イリアと少女と北の帝国の話
説明回ですね。
イリア視点ではないです。
その大陸の東部の中心を南北に走るクレメンス山脈。東西に走るミルクスン山脈。
四分割された南の殆どが氷の帝国なら、北東の殆どが北の帝国・ローヒメティだ。
クレメンス山脈の北の終わりに広大なビスケ砂漠があるが、更にその先に何が在るかは分かっていない。延々と砂漠が広がっていると言われている。
そのビスケ砂漠が褐色の肌を持つアギフ達の故郷だった。
その砂漠には遊牧民がいて、十二の氏族に別れていた。その氏族長の中から話し合いで一人の纏め役『王』を選び暮らしていた。
だが一人の青年が王を弑逆し、南征し瞬く間に領土を拡大、幾つか有った王国を併合していった。最後にミルクスン山脈の北の裾野ローヒメティ王国を飲み込むと、全ての領土をローヒメティ帝国と名を改め、自らは王国の王女を娶り皇帝を名乗った。
アギフをはじめバリア一座の人々は弑逆された王の一族か、その取り巻き氏族の末裔だった。積極的に戦に加わら無かった彼らは生き残ったものの、侮蔑の目で見られた。
それが、百五十年程昔の話である。
今日、褐色の肌を持つビスケ砂漠の人々と、元々王国周辺に暮らしていた白い肌を持つ人々は、法律上は平等に暮らしている。二つの異文化が混じり合い発展したローヒメティ帝国は、氷の帝国と並ぶ巨龍と呼ばれている。
「私達の挨拶は氏族名祖父の名、父の名それから自分の名を言うの。そうするともう分かってしまうんだよね。初代皇帝に従わなかった氏族だって……」
白い肌の人々より、かつては同じ王を称えた褐色の肌の人々がアギフ達を蔑み差別する。百五十年経った今でも、否、百五十年経ってしまったからこそ差別は終わらなかった。
ローヒメティ帝国の街々には褐色の肌の人々が入植し、旅の一座は長くても五日程で次の街へ行かなくてはならなかった。差別はされた。それでも帝国民として生きるのは許された。帝都から遠く離れたビスケ砂漠に居れば、取り合えず仲間内で慰め合って生きて来れただろう。差別される事も無く心無い言葉を投げつけられる事も無く……。
けれども知ってしまった。
砂漠の先に広がる青々とした大地を。
水を湛えた大河を。
そして、蒼髪の魔女を。
アギフは泣いて縋る母や妹、怒る父を置いて旅の一座に加わった。
同じように外の世界に憧れた仲間と共に、夢の果てを追い掛けた。
ローヒメティ帝国国内の旅は苦渋ではあったが、それももう終わった。
この国では差別を受けない。海の国も氷の帝国も同じ。
いずれビスケ砂漠に戻る時はクレメンス山脈の西側を通る予定だから、勿論差別の心配はない。
「山越えは春近くの予定だったんだけど、思った程北の帝国に居られなくて、ね」
イリアは何と言っていいか分からなくて、アギフを抱き締めた。
アギフも黙ってそれを受け止めた。
ふぅ、終わった終わった。
イチャイチャさせたいぞ~!!
なんだか 説明回が続いてしまいましたが、ここまで読んで頂き
ありがとうございます!!!
歴史の年数を訂正しています。2018.1.27




