イリアとデート、甘い
お兄さま視点?です。
本日2話目です。
イリアは目に入る物、入る物、購入していく。保存の効かない物だけを口に運ぶ。新年限定のチョコレートを箱買いし、一つを食べるとにこにこしている。
じっと見ていると「仕方ありませんわね」とやれやれと首を振って一つチョコレートをくれた。
しかしながら首を振りたいのは此方の方で、チョコレートを受け取らずにイリアをじっと見続けた。何故なら、イリアが買い物をしまくったお陰で両手が塞がっているのだ。これでは、折角イリアがくれたチョコレートも食べる事が出来ない。
イリアは眉根を寄せて何やら逡巡しているようだった。
まあ、食べれないなら食べれないで構わないのだ。特別チョコレートが好きという訳でもないし、どちらかというと甘さ控えめな方が好きだ。ただイリアがとても美味しそうに笑うものだから、私も一緒に幸せな気分に浸りたかっただけの話だ。
なのに。
「し、仕方ありませんわねっ」
イリアがチョコレートを一つ摘まんで、私の口の前に置いた。
こ、これは手ずから食べろということか?
……私が固まってしまったのは言うまでも無い。
「お兄さまっ、早く食べて下さいっっ」
熟れた林檎のように顔を真っ赤に染めて、此方を見ようともしないイリア。
指の熱でチョコレートが溶け掛けている。
「お兄さまっ!?」
再三の呼び声で、私に掛かった呪縛はやっと解けたようだ。
一瞬目が泳いだ後、私はチョコレートを口に含んだ。
イリアの細く白い指にも触れただろうか。一瞬の事だから分からない。イリアも直ぐ様手を下ろし背を向けてしまったから表情を窺い知る事も出来ない。
ただ、とてつもなく――甘い。
「……甘い、ね。……こ、これは、ちょっと甘過ぎでは?」
余韻もそこそこに私は口を手で覆う。荷物?地面に置いた。
「うえぇ~?お兄さま。大丈夫ですか!?」
イリアが振り返って私の顔を覗き込むように見上げてくる。濃い紫色の瞳に私を移している。若干涙目。
「うん、大丈夫は、大丈夫だけど……」
「あっ、お水!お水ですわっ!!……あの、甘過ぎ、でしたか?確かに砂糖は沢山使われてるようでした、結構なお値段でしたし。……好みの問題ですかね」
「あ、ああ。ありがとう。ふう。そうだね、私には甘過ぎただけの事だから。イリアが美味しいならそれでいいよ」
イリアが食べ歩きの口直しに買った水は全て飲んでしまった。また買わなくてはならない。どうせなら何処か腰を落ち着けて温かい紅茶でも飲もうか。
端とはいえ、新年八日目の往来で人目も憚らずする事では無いだろう。特にアイツに見られたら何て言われるか。
……妹狂いかな?
後々、イリアもチョコレートを食べさせられる地獄へ……ふふふ。
砂糖は出回ってますが高価です。
お兄さまに奢って貰えるので箱買いしちゃいました!
いつもありがとうございますっ!!!