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お姫さまとお茶会2

筋肉の国は『筋肉至上主義』の国だ。

老男若女問わず筋肉大好きの国だ。

男どもは身体を鍛え、女達はそんな彼らに熱い視線を送っている。

子供達は大きくなったら筋肉ムキムキの騎士になるんだ!と夢を見て、老兵達はまだまだ若い者には負けない!と身体を苛める。


少女達は表では貞淑な淑女の仮面を被って、裏ではマッチョを誉め称える。

割れた腹筋引き締まった臀部盛り上がった胸筋ぶっとい上腕二等筋背筋太股脹ら脛筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉筋肉―――――。


彼女達のマッチョを誉め称える会の終わる気配はない・・・。

わたくしは遠い目で空を見上げる。

青い・・・。

あ、鳥だ。

いいなぁ、外は気持ち良さそうだなぁ・・・。




そろそろ話題を変えよう。

頑張れ、わたくし!








姫の私用の応接室にて、女子高生の放課後、みたいなお茶会。

令嬢がお土産に持って来た焼き菓子ガレットブルトンヌを摘まみ、舌鼓をうつ。彼女の料理の腕はイマイチだが、お菓子作りはピカイチだ。逆にわたくしは、料理なら適当に作れるが、お菓子作りの分量をキッチリ計らなくてはならないのが苦手。てきと~に粉とか計るから爆発させて、お兄様に怒られる。何故、料理は適当でもそこそこ美味しく食べられるのに、お菓子はてきと~だとダメなのだろうか……。


「店でも出したらどうかしら。こんなに美味しいんですもの、きっと人気がでるわ!」

「ありがと~、イリアさま!」

「美味しいですっ!あっ、あのっ!」


姫大好きの追っかけ少女が、焼き菓子ガレットブルトンヌを口一杯に頬張りもぐもぐしている。リスみたい。姫にくっ付いて訓練に参加しているからお腹が空いているのだろう。先程から休むことを知らない。


「姫さまの結婚の宴にケーキガトーを作ったらどうでしょうかっ?!」


良いアイディアだが、姫の前で言ったらサプライズにならないじゃないかっ!


「まぁ、素敵~!!|ウェディングケーキ(ガトー ドゥ マリアージュ)ね~!」


令嬢はちらりとわたくしを見て同意した。彼女はわたくしがウェディングケーキの発案者だということを知っているようだ。此方の世界、もしくは山の上のマッチョ国にはウェディングケーキなる物がなかったので、何年か前に父方の従姉の結婚の宴でお披露目させてもらったのだ。流行っているようなので嬉しいな、と素直に喜ぶ。


「嬉しいわ。私、三段、いえ五段がいいわね!」


姫さまも乗り気なようだ。自らアイディアを出してくれる。しかし、五段とは大きいな・・・。


「そんなに積めるかしら?重くて沈むんじゃなくて?」

「そうね~~。帰ったらシェフに相談しますわ~」

「わたくしも手伝うわ!」



「だめよっ!イリアッ!!」

「お気持ちだけで結構ですから!イリアさま~!!」

「あたしと一緒に味見係しましょっ!イリアさまっ!!」

「そうですよぉ!イリアさまぁ!!」


四人全員に全力で拒否られてしまった・・・。

なによ。わたくしのお菓子はそんなに不味いというのっ?!


眉間に皺を寄せて彼女らを睨んでみるものの、そんなわたくしの態度はいつものことだ、と言うように三人はわたくしを無視してケーキの話をしている。わたくしは不貞腐れた顔でメイドの淹れた紅茶を頂く。


よし、メイドに八つ当たりをしよう。いや、ちゃんと文句を言う理由はある。


新しい紅茶の準備を始めたメイドを見れば、目が合ってにっこりと微笑まれてしまった。


い、言えない・・・。

紅茶がイマイチ、なんて。

先程飲んだ側近君の淹れた紅茶の方が美味しいなんて・・・。

いやいや。側近君の方が美味しいのは当たり前なんだ。あっちの方が年上だし、側近歴は十年近いらしいし、メイドちゃんがメイド職についたのは二、三年前だし。


「あ、あのね。」


でも、こういうのって言わないと上達しないからね。

八つ当たりじゃないからね。


「今度、王子の側近の子に紅茶の淹れ方をおし――――」



「きゃぁぁぁぁぁ!!!」


なっ、なんだなんだっ?!

人の言葉を遮って!

黄色い?悲鳴をあげるなんてっ!!


目の前のメイドを見上げれば喜色満面で、潤んで輝きに満ちた瞳で、わたくしを見つめてくる。

ちょっと尋常じゃない様子の彼女に面食らって、わたくしは構えてしまった。


「姫さまぁ!イリアさまがぁ!!男の方の話しをしてらっしゃいますぅ!!!」



は?

はあぁぁぁぁぁっ?!

読んでくださってありがとうございます!!

ブックマークしてくださってありがとうございます♪


書き足しましたが、内容は大して変わりません。2016.2.22

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