イリアと少女と魔法の話
「……魔女?」
イリアは呆れ眼でアギフを見た。先程アギフに同じ様な目で見られたのだからお互い様だが。
「二百五十年程昔に少女達の呪いを解いたと云われる蒼髪の魔女よ」
イリアはいよいよを持って(何いってるの、この子)と胡乱気な目をする。
この世界に魔法は存在しない。
同じく魔法の存在しない地球から転生したイリアとしては、残念半分安堵半分だった。
いや、安堵の方が大きいか。
魔法には憧れる。
空を飛べたらいいのにな、と思う。
でも。
魔法は怖い。
過剰な力など自分も周りも誰も持っていない方がいい。
目に見えない力で誰かに操られたり、炎とか出されたり、頭の中を見られるのは嫌だ。
昔々……と魔法の話は存在する。
昔々、魔王がいてドラゴンがいて……勇者が魔術師が聖女がそれらを倒しに行く、と。
昔々、人々は魔法を使い……便利な暮らしをしていた、と。
だが、それは、昔々の物語の筈だ。
前世の地球みたいに神話や魔法や不思議な生き物は、存在したかどうか分からないモノではなく、最初から存在を否定されている。魔法など存在しない、が定説なのだ。
この世界も魔法は存在しない筈なのに。
なのに、二百五十年前?
千年万年大昔に魔法は存在した!と言われるならまだ分かる。
もしかしたら存在したのかもしれない。イリアが転生してるくらいだし。
たが、たかだか二百五十年?
たった二百五十年昔に魔法が存在したと言われても、信じられる訳がない。
それに何故今魔法は存在しない?
魔法なんて影も形も無いのに。
「魔法はもっと昔に少しずつ消えていったと聞いてるよ。二百五十年前は呪いが残っていただけよ」
「何故魔法は消えていったんですの?」
「私には分からないよ。……ううん、誰も分からないみたい」
「アギフは魔法に憧れますの?」
「うん、勿論。舞っている時に花を出したら華やかになると思わない!?それにもっと凄い技も出来るかもしれないし」
魔法の話をするアギフの瞳はキラキラしている。踊っている時みたいに楽しそうだ。
「みんな、そうなら良いのに、ね」
誰も彼もが、魔法を平和の為に使えるのならば。
イリアも魔法の存在を肯定的に捕らえられたかも知れない。
最も、魔法など包丁と同じだ。
使う人間の心の持ちようなのだ、結局は。
けれども、やはり、人間は弱い生き物だと思うから。
イリアは魔法の存在しない世界に転生して安堵していた。
安堵、していたのだが。
魔法は存在しちゃうのだろうか?
困るなぁ。
地球に魔法が無くて良かったなぁ。
と安堵する作者です。
いつもありがとうございます!
12月1日ギリギリ?
今年もあと一ヶ月、頑張ります!
400年昔を250年に変更しました2016.9.2




