許す。テレビで何かどっかの大学のどっかの専門の偉い何か先生らしい人が言ってたから絶対に間違いない。
『矛盾』
というわけでここは――
「お兄さんはね――名探偵なんだ」
「は? 名探偵? 寝言は死ねや」
「え?」
「あ、いや……そうなんだー、お兄さん、名探偵なんやー」
何だ今の。一瞬、視線で殺されたかと思ったわ。
気のせいか? そうだよな気のせいだよな。幼女があんな殺人鬼みたいな顔するわけないわな。
「うん、じゃあ……はい。お兄さんが風船取ってあげようか」
「ほんまに? わっちの風船……おいなりさん風船とってくれんの?」
「うん。おいなりさん風船……おいなりさん風船?」
頭上を見上げて風船を注視する。
おいなりさんだった。三角形の形をした、この距離からでも衣の皺が分かるくらい地味にクオリティの高い、気色悪い風船だった。
「ちょっと待っててな。取ってくるから」
「うん! ……ふぅん、子供には優しい、と」
「え? 何か言った?」
「なんもー」
キラキラした無邪気な笑顔の少女。
というわけでラッキーを得る為に、クエスト『いなり風船を救え!』をこなすことにした。
つっても簡単だ。クエスト難易度Eくらい。かつて俺がクリアしたクエスト難易度S『お気に入りの羊羹を食べられて静かに怒り狂う雪菜ちゃんから生き残れ!』よりは簡単簡単。え? どうやってクリアしたかって? そりゃ、あれですよ。あれ……ん? あの時、俺……どうやってやり過ごしただっけ? ……あれ? 記憶に欠落が……まあ、よくある事か。
風船までの距離は4メートルってとこか。民家の壁に登って、そこから木に飛び移って、枝に手を伸ばす……プランはこんなもんか。容易い。
俺は壁に向かってジャンプして、縁に捕まった。
あとは登って……登って、登って……
「んんんん!」
の、登れない! 体が……持ちあがらない! これは一体……どういうことだ? まさか、何かの攻撃を……スタンド攻撃か!? 自分より高い場所に登ることが出来なくなる能力か!? ……クッ、俺のスタンド『See-Saw』とは相性が悪いッ!
『ただ単にお主の身体能力が糞雑魚ナメクジなだけじゃ』
はーい筋トレしまーす。一緒にトレーニングでお願いマッスルしまーす。
しかし困った。このままじゃ、幼気な少女の願いを叶えられない。そしてラッキーも貰えない。
「……ふむぅ、身体能力は……ダメダメやな」
何だか分からんが、少女の呆れたような声が聞こえる。
ええい、こうなったら仕方がない。
自分で出来ないなら、出来る人にしてもらう……これが大人のやり方だ。
俺は懐から笛を取り出した。
そして……思い切り吹くッ!
「ふぎゃぁッ!?」
吹いた瞬間、少女が耳(狐耳の方)を押さえて蹲った。
おかしいな。普通の人間には全く聞こえない波長の音が出るはずなんだが。
不思議に思っていると――
「辰巳先輩! 呼んだ?」
すぐ隣に美咲ちゃんが立っていた。気配を全く感じなかったし、何なら足音も無かった。気が付けばそこにいたって感じ。
「は、早いね美咲ちゃん。え、瞬間移動?」
「あははっ。もー、そんなわけないじゃん。時田先輩じゃないんだし、そんなのできないよー。たまたま近くをランニングしてたから、すぐに来れただけだよー」
ケラケラ笑いながらテシテシと肩を叩いてくる美咲ちゃん。
そりゃ、そうか。
ちなみに今吹いたのは、美咲ちゃんから貰った『美咲笛』だ。吹けばどこからでも……というわけじゃないが、聞こえる範囲で美咲ちゃんが暇をしてたら来てくれる召喚アイテムだ。
この間の誕生日に彼女から貰った。
『これあげる! 困ったときに吹いてね、あたしが助けに来るから。昔、お姉ちゃんにも渡したんだけど、最近は全然吹いてくれなくて……辰巳先輩はいっぱい吹いていいからね! いつでも呼んでね! パンとか買いに行ったりするから!』
流石にリアルJKを呼び出すような罪深過ぎるアイテムとか、使いまくったらカルマが溜まってBADエンド突入待ったなしだろ……と思って使用を控えていたが、暫くしてから『もっと使ってよ!』と逆に怒られたので、怒られない程度の頻度で使用している。これ本当に大丈夫かなぁ……使用回数とか記録されてて、後で請求とかされないかなぁ……やっぱり心配。でも使っちゃう! 呼ばれた時に美咲ちゃんがすっごい嬉しそうだから使っちゃうのぉぉぉぉッ!
「あ、それでどうしたの? 倒す? 何か倒す?」
シュッシュっと拳を突き出す美咲ちゃん。
「美咲ちゃん……現代社会にそれほど倒す敵っていないんだよ……」
「えぇ……残念」
「本当に倒すべき敵は、力じゃ倒せないことが多いんだよ」
「はぇぇ……辰巳先輩は賢いなぁ」
俺の深そうで子供用プール並みに浅い言葉に対して、子供みたいな顔で称賛してくれる美咲ちゃん。こりゃあ……たまらんな。美咲ニウムがどんどん溜まってくわ。
適度に美咲ニウムを充填出来たので、本題に入る。
「美咲ちゃん、アレ取って」
「はーい」
俺が言うやいなや、美咲ちゃんは壁に向かって跳躍し、縁に足をかけた。そのまま縁から宙返りをしつつ、一閃――元の位置、俺の隣に着地した。
やべー、すげー、かっけー。トニー〇ジャーみてー。こんなアホみたいな感想しかでねー。
『ついったーに動画を上げたらばずりそうじゃな』
やべー、脳内古代人に感想負けてるー。
「はい! これでいい?」
「あざっす! 美咲さんあざっす!」
「えっへっへー♪ 役に立てたでしょ! と、いうことはぁ~?」
スススと寄って来ながら、頭を差し出してくる。
ここで俺が『脳骨粉砕クラッシュ』をお見舞いしたら……どうなるかね?
『お主の拳がクラッシュするに1000票』
俺はそれに2000票。
拳ちゃんが痛い痛いになるのは嫌なので、定石通り、美咲ちゃんの頭を撫でる。
ランニングをしていたからか、ちょっとしっとりしていた。でもいい匂い。汗と頭の匂いが混じってるはずなのに、すっごいいい匂い! ここだけ切り取ってアロマフューザーにしたいなぁ。こっわ! サイコパスかよ!
『……』
何か言ってシルバちゃん。
『いや、自分でツッコんでる辺り、本気さを隠そうとしてて……うむ』
いやマジ考証はやめて。俺は一般的な思想を持つ、健全で清らかなユニコーンガイだから。
「んふふー。あ、もう大丈夫? そろそろ部活に戻らないと」
「あ、ごめんね。つーか部活中だった?」
「うん、先輩達とランニング中!」
「え、じゃあ途中で抜けた来たとか……怒られるんじゃ」
「まあ、多分大丈夫かな。まだ残像残ってると思うし」
はい、美咲ちゃんジョークね。ここ笑うとこね。本人が真面目な表情で言ってても、これジョークだから。
そして美咲ちゃんは走って行った。
~ミッション『いなり風船を救出しろ!』クリア~
「はい、これ。今度は無くさないようにね」
俺は気色悪い風船を狐耳少女に渡した。
「え……何いまの。あのハゲ親父といい……この町……えぇ……」
少女は美咲ちゃんが去っていった方を呆然とした表情で見ており、自分の手に風船がある事にも気づかない様子だった。
むぅ……『お兄ちゃんありがと! ちゅっちゅのちゅ♡』までとは言わないが、普通にお礼だけでも欲しかったが……まあいいか。
別にお礼が欲しくて助けたわけじゃないしな……欲しいのはラッキーなんだよ! よっしゃあ! ハァーッ!! これで今日もラッキーだぁー!!
体にラッキーが満ちていくのを感じつつ、俺はその場を去った。
■■■
そして不思議な事は続いた。
行く先、行く先でラッキービースト、狐耳を付けた人に出合いまくったのだ。
コンタクトレンズを落とした女子高生(狐耳)、道に迷った外国人女性観光客、荷物が重くて階段が登れない老婆、旦那が単身赴任のせいで体を持て余している新婚主婦(きつね♡ みみ♡)、ゲームのカードを落としちゃったオタク女子(狐耳w)、使えないと思われたスキルのせいでパーティから追い出された女勇者(狐耳。でも実は最強スキルだった)、調子に乗ってすぐに凍らされるラキオ(汎。可愛い)、ハイヒールのかかとが取れて困っていたレースクイーンコピー機が壊れた泣いてたOLお腹が痛い女の子(まとめて狐耳)……そんな狐耳フレンズと出会っては、ラッキーをゲットする為に助けた。
「いや、流石に何かおかしくないか?」
最悪、出会う人間が全員、狐耳の装着してるのは……まあいい。うん、まあ……俺が知らないだけで、女性の間に狐耳が流行ってるとか、そういうのがあるかもしれないし。
ただ全員が全員、何かしら困った事情を抱えてるのはおかしい。どんな確率だ。こんなん常識的に考えて……
『ギャルゲーみたいな状況じゃな』
それだ! そう、ギャルゲーみたいなヤツ! 会う女の子がみんなそれぞれ厄介な事情を抱えてて……そうじゃん! 今の状況、まるでギャルゲーじゃん!
『いや、妾、自分で言っててなんなんじゃが、言うほどギャルゲーか……?』
ギャルゲーだよ! 女の子がいて、その女の子が面倒な事情あったら……それはもうギャルゲーだろ! ギャルゲーだろうがっ……!
そっかぁ、俺ってギャルゲーの主人公だったんかぁ……。狐耳ばっかりのゲームってのもちょっとニッチだけどアリだな。全員黒髪のエロゲだってあるし、全然いける。狐耳すきだし。自分がギャルゲの主人公って自覚しちゃうと、それはそれで別のメタ系のゲームっぽくてジャンルが変わりそうだから……よし!
「俺は一ノ瀬辰巳、普通の大学生。実はちょっと狐耳に興味があるけど……あーあ、どっかに可愛い狐耳ヒロインはいないかなぁ」
『こ、こやつ……全てを忘れてただの主人公に……!』
フフン、これでいいのだぁ。
よーし、せっかくギャルゲーの主人公になったことだし、次に出会う狐耳ヒロインはガッツリ攻略しちゃうゾー! キャラ選択画面で通いつめちゃう! あ、でも最近のゲームって攻略したいキャラぶっぱじゃ詰むから、他のヒロインにも通ってフラグ立てたりしないといけないのもあるんだよなぁ……面倒くせ。この時代、9-ni〇eみたいな分割ルートでヒロイン固定の方がある意味安心だわ。ところで何か死んで生誕ガチャやれば空ちゃんのにーにーになれるんですか? 公式ホームぺージにQ送ってるんだけど未だにAが無いんだよなぁ。バグか?
「……!」
来た。
既に狐耳センサーをびんびんにしてる俺は、もうヒロインの存在をキャッチした。
この角の先に……いる!
次会った狐耳ヒロインを……堕とす! 年齢なんて関係ねぇ! このしょうせつにとうじょうするじんぶつはみーんな18歳以上なんだよー。
だから、な? 分かるだろ?
『うーん、何とかこやつのモノローグを形にして通報する手段はないものか……』
フッ、無駄無駄。頭で何を考えようが取り締まる法律はない! 今のところ! ……まあ将来の超将来に関しては分からんけどな。言論統制ならぬ、思考統制みたいな狂った脳内侵犯ワールドが当たり前になってるかもしれないし。でも関係ねぇ! 今を生きる俺達には関係ねぇ! 好きなことを好きなように考えてやるんだ! 思考盗聴も出来ない我が身を呪え! フハハッ!
『いや、思考垂れ流されてる妾もおるということを忘れないで欲しい』
俺は縮地(タイトル回収)染みた挙動で角を曲がった。
そして、青年は少女(狐耳ヒロイン)と出会った――
「あぶぶぅ……あぶあぶ……えぅ……」
狐耳が生えた赤ちゃんがいた。
どこからどう見ても赤ちゃんが、地面に落ちていた。
「……」
『攻略……するのかの?』
「うーん、無☆理!」
そういうことになった。




