表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/46

1. 冒険者にとって一番つらいこと

 村を出て、街の冒険者ギルドの門戸を叩いて10余年。冒険者とは何かって聞かれたら、例えばダンジョンを探索してお宝を探したり、人の行かない危険な場所の調査を頼まれたり、魔物を倒して皮とか牙や角の素材を持ち帰ったり……

 まあ、ぶっちゃけると何でも屋だ。危険と隣り合わせだが、その分、稼ぐことができる。


 冒険者生活の中で、一番困ることは? なんてきかれたとしたら、10年以上の経験の中からこう答えるだろう。

 

 クエストの討伐対象の魔物が手ごわいこと?

 道中、魔物を警戒して寝ずの番をすること?

 予想外の霧で視界をふさがれたり、崩落で道を通れないこと?

 そんなものは事前に情報を集めて、準備をすればいい。現場での対応は経験を元になんとかなるものだ。


 がんばり次第でなんとかなることばかりである


 だが、しかし―――

 それでも、どうにもならない問題というものはある。

 

 そう、例えば……、人間関係とかな……。

 

「ボクたち結婚します!」

「ライルさん、いままでお世話になりました!」

 

 場所は酒場、魔物の討伐クエストが終わり杯を交わそうとしたところだった。


 目の前に座るのは、若い男女の冒険者。

 二人とも新米冒険者で、危なっかしい様子を見てパーティーに誘ったのであった。

 二人とも素直な性格なため、こちらの注意をよく聞いてくれた。最近ではそれなりに連携も形になってきたところだった。


 今日も、中堅冒険者向きのクエストに向かった帰りで、その成長具合に感心していたところだった。

 いいパーティーになってきたなと思っていた矢先、二人が神妙な顔をしながら話があるといい、現在へといたる。


 二人は冒険者生活でためた資金を元手に店を開くらしい。

 精一杯笑顔をとりつくろいながら、彼らの新しい門出を祝福した。


 何度もお辞儀をする彼らを見送り、一人残された酒場にてちびちびと酒を飲む。


「はぁぁぁぁ~~~~」


 深いため息がついてでる。

 なんとなく、気づいてはいた。

 二人とも村の口減らしのために冒険者となったという境遇で、年も近い二人が惹かれあっていく様子に。

 フリーの日には、街で手をつなぎあい楽しげな笑顔で歩いていたこともあった。


 

 そういうわけで、彼らの抜けた後、パーティーはオレ一人となりソロになったのだった。

 ついでに、実生活の方も生まれてこのかた独身(ソロ)である。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ