イリアとデート、可愛い
いつもありがとうございます♪
お兄さま視点?です。
サブタイトルちょっとだけ変わりました。
新年八日目。
イリアにデートに誘われた。
何か予定があったような気がしなくもないが、イリアより優先されるべきモノがあっただろうか。否、無い。
何でも王都で珍しい旅の一座が興行していると妹姫から聞いたらしい。
この国は山の上にあるので旅の一座など滅多に来ない。それも新年の稼ぎ時に、態々山を登って来るなんて本当に珍しい。更に言えば、珍しいのは彼らが北の果てビスケ砂漠から来た、所謂異教徒であったことだ。
休みの日にイリアと出掛けられるとはなんて幸先がいいのだろうか。他愛ないお喋りをしながら山道を徒歩で王都へと向かう。本日のイリアは白いワンピースに厚手の赤いポンチョを羽織りムートンのブーツ、白い手袋。ポンチョのフードを被りその下には、先日から括るのを止めてしまったツインテールの代わりに編み込んだ一つの束を肩に掛け前へと下ろしている。
「 寒いからフードを被っているのか」と問えば、「初めての髪型だから恥ずかしくて」と返ってくる。拗ねた口調が可愛らしい。そもそも山の中だから見る相手は自分しか居ないのだが。
「ちょっと大人っぽ過ぎる、と思いますの……」
イリアは編み込みの束を摘まんで揺らす。銀の髪が日の光に反射して輝きを増す。
赤いポンチョ姿、フードをしっかり被っているところなんて決して大人っぽくは見えない。寧ろ子供っぽい。そして大変可愛い。誰にも見せたくないので此処等でUターンして帰宅したい。
視界が拓けて眼下に王都が見えた。
帰るなら今が最後の機会だ。
イリアが満面の笑顔で振り向いた。
「お兄さま!やっと着いたわ!!楽しみね!!!」
弾む声に「帰ろう」なんてとても言えない。やれやれと首を振って「ああ、楽しみだね」と苦笑しつつ返事をした。
新年も八日目となるのに王都は賑やかである。そろそろ普段通りに戻ってもいいものである。騎士としてはとっとっと平常運転に戻って欲しい。毎日毎日、酔っ払いとかケンカとか酔っ払いとか酔っ払いとか……で残業が続いている。実は今日も休日出勤になりそうだったが無理矢理副団長に押し付けてきた。何だか、前団長のように部下に押し付けているような気がしなくも無いが、やる事はやっているので問題はないだろう。決してサボっている訳ではないのだ。
さて肝心の旅の一座は何処にいるのだろうか。イリアを目の端に留めながらそれらしい天幕を探す。イリアといえば旅の一座はお構いなしにあっちにふらふら、此方にふらふら。普段とは違う新年ならではの屋台に興味津々である。屋台の商品は何時まで新年版なのか、在庫が無くなるまでか?
例年、地元の北の街でばかり新年を過ごしてきたイリアには、(北の街よりも、普段の王都よりも)倍近い屋台が軒を連ねる王都の広間は大変珍しいようで、顔面喜色であった。
ごそごそと財布を取り出して中身を確認している。顔には「足りるかしら?」と書いてあった。
勿論、可愛いアクセサリーや小物の類いの話ではなくて。
「どれだけ食べるつもりなんだ。お腹を壊しても知らないよ」
「だ、だって!これって今だけ限定でしょ!?来年まで食べれないんですのよっ!!!」
イリアは顔を真っ赤にしている。恥ずかしのか悔しいのか。
「分かった、食べずに持って帰れば良い。足りない分は私が出すよ」
「――お兄さまっ!!!」
イリアが歓声を上げて抱き付いて、ぼそりと言った。
「お兄さま……わたくし、食いしん坊でも食い意地が張っている訳でもありませんわよ」
「うんうん、分かってるよ。美食家なんだっけ?」
お兄さまがツインテールやUターンと言っているのは、イリアに毒されているからです。




